ニュースレター No.073 2004年9月4日発行 (発行部数:1200部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:グローバルな運動としてのウッドマイルズの可能性(2005/9/7)
2 カナダにおける建築の環境評価の研究(2005/9/4)
3. 影響力を広める北米の緑の建築基準(2005/9/7)

フロントページ:グローバルな運動としてのウッドマイルズの可能性(2005/9/4)
ConMat05での報告
カナダブリティシュコロンビア州バンクーバー市内で8月22日から24日に開催された、第三回建築材料国際会議(International Conferance on Construction Material)にウッドマイルズ研究会の関係者とともに参加しました。

23日には大会で"Evaluation of timber as building materials on energy issue and the Woodmiles: the background and the development of the Woodmiles Forum in Japan"(建築材料としての木材のエネルギーによる評価とウッドマイルズ:日本におけるウッドマイルズ研究会の展開と背景)(関連資料は資料室)と題する報告をし、また、24日には参加者向けのミニセミナー、25日はブリティシュコロンビア大学森林科学センターの関係者との意見交換というスケジュールでした。

ウッドマイルズは国産材の利用推進という狭い利害関係の主張ととられがちなのですが、もともと研究会が求めていたのは、輸送過程の環境負荷や地域資源の循環的な利用という点についてのグローバルな運動としての可能性です。

国際学会で報告を行い、それに併せて意見交換の場をもうけたのは、本来のウッドマイルズの趣旨にそって海外の関係者に理解を求めるということであり、研究会とウッドマイルズの運動の今後の質にも関係する重要なイベントでした。

セミナーでの参加者の広がりなど少し残念な面もありましたが、ウッドマイルズを英語で発信するためのソフトはそれなりの水準で用意ができました

また、ブリティシュコロンビア大学森林科学センターの研究者との意見交換では、ウッドマイルズに関心を持ってもらい、北米で輸送過程の環境負荷を評価に組み込む緑の建築基準(LEED)が影響力を広めているなどの指摘もあり、環境指向の消費者の近年の動きについて説明を受けました。

実りのある一週間でした。9月下旬にはサステイナブル建築東京会議(sb05tokyo)でのポスターセッションが予定されています。

以下の関係資料を資料室に掲載します
プロシーディングに収録された論文

Evaluation of timber as building materials on energy issue and the Woodmiles: the background and the development of the Woodmiles Forum in Japan 

セミナーで配布した資料 同上(プレゼン原稿、プレゼン用配付資料)
英語版ウッドマイルズマニュアル、同ウッドマイルズ研究会会則、同PR用パンフレット

ウッドマイルズ研究会関連ページ

energy 2-35 <conmat>

カナダにおける建築の環境評価の研究(2005/9/4)

UBC森林科学センターにて、
右から筆者、Cohen教授, Bull助教授,
高橋さん、滝口さん、撮影坂崎さん
ブリティシュコロンビア大学の森林科学センターでウッドマイルズについて意見交換をしている中で、同大学森林学部のDavid H. Cohen 教授が、建築の環境的な側面を研究する動きとして、「ATHENAグループhttp://www.athenasmi.ca/index.html、Consortium for Research on Renewable Industrial Materials(CRRIM)http://www.corrim.org/reports/ などの動きがあり、活発である」と二つのウェブサイトを紹介してくれました。

前者はカナダオンタリオ州のメリッジビル(Merrickville)に本部を置く非営利法人Athena Instituteの運営するもので、当該法人は、持続可能な建築のために建築の関する環境負荷を包括的に評価するためのライフサイクルアセスメントの簡易なプログラムとデータベースの開発をしてきたそうです。

後者は木材関係の団体が協力している団体で、木材の環境負荷に関するデータを開発し、前者のプログラムを使って木造建築物と他の構造のものの環境に与える影響の違いなどを公表しています。

米国の北部で木造と鉄骨を比較すると26%のCO2排出削減となり、南部で木造とコンクリートを比較すると同じく31%の削減にの二カ所の建築を木造と鉄骨、コンクリートで作った結果、CO2の排出量では木造にすると26%の削減になる(Life Cycle Environmental Performance of Renewable Building Materials in the Context of Residential Construction ES-vi→こちらから)など興味深い指摘をしています。

データベースの中身までの検討はする暇がありませんでしたが、輸送過程の環境負荷についての記述もあり興味深いです。

kokunai 3-21 <CRRIMi>

影響力を広める北米の緑の建築基準(2005/9/4)

ブルティシュコロンビア大学の森林科学センターの研究者と意見交換をしている際に、近年北米で影響力を広めている緑の建築基準(LEED)も近くの資材を利用することを得点の要素としているという指摘がありました。
(本サイトの関連記事:米国の緑の建築基準ー米国の「近くの山の木」は(2003/2/11)。、米国の建築基準の中の「輸送過程の環境負荷基準」改訂)(2004/12/12))

2010年のバンクーバー冬季オリンピック施設の建設などその基準のよって建設することとなること、また、大規模施設を対象とした評価の仕組みであったのが、近年個人住宅の評価も行うようになってきたことなど、LEEDの進展は目を見張るものがある、語っていました。

2005年8月に施行されたばかりの「住宅向けLEEDの先導的展示のための評価システム」(Rating System For Pilot Demonstration of LEED for Homes Program)では、500マイル以内の資材を利用することを求める根拠として、@輸送過程のエネルギー消費を押さえ環境負荷を軽減すること、A消費者が身近な資源を利用することにより、資源の採取過程における環境負荷への認識を高めること、という二点を指摘していています。

該当部分の訳

kokunai 3-22 <LEEDhome>

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp