ニュースレター No.1162009年4月25日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1 フロントページ:違法伐採総合対策推進協議会の提言書(2009/4/25)
2 世界と日本の森林認証の現状209/3(2009/4/25)
3 ドイツ・ボン気候変動枠組条約特別作業部会の結果(2009/4/25)

フロントページ:違法伐採総合対策推進協議会の提言書(2009/4/15)

全木連が実施主体となってきた違法伐採総合対策推進事業が3年間の事業期間を終了するに当たって、違法伐採総合対策推進協議会(座長大熊幹章東京大学名誉教授)では、木材製品の合法性、持続可能性の証明方法に関する現状認識と今後の課題をまとめ、国等の関係行政機関を始め木材供給者、需要者等に対する提言書をまとめました。

合法木材ナビの関連ページこちら

私個人としても、この事業の最初から関わってきましたが、3年間の取組の財産は、合法性などを証明された木材・木材製品を消費者にとどけるための7千をこえる関連業者のネットワークできたことだと思います。

「合法性や持続可能性」といった木材の伐採地点の森林や伐採過程での管理水準を当該木材製品の最終消費者が認知する方法は、森林認証制度という形で、1990年代以降、環境NGOと先進国の木材業者が中心となって開発されてきました。

一定の管理がされた認証森林から伐採された木材を原料とした木材製品をであることを、流通加工過程での分別管理などにより確実に証明出来る者として第三者認証(COC(Chain of Custody信頼性の連鎖)認証)し、事業者間の証明書の連鎖でつなぐというものです。

林野庁の「木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン」もこの方式を踏襲しており、合法性などを証明した材あるいはそれを原料とした製品を業界団体が認定した事業体の証明書の連鎖により引きついていこうというものです。

業界団体による善意を前提とした仕組みにどの程度信頼性があるのか、という問題提起は当初からありましたが、他方でマーケットで化石資源でできた建築材料などと熾烈な競争をしている木材に、過大な負担をかけるわけにもいかないという事情があり、普段から顔の見える関係で信頼関係ができている業界団体の機能を使うという発想は大変重要な問題提起だったと思います。

今後このシステムが信頼を得て大きく発展していくことを願い、提言書ができているものです。

以下は提言書の要旨です

木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明方法に関する提言
(要旨)
平成21年3月30日 違法伐採総合対策推進協議会

1 はじめに
証明方法検討部会の下に設けた「小委員会」での検討結果を基に、事業の成果を踏まえ、国等の関係行政機関をはじめ関係者に対する提言を取りまとめたもの。

2 合法性、持続可能性の証明方法について
(1) 合法性、持続可能性の定義
ア)合法性の定義
輸入材について、蓄積されてきた生産国の調査結果を活用、整理し、合法性をチェックするためのチェックリスト(Q&A)の充実をはかるべき。
イ)持続可能性の定義
国際的な議論も踏まえ、持続可能な森林経営の定義の明確化に向けて検討し、その結果に基づき、持続可能性が分かりやすく判断出来るチェックリスト(Q&A)を作成すべき
(2)証明方法の信頼性向上につながる方策
@証明方法の信頼性向上につながる運営上の努力(一定のモニタリングに基づく体系的な普及指導の取組)、A認定団体の活動の掌握など、証明方法の信頼性向上につながるシステムの導入の検討、B木材業以外の関係業界の参画の促進、等が必要
(3)コストの削減につながる方策
@国、地方自治体などの施策をえて、原料供給のほとんどが合法木材として供給出来る体制をなるべく早く構築すること、A流通の中心となる事業者の、企業独自の取組が十分に活用されること、が必要

3.需要者側への証明制度の普及と証明された木材・木材製品の利用推進方策について
合法木材供給システムを維持発展させるためには、供給側に合法木材の実需が見えてくることが決定的に重要であり、@国・地方自治体・建築業者・建材納入業者を対象に、合法木材調達マニュアル(チェックリスト)等により一層普及、A優良な調達企業等の顕彰、Bその他、カーボンビジネス、税制や補助金によるインセンティブの付与の検討が必要

.供給者側への証明制度の定着と証明された木材・木材製品の安定供給方策について
合法木材供給システムが普及するためには、合法木材がいつでもどこでも調達できる状況になることが必要であり、@常時合法木材を供給出来るような体制を整備、A製品紹介ページなどで体制の整った供給事業体のPR体制の構築、B優良な供給事業体等の顕彰、C輸入材の合法証明手続きの情報公開の促進が必要

5.終わりに

本提言は現時点での現状認識と改善の方向性を示すもの。今後さらに得られた知見や経験に基づき、よりよい合法性等の証明の確立に向けて議論を継続していくことが必要。

「我々が目指す目標は、違法伐採を地球上から根絶し、合法木材のみが市場に流通する世界を作っていくことである。この大きな目標に向かって、関係者に更なる連携と努力をお願いするとともに、関係行政機関はもちろんのこと、民間に根ざした取組として益々広がりを増していくよう期待する。 」としています

本文(合法木材ナビ)HTML版 / PDF版

関連資料(全木連の関連HP「合法木材ナビ」より)

