ニュースレター No.077 2006年1月9日発行 (発行部数:1200部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:エコプロダクツ展2005が示すグリーン調達パワーと木材(2006/1/9
2 気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11)の中の森林と木材(2006/1/9)
3. FAO地球森林資源調査GFA2005の結果(2006/1/9)
4. 世界と日本の認証森林の現状(2006/1/9)

フロントページ:エコプトダクツ展2005が示すグリーン調達パワーと木材(2006/1/9)
12月15-17日の三日間東京ビックサイトでエコプロダクツ2005が開催されました

森林認証・違法伐採対策など、山側の森林の管理の水準の確保を図るため、消費の環境指向(市場のグリーン化)に依拠する手法を利用することは大きな流れとなっています。

その前提となっている市場のグリーン化の動きを肌で感じる重要な機会として、前からこのイベントには関心をもっていました(エコプロ2003とグリーン購入)が、今年は仕事を兼ねて参加するという機会に恵まれました。

(右肩上がり)

図をご覧下さい。7年目を迎えるこのイベントの過去の来場者数と参加企業・団体数を示したグラフです。
最近滅多に右肩上がりのグラフにお目にかかることはないのですが、見事な右肩上がりとなっています。

企業を中心とした組織的な調達のグリーン化の力強さを示した数値です。

参加者のデータベースも公開されていて、登録された団体613のうち出典分野で検索すると、建築建築資材で123、住宅住宅施設107の企業団体が選択されます。

(全木連の登場)

エコマテリアルを標榜する木材関係者にとってエコプトダクツ展というのは重要なはずなわりには、木材関係者の出展が少ない、というのが昨年までの印象でした(製紙業界の大きな存在感と比べるとよけいに目立つ)。ちなみに2004年の出展データベースから企業団体名に木材を含むものを調べてみると2社(そのうち1社は非木材紙普及協会!)でした。

それが今年は林野庁の助成によって、全木連が中心となった大きなブースを出展しました(「全森林を育む木の住まい・身近にふれる国産材製品フェアが開催されました」木連HPより)。画期的なことです(自画自賛)。名称に木材つかった企業・団体は12となりました。

「エコマテリアルとしての木材」という理念が、実際にグリーン化する市場の動きにかみ合ってきたことを示しています。

今後、「違法伐採でないことを証明した木材」など市場のグリーン化に対応した施策が展開する中で、プロダクツ展と木材との関係は、さらに大きなものになってくるでしょう。

(おまけ。林業経済誌小論)

以上のテーマに関係して、既報のように昨年4月の日本森林学会で「消費者の環境指向と地域材活性化の課題」と題する報告を行いました。同報告に基づく「組織的調達の環境指向と地域材活性化の可能性」と題する解説文が林業経済誌 Vol.58 No.9 No.686 2005.12 に掲載されました。全文を資料室におきます

kokunai 3-25 <ecopro05>

2 気候変動枠組み条約第11回締約国会議(COP11)の中の森林と木材(2006/1/9)

11月29日から12月9日にかけて、モントリオールで表記会合が開催され、さらに、平行して京都議定書第一回締約国会議(COP/MOP1)、第23回科学技術補助機関会合(SBSTA23)が開催されました。

林野庁プレスリリース
環境省プレスリリース
外務省プレスリリース
地球産業文化研究所HPによる詳細な会議概要報告

一般紙の報道は米国の将来の議定書参加に関連した「長期的協力に関する対話」に関するものが中心でしたが(朝日新聞12月11日「(時時刻刻)温暖化防止会合が閉幕 米参加に望みつなぐ」など)、森林木材に関して下表のような事項が議題となりました。(林野庁プレスリリースより)

ア京都議定書運用細則の決定等
COP/MOP1において、COPから付託された京都議定書の運用細則(吸収源の算定・報告やCDM植林等に関する細則等)に関する決定案(マラケシュ合意)が採択された。
【関連文書 Adoption of decisions forwarded by the Conference of the Parties to the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol at its first session
この点については新しいことが決まったわけではありませんが、第一約束期間における吸収源の計測方法を決めたCOP7のいわゆるマラケシュ合意を京都議定書の実施のための手続きとして再確認したということのようです(マラケシュ合意和訳関連部分地球産業文化研究所HPより))

イ吸収源に関する情報提出不履行の基準
各国の提出する吸収源に関する情報の品質を判断するための基準が合意された。なお吸収源に関する情報の品質が著しく劣っていると判断された場合吸収量の議定書の目標達成への算入が差し止められることとなる。
【関連文書 Decision -/CMP.1 Criteria for cases of failure to submit information relating to estimates of greenhouse gas emissions by sources and removals by sinks from activities under Article 3, paragraphs 3 and 4, of the Kyoto Protocol

