ニュースレター No.063 2004年11月14日発行 (発行部数:1120部)

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:輸入ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支(2004/11/14)
2. 罰金を払わせようー森林政策エクスパートメーリングリストからから(2004/11/14)
3. 上伊那の木質ペレットプロジェクト(2004/11/14)
4. ウッドマイルズマニュアル改訂(2004/10/11)
5. 日本の認証森林現況表更新(2004/11/14)

フロントページ:輸入ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支(2004/11/14)

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「木質バイオマスエネルギーが、地球を冷やす」というタイトルで長野市で開催される連続セミナーの第一回(10月22日)に、「ウッドマイルズ指標に基づく地域材住宅・国産ペレットのすすめ」という演題で話をさせて頂きました。

主催者は、バイオマスエネルギーとして「木質ペレット」(木材の廃材などを粉砕圧縮して小さな円筒状の形にし、燃焼器具への自動補給を可能にしたも→詳しくはペレットクラブHP)の普及を進めている長野県のグループです。

最近ペレットストーブの開発などが進み、同時に地域材の廃材を利用した木質ペレット工場などが造られて体制が整いつつあります。

普及の成果が現れ地域の需要が増えた場合、安い外国産のペレットがどんどん輸入され、地域のバイオマスエネルギーの循環という理念が達成できないのではないかという危惧があります。

そこで、輸入ペレットと地域材ペレットのエネルギー収支といいう試算をしてみました。

1キログラムの木質ペレットの発熱量は17.3MJ、製造に係るエネルギーはその一割ほどだそうです。
輸入されるペレットの一番多いのは北米産で、内陸部の工場から鉄道で太平洋岸なで輸送され、日本に船積みされます。それが、日本について長野で使われるまで、輸送エネルギーは3.4MJという計算です(図の輸入ペレット1)。

また、仮に欧州から輸入されると輸送エネルーは7.5MJとなります(図の輸入ペレット2)。

木質ペレットの重要なところはカーボンニュートラルといって、発熱するときに排出されるCO2は木材が出来たときに吸収した分に相当するので、ライフサイクル全体でCO2増加の原因にならない、ということですが、製造と輸送に関わるエネルギーはその分から差し引かなければなりません。

カーボンニュートラルな発熱量は、輸入ペレットの場合地域材を使ったペレットに比べて、8割から半分になってしまうわけです。

積算の過程などは、ウッドマイルズ研究会のHPに新設予定の「ウッドマイルズ研究ノート」に発表予定です。

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罰金を払わせようー森林政策エクスパートメーリングリストから(2004/11/14)

インドネシアのボゴールにある国際林業研究センター(CIFOR)日本語のトップページ)が各国の森林政策の専門家を対象にPOLEX(Forest Policy Experts )というメーリングリストを配布しています。

便利なのは、CIFORの日本人の専門家が協力して日本語での配信をしてくれことです。過去のPOLEX日本語版 (フランス語スペイン語インドネシア語もありますので語学の勉強になります)

世界中で英文で発表された割と最近の論文の中から、政策に携わる人が関心のありそうなものを選んで解説してくれます。

11月10日に配布された最新号は「罰金を払わせよう」と題したもので、 Conservation InternationalというNGO団体が作成した. "Strengthening the Weakest Links: Strategies for Improving the Enforcement of Environmental Laws Globally." と題する最近の論文をとりあげています。

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上伊那の木質ペレットプロジェクト(2005/11/14)

10月22日の長野で開催されたセミナーの主催者は「森のライフスタイル研究所」の竹垣さんで、上伊那に本拠を置き、ペレットストーブの普及をはじめとした木質ペレットの普及に取り組んでいます。

お聞きした木質ペレット事情を紹介します。

プロジェクトの先駆けとなったシンポジウム信州・伊那谷発「バイオマスをひろめよう!」(2002年8月)の結果が、「森林バイオマスー地域エネルギーの新展開」(2003年川辺書房、NPO法人SDG・伊那谷森林バイオマス利用研究会編)という本になっています。

10月現在、全国に木質ペレットの工場は北は岩手から南は高知まで16工場が稼働中だそうですが、今年の1月に上伊那郡森林組合が、ペレット工場を立ち上げました。年間1750トンを誇る大型工場です。
関連信濃毎日新聞社説「バイオマスエネルギー活用する必然性の論理」

これと、地元の近藤鉄工所で森のストーブ「もだんろ」(名称は公募に応じた全国から134件の中らか選ばれたそうです)を開発して、普及を進めています。こちら

この冬からが本格的な展開になります。たのしみです。

(木質ペレットについては「木質ペレットの生産と流通の仕組みが日本で普及」を目指して活動しているペレットクラブのHPに詳しい解説がありますので参照下さい。)

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ウッドマイルズマニュアル改訂意見募集(2004/11/14)

ウッドマイルズ研究会では「住宅ウッドマイルズ関係指標算出マニュアル」の暫定版を昨年の9月に公表していますが、現在その改訂作業を行っています。

今回は研究会で作成した「ウッドマイルズ関係指標およびツールの更新規程」に基づく初めての作成作業で、広く意見募集をすることになっています。

近日中に配信される予定のニュースレター「木のみち」6号でに草案が掲載されますので、関心のある方は是非ご一読下さい。

木のみちの購読希望→こちら

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日本の認証森林の現況表更新(2004/11/14)

最新の第三者森林認証による認証森林リストを更新しました。

本年の9月に新たにSGECによって認証された、田爪林業、宮崎県諸県県有林、佐藤木材工業藻別社有林の3カ所が追加されています。また、FSCは10月に認証された諸塚村が追加されています。
FSCの認証森林は19件、204353」ha SGECは6件、3919haとなっています。
エクセルファイルを資料室におきます。

FSC認証森林リスト2004/11/14
no 名称 場所 contact 面積 取得時期 認証機関 公開概要
英文エイブン 和文ワブン
SCS-PM-6 速水林業 三重県海山町 速水亨 1,070 2000年1月 SCS 英文 アミタkk
SW-FM/COC-125 檮原町森林組合 高知県檮原町 中越利茂 6,278 2000年10月 Smart wood smartwood  
SCS-FM00037P アサヒビール庄原林業所 広島県庄原市 甘田隆司 2,169 2001年9月 SCS アサヒビールHP アサヒビールHP
SGS-FM/COC-0824 東京農工大学 栃木県・群馬県・埼玉県 岸洋一 902 2001年11月 SGS SGSHP  
SA-FM/coc-1228 宮川森林組合 三重県 鳥山昌章 1,814 2003年3月 Soil Association アミタkk アミタkk
SA-FM/coc-1227 吉田本家山林部 三重県 吉田正木 1,257 2003年3月 Soil Association アミタkk アミタkk
SGS-FM/COC-1330 東白川森林組合 岐阜県加茂郡東白川村 安江章吉 1,462 2003年3月 SGS 英文 和文SGSJapan
SW-FM/coc−246 山梨県県有林 山梨県 木村靖郎 143,000 2003年4月 Smart wood 英文(SMHP) 和文(山梨県HP)
SGS-FM/COC-1045 北越製紙社有林 岩手県 三上山学 3,044 2003年5月 SGS SGSHP 和文(SGSjapan)
SA-fm/coc-1263 尾鷲市有林 三重県 民部泰行 3,275 2003年6ネン Soil Association アミタkk アミタkk
SW-FM/COC-278 龍神村森林組合 和歌山県 多谷 安一 3,351 2003年8ネン Smart Woodwood 英文SWHP  
SGS-FM/COC-1469 下川町森林組合 北海道 渡辺大介 2,327 2003年8月 SGS 英文SGSHP  
SA-fm/coc-1289 岩泉町 岩手県 高橋信子 5,316 2003年8月 Smart Wood アミタkk アミタkk
SGS-FM/COC-1469 (有)三英クラフト 山形県ヤマガタケン   955 2004年1月 SGS SGSHP  
SA-FM/COC-1326 松阪飯南森林組合 三重県ミエケン 西川ニシカワ博明ヒロアキ 2,352 2004年1月 Soil Association アミタKK アミタKK
SA-FM/COC-1338 気仙地方森林組合 岩手県イワテケン住田町スミタチョウ ワキタテキヨシ 9,266 2004年3月 Soil Association アミタKK アミタKK
SA-FM/COC-1350 長野県大岡オオオカ県有林 長野県ナガノケン 太田明 207 2004年3月 Soil Association アミタKK アミタKK
SA-FM/COC-1370 中勢森林組合 三重県ミエケン 峯田定夫 1,281 2004年7月 Soil Association アミタKK アミタKK
SGS-FM/COC-1863 諸塚モロツカムラ 宮崎県ミヤザキケン東臼杵郡ヒガシウスキグンモロヅカムラ モロヅカムラ役場ヤクバ産業サンギョウ 15,027 2004年10月 SGS    

SGEC認証森林リスト2004/11/14
no 名称 場所 関連HP 面積 取得時期 審査機関 関連カンレン情報ジョウホウへリンク
SGECバヤシキョウ1 日本製紙北山キタヤマ社有林シャユウリン 静岡県富士宮市フジノミヤシ 日本ユニパックグループ 673 2003年12月 日本林業技術ギジュツ協会キョウカイ 公開概要コウカイガイヨウpdf
SGECゼンリンキョウ1 王子製紙カミ稲子イナコ山林サンリン 静岡県芝川町シバカワチョウ 王子製紙 211 2003年12月 全国林業改良カイリョウ普及フキュウ協会キョウカイ 審査シンサ報告ホウコク
SGEC日林ニチリンキョウ2 王子オウジ製紙セイシ扶桑フソウヤマ 和歌山県ワカヤマケン本宮町ホングウチョウ 王子製紙 645 2004年3月 日本林業技術ギジュツ協会キョウカイ 公開概要コウカイガイヨウpdf
SGECゼンリンキョウ2 ツメ林業リンギョウ所有林ショユウリン 宮崎県児湯郡   245 2004年9月 全国林業改良カイリョウ普及フキュウ協会キョウカイ 審査シンサ速報ソクホウ
SGECゼンリンキョウ3 宮崎ミヤザキケンモロケンケンユウリン 宮崎県東諸県郡・西ニシ諸県郡   1576 2004年9月 全国林業改良カイリョウ普及フキュウ協会キョウカイ 審査シンサ速報ソクホウ
SGECゼンリンキョウ4 佐藤サトウ木材モクザイ工業コウギョウ藻別モベツ社有林シャユウリン 北海ホッカイドウ紋別市モンベツシ ウッドプラザ北海道ホッカイドウ 569 2004年9月 全国林業改良カイリョウ普及フキュウ協会キョウカイ 審査シンサ報告ホウコク

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最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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