第4回違法伐採総合対策推進協議会証明方法検討部会結果(2008/6/6)
     資料3 違法伐採総合対策推進協議会証明方法検討部会を巡る経緯
第5回違法伐採総合対策推進協議会証明方法検討部会結果(2009/1/26)
     資料3 「今後の証明方法のあり方検討」小委員会の経緯

boueki4-39<teigen>


世界と日本の森林認証の現状2009/3(2009/4/12)

しばらくさぼっていましたが、小HP、その時点で入手できる情報を元に第三者により森林経営を認証された森林面積を調べて公表しています(過去のもの)。2009年3月時点で入手出来るデータを整理してみました。

  地域

全森林

 

 

 

 

 

 

認証森林

 

 

2007

2009

 

 

1000ha

 

1000ha

全面積比

前回比

 

 

@

 

A

アフリカ

635412

2479

5196

0.82

2.10

アジア

571615

7754

8893

1.56

1.15

 

内日本

24868

613

1046

4.21

1.71

欧州

1001394

96266

104838

10.47

1.09

中北米

705849

155792

194821

27.60

1.25

南米

831540

9519

13114

1.58

1.38

オセアニア

206254

7017

10324

5.01

1.47

合計

3952063

278826

337184

8.53

1.21


出所含めたエクセルファイルはこちらから

sinrin1-14<genjo2009e>
 


ドイツ・ボン気候変動枠組条約特別作業部会の結果(2009/4/25)

3 月29 日から4月8 日に、ドイツ連邦共和国のボンにおいて、気候変動枠組条約の2013年以降の次期枠組みに関する二つの特別作業部会(条約の下での長期協力行動のための第5 回特別作業部会(AWG-LCA5) と京都議定書の下での附属書I 国の更なる約束に関する第7 回特別作業部会(AWG-KP7))が開催され、森林・木材に関しては、2013年以降の次期枠組みにおける吸収源の取扱いや、途上国の森林減少・劣化問題等について議論が行われました。

農林水産省プレスリリース  日本政府代表団概要と評価

12月のコペンハーゲンで行われるCOP15でポスト京都の議定書を結ぶことを目標に、6月の次回会合で叩き台となる原案を公表するという段取りになっており、今次会合ではそのペーパー作成への事務的な作業が行われたということのようです。

(先進国における吸収源の取扱い)AWG-KP7

このうち、伐採木材の取り扱いについては日本の森林や木材に関する部分は「土地利用・土地利用変化及び林業部門(LULUCF)」という部分で取り扱われており、@過去に提出された関連ペーパー(こちらに公開12カ国ツバル)をもとに今回の議論に基づいて、A議長のまとめがウェブ上に公開されています。これに対して4月24日までに締約国意見提出、6月の会議に正式の議長提案が提出され、交渉が始まるという段取りのようです。

議長のまとめをみると、第二約束期間における、吸収源による森林経営のカウントの仕方に加え、伐採後の木材の吸収源としての評価の仕方についても、重要な議論の題材になっていることがわかります。

議長のまとめの最初は「森林の定義」から始まります。拘束力のある国際約束の中で、はじめて「森林の定義」が規定されるのが、国際森林条約でなく気候変動枠組み条約となることは確実のようです。少し残念ですね。(不十分な記載でした)

(途上国における森林減少・劣化に由来する排出の削減(REDD))AWG-LCA5

各国より、COP15に向けて更に検討すべき事項として、REDDの方法論の確立、ガバナンス、資金供与、キャパシティ・ビルディング等が挙げられました。

これらについて、次回会合で改めて議論することとなりました。

(森林の位置づけ)

今回の会合全体では、来期に向けて先進国がどのような削減約束をするのか、ということが一番大きなトピックスだったようですが、その議論のなかでも、途上国が具体的数値の議論を求めるのに対し、先進国側は、「LULUCF 等のルールが決まらない限り削減規模は確定できない」(政府代表団概要と評価)といった応酬があったそうです。

吸収源のカウントの仕方などの枠組みが早く合意されることが全体の交渉の焦点の一つになっているようです。

(ウェブ上の情報)

12月のCOP15にむけて、6月、8月、9月、11月と4回の特別作業部会を行うこととなったようですが、今後の展開はウェブ上で公表されると宣言されています。

今回の会議に関する情報も少しわかりづらいのですが未定稿の「議長とりまとめ」、各国からの提出意見も含めて以下のようにウェブ上に公開されています。

今次会合の森林に関する文書気候変動枠組み条約HP上のアドレス

AWGKP7先進国の約束関係

@の「土地利用・土地利用変化及び林業部門(LULUCF)」に関する各国提案http://unfccc.int/resource/docs/2009/awg7/eng/misc05.pdf
オーストラリア、ベイリーズ、カナダ、チリ、中国、チェコ、アイスランド、日本、ニュージーランド、ロシア、サウジアラビア、スイス、
http://unfccc.int/resource/docs/2009/awg7/eng/misc05a01.pdf
ツバル
Aの議長とりまとめはこちらにあります
http://unfccc.int/resource/docs/2009/awg7/eng/l03.pdf

AWGLCA5長期的枠組み関係

会議前の議長講演(議論の焦点)
http://unfccc.int/files/meetings/ad_hoc_working_groups/lca/application
/pdf/awglca_focus_document.pdf

REDDに関して提出された文書(検索結果)
こちら
議長とりまとめ(5月24日現在作業中)
http://unfccc.int/resource/docs/2009/awglca5/eng/l01.pdf

kokusai2-29<AWGBONN0903>


最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp