ニュースレター No.081 2006年5月14日発行 (発行部数:1300部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:長久手町平成こども塾:地域木材公共建築のエネルギー評価(2006/5/14)
2 ウッドマイルズに関する日本森林学会誌論文(2006/5/14)
3. 森林の生物多様性:生物多様性条約第八回締約国会合から(2006/5/14

フロントページ:長久手町平成こども塾:地域木材公共建築のエネルギー評価事例(2006/5/14)
ウッドマイルズ研究会では6月3日の総会にあわせて、愛知県長久手町に新築なった「平成こども塾建築見学会」を開催します。(詳細はこちら

この建物は2004年設計提案コンペによってウッドマイルズ研究会の事務局長が代表をするウッドAC が設計監理をしたものですが、建設過程(構造躯体)におけるエネルギーの評価が、@地域材を使った場合、A一般流通の木材を使った場合、B鉄骨構造の場合の3種類が比較提示されています。

地域材と一般流通の木材を使った場合のエネルギー評価についてはいくつか先行事例があります。

構造別の建築エネルギー比較は、構造を木材から鉄骨に変更することにより、もう一度構造計算をやり直さなければならない結構大変な作業でモデルを使った計算結果はありますが、実物に応じた設計事例はあまりお目にかかりません。

ウッドマイルズ研究会の建築技術のグループがそれに応えました。

山から建築現場までのトレーサビリティの指数(流通把握度)もふくめた、ウッドマイルズ指数の総合的なレポートが作成されています。(概要はこちら

詳細については、同日行われるセミナーで発表されますが、公共建築物の地域材による建築に取り組んでいる各地方自治体にとって結構おもしろい情報ツールに発展していくと思います。

長久手町平成こども塾建築見学会&ウッドマイルズ入門セミナーのご案内(ウッドマイルズ研究会HPより

energy2-40 <nagakute>

2 ウッドマイルズに関する日本森林学会誌論文(2006/5/14)

日本森林学会誌の最新号(Vol.88 No.2)に「我が国製材業の製品出荷における木材輸送量・距離(ウッド・マイレージ)」(嶋瀬拓也・立花敏)という論文が掲載されました。

要旨は以下の通りです。

国内製材業の製品出荷を対象に、木材輸送量・距離(ウッド・マイレージ)を算出し、変化動向の分析と変化要因の検討を行ったところ、以下の点が明らかになった。

(1)平均輸送距離(直線距離)は、1962年から1980年にかけて109.1kmから84.2kmへと縮小し、その後2002年にかけて149.6kmへと拡大した。

(2)1980年以降、出荷量が多い県ほど平均輸送距離が大きいという傾向が急速に強まっている。

(3)県ごとの平均輸送距離のばらつきは、1962年から1980年にかけて縮小したが、それ以降は再び拡大している。

(4)平均輸送距離の変化には、素材・製品市場の構造変化と、それに伴う製材業の生産力配置の変化が強く影響していると考えられた。すなわち、1980年までの平均輸送距離の縮小は、外材を原料基盤とする木材団地が各地に建設され、製材生産力が全国に分散化したためとみられる。また、1980年以降の平均輸送距離の拡大は、製材品需要が縮小する中で、大規模製材業者が地域集中を伴いつつ規模拡大を図っているためとみられる。

(1)にあるように、国内製材の出荷輸送距離を時系列的にみていくことにより、1980年という時点が国内の製材所の立地上転機となったいることがわかるという大変興味深い指摘です。

地域の多様な文化に立脚した住宅部材の多様性という背景から消費地立地的な傾向を持っていた製材業が、次第に住宅部材が工業部材化して均一化を求められる中で、少数の供給拠点による効率的な供給への転換してきたという動きを表しているようにも、思います。

ウッドマイルズは輸送過程の環境負荷をわかりやすく示そうという意図で開発されてきましたが、マクロなウッドマイルズの分析は「産業立地論のツールとしての有効性」(嶋瀬さん)も示唆しているということだと思います。

energy2-41 <JFSWM>


3 森林の生物多様性:生物多様性条約第八回締約国会合から(2006/5/14

森林の管理のグローバルスタンダードを考える場合重要な、生物多様性条約の第八回締約国会合は3月下旬ブラジルのクリバチにおいて開催され、森林の生物多様性作業計画に関する決議(VIII/18)(英文同抄訳)が採択されました。

生物多様性条約では、2002年の第六回締約国会合で採択された「森林の生物多様性は森林の生物多様性の拡大作業計画( the expanded programme of work on forest biological diversity)」 (第六回締約国会合第22決議に付表 annex to decision VI/22)、が重要な文書で、これの実施が締約国に求められています。

今回の決議は二つの部分に分かれていて、第一に、「拡大作業計画」の実施をしていく上で、締約国などに対して、森林法の施行と関連する貿易及びその森林生物多様性に関する影響にかかる情報を提供するように、また、エコシステムアプローチや順応的管理など条約の重要な概念を実施するための制度的人的強化をはかるように、などを求める決議、第二に、次回のCOP9で総括的なレビューが行われることになっていますが、この検討方法についてです。

ちょうど、我が国の森林林業基本計画の策定が行われているところであり、この決議の内容などがどうふまえられるかということも一つのポイントだと思います。

関連するデータの整理をしてみました。

Forest Biodversity Introduction森林の生物多様性入門 条約事務局のサイトから英文 同仮約(本サイト内
「森林の生物多様性は森林の生物多様性の拡大作業計画( the expanded programme of work on forest biological diversity)」 (第六回締約国会合第22決議に付表 annex to decision VI/22)

kokusai 3-3<CBDcop8>

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp