パリ協定長期戦略と木材を中心とした循環社会(2019/5/15)



パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」に対する意見の募集がされました。

日常のしがらみを離れた?長期戦略の中で「木材を中心とした循環社会」がどのように描かれているのか、いないのか?

連休中に読んで意見をまとめてみました。

パリ協定第 4条19 項 基づいて全ての締約国が立案する(よう努力する)ことを求められている、「温室効果ガスについて低排出型の発展のための長期的な戦略」の案なのだそうです。

上記の電子政府の窓口ページからは、意見を求められる長期戦略の案の他に、作成過程のパリ協定長期成長戦略懇談会の議論の過程と懇談会の提言まで公表されており興味深いです。

(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)」の概要)

意見募集に係っている文章は5章80ページにわたるものです。

パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略(仮称)(案)

気候変動対策(緩和策)にとって、森林林業関係者が関心をもっているのは、温室効果ガスの吸収源としての森林の管理方針、森林の固定化された炭素の固定期間に関係する伐採後の木材の利用方法、化石資源のからなる資材の利用を代替する木材やエネルギー利用です。

木材を中心とした循環社会がどのように描かれているのか?

その辺からみた、章立てと関連するチェックポイントは以下の通りです。

章立て 関連する事項
はじめに:気候変動と経済・社会を巡る最近の状況 ,
第1章:基本的考え方 ,
第2章:各部門の長期的なビジョンとそれに向けた対策・施策の方向性 . ,
  第1節:排出削減対策・施策 ,
    1.エネルギー. 〔3〕施策の方向性@再生可能エネルギー(バイオマスについての記述なし)
    2.産業 エネルギー多消費型産業構造についての記述(循環型資源である木質資源に関する記述がない)
    3.運輸 ,
    4.地域・くらし 〔3〕@カーボンニュートラルCNな暮らしへの転換(a)住宅建築物での取組(木材に関する記述なし)、Aカーボンニュートラルな地域づくり(c)CNな農山村づくりB地域における物質循環(循環資源としての木材にとって重要な節だが)、
  第2節:吸収源対策 森林に関する簡単な記述(森林整備,早生樹種の普及など)、木材製品の固定など記載がたりない
第3章:重点的に取り組む横断的施策 ,
  第1節:イノベーションの推進 技術イノベーションC再生可能エネルギー(バイオマスに付いての記述なし)
  第2節:グリーン・ファイナンスの推進 ,拡大するグリーンファイナンスが森林や木材産業に向かってくる道筋は?
  第3節:ビジネス主導の国際展開、国際協力 (4)公的資金の活用を含む民間資金による気候変動対策への投資(森林環境税などに関する記述はない)、国際的なルール作りへの貢献、農林水産分野における気候変動対策の国際展開〔森林減少対策への記述が少しあり)
第4章:その他の部門横断的な施策の方向性 〔1〕人材育成((5)カーボンプライシングなど重要な内容(だけど反対意見があってカーボンプライシングについてはしっかり書けないみたい)
第5章:長期戦略のレビューと実践 ,

〔長期戦略案に対する意見)

概要以下のような意見を提出しました

【バイオマスエネルギーに関する記述を充実】
 バイオマスエネルギーについては、長期安定的な電源としていくため、現在施行されているサプライチェーンに関する「発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドライン」(林野庁)に加えて、発電規模の条件、熱電併給へ誘導、製造過程輸送過程の温室効果ガス排出量に関する基準の導入などをはかる

【循環社会の主役である木材・地域材利用の促進の重要性を記載】
木材地域材のライフサイクル環境性能の特質に注目し、地域材を利用した町並み形成、利用住宅の推進をはかる趣旨を記載すべき。
木造住宅と鉄骨、鉄筋コンクリート構造の建築物のライフサイクルエネルギーについての一般的な比較が蓄積されており、また、地域材の輸入材の輸送エネルギーの重要性も指摘されており、住宅新設時点で評価選択される必要がある。
わが国は他の消費国に先駆けて「公共建築物の木材利用促進法」を施行し、農林水産省、国土交通省、文科省などが連携して組織的体系的な取組を行っており、これらのフレームとその成果を特に消費国に共有することが必要である。

【伐採後の木材に吸収量としての評価をシステム化する課題を記載】
伐採木材製品の態様を吸収源の観点から把握する適切な手法が「国際的にも」確立されていない。他国の森林で伐採された木材がわが国に輸入されて建築物の部材として長期間利用されるケース、わが国の森林伐採木材が輸出されて他国で利用されるケースなどがあり、効果的に機能を発揮させ管理するには国際連携がきわめて重要である。
関連する伐採木材の利用と吸収量の評価などについて、国際的な課題があり、日本が重要な役割を担う可能性がある

【カーボンプライシングの重要性を記載】
「我が国は、最終到達点として「脱炭素社会」を掲げ、それを野心的に今世紀後半のできるだけ早期に実現していくことを目指」し・・・、「大胆に施策に取り組む」〔本文書基本的考え方〕」としておりこり、カーボンプライシング(炭素に価格をつけ消費者が払う、炭素税など)はこの長期戦略上重要なツールである」。
(ビジネスサイドから色々反対があり、もっとも重要なことが記載できないのは問題)

提出した本文はこちらにおいてあります。

kokusai2-68<cyokisen>

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