ニュースレター No.052 2003年12月15日発行 (発行部数:1010部)

 

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:エコプロダクツ2003とグリーン購入(2003/12/15)
2 東三河環境認証材とウッドマイルズ(2003/12/15)
3. ウッドマイルズ研究会ニュースレター「木のみち第二号」(2003/12/15)
4. 第12回世界林業会議の記録(2003/12/15)

1. フロントページ:エコプロダクツ2003とグリーン購入(2003/12/15)

森林認証、ラベリング、ウッドマイルズなど、最近の小ホームページの話題は消費者や企業が価格や性能だけではなく環境に配慮した商品を選択的に購入(グリーン購入)する可能性がある、という仮説に基づいています。

このグリーン購入をテーマとした総合的なイベントであるエコプロダクツ2003が12月11日から13日まで東京ビックサイトで開催されていました。イベントの主体は名前の通り「エコプロダクツ=地球環境に与える影響を少なくした製品・サービス」の紹介の展示会で、参加企業415社が自社製品を展示しPRにつとめています。また、もう一つはサイドイベントとしてのセミナーですが、「グリーン購入と持続可能な消費国際フォーラム」をのぞいていました。

(1)エコプロダクツとしての森林と木材

展示会の参加企業数は415社は昨年の370に比べて大幅な増加ですから、少なくともグリーン購入はビジネスサイドからは重要なテーマとして認識されるようになってきていることは間違えないようです。

森林関係はFSC製品のスタンプラリーをやっていました。参加企業は王子製紙、キャノン販売、久栄社、共同印刷、コクヨ、大日本印刷、凸版印刷、富士ゼロックスオフィスサプライ、文祥堂印刷、三菱製紙、三菱製紙販売、NBSリコー、共同印刷です。この顔ぶれから見てわかるように、FSCの商品は現在のところ紙製品が中心で、紙製品については現時点では三菱製紙王子製紙の二社がコピー印刷用紙を国内で製造販売し、他のメーカーはその加工品、印刷物を取り扱う、ということのようです。FSCというロゴをこれらの企業が展示の中に持ち込んでいるわけで、少なくともこれらの社はcoc認証を取っているのだそうで。

林産物の大きな需要形態である木材と紙という二つのカテゴリーのうち、グリーン購入については紙が先行しているということは、ビッグビジネス手動でグリーン購入が動いていることを示しています。

先般の米国の木材業界の言い分ではないですが、「エコマテリアルである木材」というものを、正面からこのようなグリーン購入の最前線のイベントにどう持ち込んでくるか、課題だと思いました。そして、ウッドマイルズのブースも来年は欲しいです。

(2)グリーン購入と持続可能な消費国際フォーラム

サイドイベントとしてセミナーの中で第二回持続可能な消費ワークショップをのぞいてみました。経済産業省が資金提供し産業総合研究所のライフサイクルアセスメントセンターが実施している、持続可能な消費に向けた指標開発とその活用に関する研究」というプロジェクトの主催する国際ワークショップです。

自治体・企業の間で、ある程度定着してきた、グリーン購入を、最終消費者レベルにどう展開するかということは、先進地域である、欧州でも課題となっているようです。

研究の最前線のことを要領よくまとめて紹介することはできませんが、消費者に受け入れられる可能性(社会的受容性というのだそうですが)についてはいろんな角度から実証されていて、消費者に環境に易しいという程度を示す具体的数値(環境効率指標)が定義され、消費者に明確に示される(タイプVエコラベル)ことが重要であること、そして、指標の候補の中で二酸化炭素の排出量が最も説得力あるものとなっていそうだということがわかりました。

ウッドマイルズ運動というのも最先端をいっているかもしれません。

海外では国連環境計画(UNEP)が研究の牽引力になっているようです。
持続可能な消費トップページ

2. 東三河環境材認証とウッドマイルズ(2003/12/14)

11月28日東三河流域活性化センターや、NPO法人穂の国森づくりの会が取り組んでいる、東三河環境認証材制度に関連して、「近くの山の木に関する研修会」が開かれ、認証材やウッドマイルズに関して話をする機会がありました。各地の地域材認証やウッドマイルズそして古くから三河材ブランド化などに取り組んでいた実績と認証材の関係など色々考える機会でした。

林野庁の調べによると、都道府県レベルで何らかの形で地域材認証に取り組んでいるのは、23県に及びます。県産材や地域材に振興を具体的な施策に取り組んだり、消費者にアピールする手段として工夫を凝らして取り組んでいるところのようです。私は山側の消費者へのアプローチという姿勢は大いに評価しますが、それが、県産材という地域産品の購入運動として展開する限り、ちょっと限界があるのではないかと危惧します。

そういう意味で、東三河の取り組みが環境認証材とあえて主張しているところに魅力を感じています。

様々の森林・木材の認証制度がありますが、ポイントは消費者にどう受け入れられるかです。その点、FSCにしてもこれから市場にでてくるであろうSGEC緑の循環認証にしろ、未知数のものです。

地域材の環境認証のメリットは、流域にターゲットを絞った明確なマーケティング戦略がくめることです。当面は豊橋市、次は名古屋市の行政と市民に対して「環境に優しい地域材」売り込みます。

また、地域材のメリットはウッドマイルズとの連携によるマーケティングの可能性です。豊橋市民が三河在住宅をたてると、普通の木材を使った場合と比べ京都議定書13年分の排出削減になる、という説明が可能になります。

参考資料
東三河環境在住宅のウッドマイルズ評価(パワーポイント)
東三河環境認証材の概要
「東三河環境認証材」認証制度検討会報告書を資料室に置きます。


3.ウッドマイルズ研究会ニュースレター「木のみち第二号」

ウッドマイルズ研究会のニュースレター第二号が11月末に発行されました。

林野行政のトップである林野庁長官にコラムを執筆いただきました。石原長官には農林水産省公報の中でウッドマイルズのPRをしていただいています。また、高知県知事の顧問就任、京都の白石会員の記事など、など地方の行政とタイアップした動きが広がっているのが、わかります。
まだ購読されていない方は、こちらのページからどうぞ。

目次は以下の通りです。

1. 研究会ニュース
 -1 高知県知事の顧問就任                   藤原 敬
 -2 自立循環型住宅とウッドマイルズ              坂崎 有祐
 -3 地域材を使った家が建売で
   ―大阪・彩都ニュータウン分譲住宅「木の家」        三澤 文子
 -4 ウッドマイルズと米国の林産業界              藤原 敬
2.【新連載】環境問答 
      『化学物質のリスク』                 野池 政宏
3.【連載】第2回ウッドマイルズ概論
      第一章ウッドマイルズの背景と経緯           藤原 敬
4. コラム
 -1 ウッドマイルズ研究会に期待する         林野庁長官 石原 葵
 -2 地域材認証とウッドマイレージ    京都府農林水産部林務課 白石 秀智
5. ウッドマイルズ会員投稿の広場
 -1 森林総研での「ウッドマイルズ所内勉強会」立ち上げのお知らせ  野田英志(森林総研 林業経営・政策研究領域)
 -2 第一回「しん森日光家具・工芸展」開催             荻田 浩 (経営支援NPOクラブ理事)
6. 新規会員紹介 ・ (続)ウッドマイルズ研究会運営委員紹介
7. 入会案内
8. 事務局だより



4.第12回 世界林業会議の記録

少し旧聞になりますが、「地球規模での森林管理・経営の実現のために意見・提案の交換の場となる」ことを標榜している本HPで、今年9月にカナダで行われた第12回世界林業会議(]U World Forestry Congress)をはずすわけにはいきません。

約6年に一回開催される林業関係者の集まる大きなイベントです。

今回は「森林、命の源泉:地球とその住民のために」というテーマのもとに、4000人を越える関係者が集まりました。

「森林の不可逆的な減少と劣化が恐るべき速度で続いていることを深く憂慮する。」という認識のもとに、「森林に関する国際的な合意の実施」をもとめている、声明文(英文≪大会公式サイト≫和訳≪林野庁サイト≫)に、現在の世界のフォレスターのコンセンサスが集約されています。

関連情報

林野庁プレスリリース(声明文、過去の経緯など)
大会本部の公式サイト
FAO関連サイト(32の招待論文、専門家により選択された200のボランタリーペーパーを入手できる)

日本の参加者の関係

林政総合研究所小澤普照理事長
穂の国の森林づくりの会

最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp

 

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