ニュースレター No.049 2003年9月21日発行 (発行部数:900部)

 

このレターは、「持続可能な森林経営のための勉強部屋」というHPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。

情報提供して いただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちら考えて いる方に配信しています。御意見をいただければ幸いです。 
                                                    藤原

目次
1.
フロントページ:高知県知事とウッドマイルズ(2003/09/21)
2. 高知県の森林認証の取り組みー高知県森林認証利用住宅補助金(2003/09/21)
3. ウッドマイルズ関係指標算出マニュアル暫定案(2003/9/21)
4. ウッドマイルズ研究会ニュースレターとニューアドレス(2003/9/21)
5. 森林林業白書の英語版(2003/09/21)
6. 木の輸入と水の輸入(2003/08/26)

1. 「こんなおもしろいは話だとは思わなかった」ー高知県知事とウッドマイルズ(2003/09/21)
9月17日高知県庁で、橋本知事とウッドマイルズについて話し合う機会がありました。

県庁森林局主催の「木の文化セミナー県産材利用の可能性をさぐる」という催しで、森林認証とウッドマイルズについて話をする機会があり、その流れで知事との面談が実現したもの。

旧知の熊崎実ウッドマイルズ研究会会長の親書を渡し、ウッドマイルズについて少しばかり説明をさせてもらいました。

高知県では全国に先駆け森林環境税を導入し、森林認証材利用住宅に補助金を出すなど、全国一の森林率を誇る森林県にふさわしく、積極的な森林政策を進めています。そのリーダーシップをとられている橋本知事にはきっとウッドマイルズの趣旨については、ご理解をいただけるもの、と、思っていましたが、結果は予想をこえるもの。

私の方から、エコマテリアル木材の輸送過程の消費エネルギーなどポイントになる背景説明と、住宅ウッドマイルズの事例研究の概要などをご説明すると、熱心にメモをとりながらお聞きになり、「地産地消のおもしろい指標だ」と、ウッドマイルズのポイントを指摘されました。

高知県では、県政の四つの柱の一つに「循環型社会の先進地を目指す」というものがあり、県庁内でこの具体化の議論をされているようですが、知事はその議論の具体化のためにウッドマイルズを検討したいと、同席した県森林局幹部と話をされていました。

研究会の顧問就任とという具体的なお願いも快く承諾をいただき、20分間の予定を10分間延長した面会時間の最後に「こんなおもしろい話だとは思わなかった」という言葉をいただきました。


2. 高知県の森林認証の取り組みー高知県森林認証利用住宅補助金(2003/09/21)

ある森林認証制度のがうまく進む唯一の条件は、その認証材についての需要があることです。一般的にそれは、緑の消費者といわれている環境にこだわりのある市民の商品選択に依存しています。ただし、日本の場合の認証材マーケットの開拓には自治体の調達政策、住宅政策の支援が必要だというのが私の主張でした。(「地域材にグローバルスタンダードの視点を」参照)

この認証材のマーケットに向けた住宅政策の手本のような制度が、今年度から高知県で施行されています。「高知県森林認証材利用住宅推進事業費補助金」というのがその制度の名前で、「知事が指定する環境や生態系に配慮し適正な管理をしていることを認証された森林から生産される木材を利用した新築または増築による住宅を個人が取得するための経費に対して」(交付要綱第二条)10万円の補助金を交付するというものです。(檮原町から別途10万円の計20万円の助成)

高知県内だけでなく県外で建築される住宅も一定の条件の下対象となるとしています。認証材をサポートする制度としては画期的なもので、森林環境税とともに各県が目標とすべき、高知県の先進的な施策展開といえます。高知県森林局からいただいた補助金交付要綱、同交付要領などのファイルを資料室に置きます。


3.ウッドマイルズ関係指標算出マニュアル暫定案(2003/9/21)

ウッドマイルズ研究会の目的は、「木材の産地から消費地までの距離(ウッドマイルズ)に関する指標の開発と普及を行うこと」(会則第2条)ですが、指標開発の第一歩としてマニュアル暫定案が公表されました。(ウッドマイルズ研究会ホームページへ

このマニュアルは、「住宅に使用される木材の量と輸送距離に関する指標(住宅ウッドマイレージ)を算出する方法について、再現性があり客観的な計算手法を示すマニュアルを作成し関係者が誰でも算出できるような環境を整え」(1-1趣旨)ようと、意図したものです。

今回の暫定案では、ウッドマイルズ関連指標として、次の四つの指標を提案し、その計算手法を提示していますています。

名称 定義 単位
住宅ウッドマイレージ 住宅建築に使用された木材産地毎に産地からの輸送経路に基づく距離に当該木材の材積を乗じて得られる指数 km・m3
住宅ウッドマイレージCO2 上記の輸送経路に応じた輸送形状(原木か製品か)毎、輸送手段(自動車、鉄道、船舶など)毎の距離に応じて排出される二酸化炭素の量を示す指数 CO2-t
住宅ウッドマイレージL 住宅使用木材の産地毎に、建築地点から木材の収穫産地の直線距離(材種別ウッドマイルズL)に当該木材の材積を乗じて得られる指数 km・m3

流通把握度

住宅使用木材のうち、木材の収穫地点から建築地点までの加工貯蔵される箇所が明らかになっている程度を表す指数

この暫定案に従い、具体的な住宅の建築プロジェクトに沿ってはじめて、住宅ウッドマイルズCO2などの指標が積算することが可能になりますが、研究会では、これはあくまで暫定案であり「研究会内外のそれらの声を集め、正式版に向けて蓄積をはかってゆきたい」としています。


4. ウッドマイルズ研究会ニュースレターとニューアドレス(2003/09/21)

ウッドマイルズ研究会のニュースレター創刊号が「木のみち」というタイトルで9月18日発刊しました。

小生もウッドマイルズ概論という小論を連載させてもらうことになりました。そのほかに、ロゴの決定、指標算出マニュアル案の発表、建築研究所OBの小玉神戸芸術工科大学教授からのメッセージなど、盛りだくさんです。

会員外にも配布されますので、まだ申し込んでおられない方はこちら(info@woodmiles.net)からどうぞ。

また、ウッドマイルズ研究会のホームページもアドレスが変わり、内容も一新されました。アドレスは「ウッドマイルズネット(!!)」だそうです。 URL  http://woodmiles.net 


5. 2002年度森林林業白書の英語版(2003/09/21)

林野庁が毎年作成している森林林業白書の概要英語版が出来あがりました。我が国の林業関係英語での情報発信がきわめて少ないのですが、数少ない公式の英文情報です。林野庁からファイルの提供をうけましたので、資料室におきます。

目次は次の通りです

ChapterT: Global Trends in Forests and Direction of ForestManagement inJapan
ChapterU: Forest Management and Revitalization of Mountain Villages 
ChapterV: Sustainable and SoundDevelopment ofForestry 
ChapterW: Securing theSupply andUtilization of WoodProducts
ChapterX: Promotion of Reform in National Forest Management 

6. 木の輸入と水の輸入(2003/08/26)

大日本山林会の小林会長から「輸入材をめぐる視点」という原稿をおくっていただきました。森林・木質資源利用先端技術推進協議会(APAST)の同名の機関誌の巻頭言にかかれたものです。

最近、我が国食糧の大量輸入を世界の国の水環境の攪乱要素という面で分析した論調が目に付きますが、木材の場合も同じなのではないか、というご指摘です。小生は盛んに、ウッドマイルズという形で木材輸入の輸送過程のエネルギー問題を指摘するので、「別の角度から材輸入の問題点を指摘する論点もあるよ」、といサジェッションです。(同様な指摘は他にも何人かいただきました)

お許しを得て、全文を掲載させていただきます。(こちらから

地球環境と水、問題そして我が国の輸入に関して、virtual water(仮想水)という概念に基づいて世界的な研究が行われているようですが、これにに関して大変分かりやすいサイトを、横浜i市立大学の毛利勝彦助教授に紹介していただきました。東京大学生産技術研究所の沖大幹教授の「世界に水危機、日本の水問題」というページです。

この問題の背景から、我が国が農産物を輸入することにより外国の水をどの程度輸入していることになるのか(こちら)、という具体的なデータまで、分かりやすく解説しています。この問題に関心ある方の必見サイトです。 




最後までお読みいただきありがとうございました。

藤原敬 fujiwara@t.nifty.jp