ウ伐採木材製品の取扱い
附属書T国から提出されたデータ及び意見に基づき伐採木材製品の取り扱いについて議論が行われたが、次回SBSTA等で更に検討することとされた。
【関連文書 Agenda item 5 (a) Harvested wood products
(吸収源の計上方法の現在のルールでは伐採された木材は排出されたとカウントされるために、伐採された木材製品でストックされる膨大な量の炭素を吸収源として位置づける必要があるという重要な論点に関するもの。正式会合SBSTAの中で大きな比重をもってきました。次回24回SBSTAで議論する、ということに関する簡単な決議文です。決議に引用されているFCCC/SBSTA/2005/MISC.9とそのADD.1-2そしてFCCC/SBSTA/2005/INF.7は各国のポジションや過去の重要な文書のリストになっています。小HP関連ページ

エ途上国における森林減少に由来する排出の削減について
パプア・ニューギニア等の提案により、途上国における森林伐採由来の排出量削減活動を評価する仕組みについて議論が行われた。
調整の結果次回SBSTAで議論を始め各国等から提出される意見に基づきSBSTA27で検討結果を報告すること等が合意された。
【関連文書 Agenda item 6 Reducing emissions from deforestation in developing countries: approaches to stimulate action
(小HP関連ページ 温暖化対策と森林の新たな関係

オ小規模CDM植林の方法論等
森林に関する事項では小規模CDM植林を実施する際の温室効果ガス排出量及び、吸収量の算定を容易にする簡素化された方法論が採択された。
【関連文書  Adoption of decisions forwarded by the Conference of the Parties to the Conference of the Parties serving as the meeting of the Parties to the Kyoto Protocol at its first session
アの注と同じ)

kokusai2-13 <FCCCcop11>


3 FAO地球森林資源調査GFA2005の結果(2006/1/9)

国連の専門機関で林業を担当しているFAOは国連食糧農業機関と訳されているように農業に力が入っていて食糧に関係が少ない森林や林業への貢献には不満があるところですが、FAOの森林林業分野の貢献としてだれもが認めるのが、地球規模の森林の動態を明らかにしたGFAです。(FAOによる過去の世界資源調査

中でも1980年の熱帯林評価報告書Tropical Forest Resouce Assessmentは熱帯林問題を地球環境問題として国際政治に認識させる上で重要な役割を果たしました。

以来、1990年、1995年、2000年と公表されていますが、最新の2005年度版が暫定的にFAOのHP上で公表されています。(→こちら

表は公表された数値から作成した森林面積とその変化の総括表です。
Country / Area Forest
Area Annual change rate
1990 2000 2005 1990-2000 2000-2005
1000 ha 1000 ha 1000 ha 1000 ha/yr % 1000 ha/yr %
@
アフリカ 699,361 655,613 635,412 -4,375 -0.7 -4,040 -0.6
アジア 574,477 566,601 571,615 -788 -0.1 1,003 0.2
欧州 989,320 998,091 1,001,394 877 0.1 661 0.1
中北米 710,790 707,514 705,849 -328 n.s. -333 n.s.
南米 891,036 852,796 831,540 -3,824 -0.4 -4,251 -0.5
オセアニア 212,514 208,034 206,254 -448 -0.2 -356 -0.2
合計 4,077,498 3,988,649 3,952,063 -8,885 -0.2 -7,317 -0.2

アフリカ、アジア、南米の三地域は今まで森林減少地域でしたが、アジア地域は今回増加に転じました。中国における大幅な人工林の造成が要因になっています。近年1千万ha/年に近いと報告されている中国の大規模な造林への取り組みが地球的な環境指標に影響を与えるようになっています。

chikyu4-10 <GFA2005>

4 世界と日本の認証森林の現状(2006/1/9)

毎年小HPでは年初に、その時点で入手できる情報を元に前年の後半の時点で第三者により森林経営を認証された森林面積を調べて公表しています。2005年版は以下の通りです。

  地域 全森林
認証森林
内熱帯林
1000ha 1000ha 全面積比 前年比 1000ha B/A 前年比
@ A A/@ B
アフリカ 635412 1690 0.27 0.87 264 15.6 1.07
アジア 571615 6102 1.07 1.17 5192 85.1 1.04
内日本 24868 461 1.85 2.28 0 0.0
欧州 1001394 90400 9.03 1.10 0 0.0
中北米 705849 145724 20.65 1.33 1346 0.9 1.03
南米 831540 8475 1.02 1.60 6707 79.1 1.32
オセアニア 206254 6457 3.13 5.37 59 0.9 1.51
合計 3952063 258848 6.55 1.26 13568 5.2 1.16

本年初めてSGECやMTCCなどローカルな認証も含めて表を作成してました。
出所含めたエクセルファイルはこちらから

sinrin1-19 <genjo2005e>

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp