ニュースレター No.090 2007年2月18日発行 (発行部数:1350部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
違法伐採と紛争地ダイヤモンドーOECDの違法伐採円卓会議2007/2/18)
2. 中国の森林認証とSGEC・PEFC2007/2/18)
3.. 再び国際森林年2007/2/18)

OECDの違法伐採対策円卓会議:違法伐採問題と紛争地ダイヤモンド2007/2/18)

The Round Table on Sustainable Development (Home)

環境と貿易の関係など、先進国の経済政策の調整を図る上で重要な役割を果たしているOECDが、毎年一回持続可能な発展についての円卓会議を開催いしていますが、年明け早々に行われた今年の会合のテーマは違法伐採についてでした。(OECDサイトによる結果概要英文)。

詳しいバックグランド報告書もホームページ上で公開されています。(こちら

違法伐採の当事者と指摘されている、ハイリスク国(全ての熱帯林国、ロシア、中国をこう分類するのだそうです(報告書))が参加せずに議論される場なので、具体的な実効性という点では疑問が残るのですが、遠慮せずに、長期的な展望に立った違法伐採問題の核心となる論点が語られています。

報告書に掲載されている、国ごとの原木の生産量の内の違法伐採の程度などについての情報(p17)は、権威ある国際機関の報告書に掲載されているものとして引用されことになるでしょう。世界全体では「工業用丸太生産量のうち、5-10%が違法伐採材であると推定されている」としています。

消費国で、CoCによって合法性を担保された木材を選別して購入する動きが始まっていますが、国境でこれを取り締まることができないのか、というのは、誰でも考えることです。

報告書には、輸出商品の生産過程の善悪によって一定の貿易規制をする取組の実績が、多国間の協定をベースに例として、@絶滅の危機にある野生生物を判別するワシントン条約、A製造過程でオゾン層破壊物質を放出する物資を判別するモントリオール議定書、B紛争地域のダイヤモンドを判別するキンバリープロセスなどが取り上げられています。

キンバリープロセスは、ダイヤモンドの輸入には、輸出国政府の発行するキンバリー証明書(紛争ダイヤモンド非該当証明書)の添付が加盟国に義務づけられる、というものです。

キンバリープロセスに関するウェブ上の情報

日本語サイト
経済産業省 キンバリー・プロセス証明制度導入について(PDF)2002/12
ダイヤモンド原石の輸出入規制(政府機関による解説)
宝石関係者のサイト
映画「ブラッドダイヤモンド」の余波を危ぐするダイヤ業界

英語のサイト
キンバリープロセス公式ページ
ウィキペディア

ダイヤモンドと木材とを比べて生産過程の情報を伝えるためのコストの負担力が全然違うということは念頭に置かなければなりませんが、熱帯木材のボイコット問題が課題となった80年代に、同時期に課題となった紛争地ダイヤモンド問題が、一足早く2001年に国際的な協定に基づく貿易規制の力を借りて関係者が問題解決の道筋をつけたことは、森林の関係者にとってもよく考えてみるべきことではないかと思います。

貿易規制を論議する場合必ず話題となるWTOは、社会的な正義を実現するための、国際条約に基づく手段については、なんの異論を差し挟むこともない(できない)ということがよくわかります。

円卓会議には日本の松岡農林水産大臣も出席しました。(農林水産省のサイト

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中国の森林認証とSGEC、PEFC(その1)2007/2/18)

1月の下旬中国の国家林業局の森林認証を所管している方々からの招待を受け、北京市内で日本の森林認証について意見交換をする機会がありました。

国家林業局には科技発展中心森林認証処(研究普及課森林認証班)というセクションがあり、3年ほど前から独自の森林認証の策定に取り組んでいます。今回はSGECの関係者として藤原と、PEFCの関係者としてPEFCアジアプロモーションズ武内事務局長が招待されたということです。

写真上:会場となった中国林業科学研究院
会議棟前で出席者一同(1/25)
(真ん中が主催者国家林業局
科技発展中心副主任李明hさん)
写真下:会議の風景
中国側も違法伐採に関するOECDなどからハイリスク国と認定され、輸出大国として透明性のある仕組みを作る必要があるということのようです。

(SGEC)
私からはSGECと日本の違法伐採対策について説明しました。
SGEC英文の文献集緑の循環森林認証ホームページより)
木材・木材製品の合法性、持続可能性の証明のためのガイドライン(中文)合法木材ナビより)

質疑中心は森林認証に関する政府の関わりでした。「SGEC立ち上げや実施の段階で日本政府の関与がないのかどうか?」

中国側は制度設計の次の段階でどのようにステップアップするかなかなか政府支援のかねあいで、展望が見いだせない状況にあるようです。

日本の場合は政府の財政的な支援はなかったけれど、森林認証の政府の関与のあり方については、いろんなやり方があるということだと思います。(参考:UNECE/FAO policy forum reviews roles of governments: Governments- significant actors for certification of sustainable forest management

(続く)
(PEFC)
PEFCに関するPEFCのプレゼンペーパー

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再び国際森林年2007/2/18)

暮れの国連総会で、2011年を国際森林年にするこことが議決されました。
記者発表資料
決議文本文
UNFFのサイト内に専用のページが新設されています。(こちら

地球サミットでの森林原則声明のフォローアップはこのサイトでの主要課題ですが、遅々と進まない持続可能な森林管理の国際的な課題について改めてしっかりとターゲットを再構築する機会になればよいと思います。

国際森林年といえば、1985年がFAOによって国際森林年とされ、日本でも大きな取組がなされました(都道府県における国際森林年記念の森造成の推進について等)。

個人的に、ちょうど林野庁で国際協力担当の課長補佐をしているときだったので、忘れられない思い出です。

ネット上を「国際森林年」で検索すると300近い情報が載っています。その中には自然保護協会元会長沼田真さんが白神山地の世界遺産に関して「私と白神山地のかかわりは、1985年に国際森林年を記念して、ブナ・シンポジウムを開催したことにさかのぼります。」といった世界遺産に関する発言も。(世界登録遺産について

ちょうど日本の林業政策が森林・林業政策に転換するエポックとして国際森林年が位置づけられていたことがわかります。

ちなみに、international year of the forestで検索される情報の中には「FAOの機関誌UNASYLVA特集など基本文献がありますが、数値は100程度で日本語の方が多いということから、日本での取組が特に大きな取組だったことがわかります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp