全ての炭素排出量をオフセットするのに必要な樹木は地球上に未来永劫ありませんー人新生における森林の役割(2021/5/15)

The Conversationというサイトに、There aren’t enough trees in the world to offset society’s carbon emissions ? and there never will beと題する、記事が掲載されています。

翻訳すると、「全ての炭素排出量をオフセットするのに必要な樹木は地球上にありませんー未来永劫ありません

筆者はBonnie Waring Senior Lecturer, Grantham Institute - Climate Change and Environment, Imperial College London(写真右:コスタリカのらセルバ生物研究所で研究を行っている筆者、だそうです)

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一番のポイントの部分を翻訳して紹介します

 Our society asks so much of these fragile ecosystems, which control freshwater availability for millions of people and are home to?two thirds?of the planet’s terrestrial biodiversity. And increasingly, we have placed a new demand on these forests- to save us from human-caused climate change.  何百万もの人々の淡水の利用可能性を制御し、地球の陸生生物多様性の3分の2が生息する、森林ー脆弱な生態系に、我々の社会はの多くを求めています。そして、私たちはますます、人為的な気候変動から救うために、これらの森林に新たな要求を課しています。
 Plants absorb CO? from the atmosphere, transforming it into leaves, wood and roots. This everyday miracle has spurred?hopes?that plants ? particularly fast growing tropical trees ? can act as a natural brake on climate change, capturing much of the CO? emitted by fossil fuel burning. Across the world, governments, companies and conservation charities have pledged to conserve or plant?massive?numbers of trees.  植物は大気からCO2を吸収し、葉、木、根に変換します。この日常の奇跡は、植物、特に成長の早い熱帯樹木が気候変動の自然なブレーキとして機能し、化石燃料の燃焼によって排出されるCO2の多くを捕捉できるという期待に拍車をかけています。世界中の政府、企業、自然保護慈善団体は、膨大な数の木を保護または植えることを約束しています。
 But the fact is that there aren’t enough trees to offset society’s carbon emissions ? and there never will be.  しかし、実際には、社会の炭素排出量を相殺するのに十分な樹木はありません。そして、決してそうなることはありません。
 I recently conducted a?review?of the available scientific literature to assess how much carbon forests could feasibly absorb. If we absolutely maximised the amount of vegetation all land on Earth could hold, we’d sequester enough carbon to offset about ten years of greenhouse gas emissions at current rates. After that, there could be?no further?increase in carbon capture. 私は最近、利用可能な科学文献のレビューを実施して、炭素林がどれだけの炭素林を実現可能に吸収できるかを評価しました。地球上のすべての土地が保持できる植生の量を絶対的に最大化した場合、現在の速度で約10年間の温室効果ガス放出を相殺するのに十分な炭素を隔離します。その後、炭素回収量はこれ以上増加しません。 
   

上記にもあるように文献のレビューをした結果なForests and Decarbonization ? Roles of Natural and Planted Forests等も紹介しながら、最近、森林の一部の機能に着目した過大な期待が寄せられていることを心配する、丁寧な説明をしています。

もちろん森林は、カーボンニュートラルな社会をつくるために大切な役割を果たすことは間違えないのですが、それに過大な期待が寄せられて大切なチャレンジがおろそかにならないように、という忠告ですね。、

最後の一文を紹介して終わります。
It occurred to me, as I packed up my equipment to return to the lab, that thousands of such small dramas were playing out around me in parallel. Forests are so much more than just carbon stores. They are the unknowably complex green webs that bind together the fates of millions of known species, with millions more still waiting to be discovered. To survive and thrive in a future of dramatic global change, we will have to respect that tangled web and our place in it.  研究室に戻るために機器を梱包していると、何千ものそのような小さなドラマが私の周りで並行して再生されていることに気づきました。森林は単なる炭素貯蔵以上のものです。それらは、数百万の既知の種の運命を結びつける、知らないうちに複雑な緑色の網であり、さらに数百万が発見されるのを待っています。劇的な地球規模の変化の未来で生き残り、繁栄するために、私たちは、森林のもつれた網とその中での私たちの位置を、尊重しなければなりません。 

もちろん、カーボンニュートラルに向かう非常事態の社会に森林の炭素貯蔵機能は大切な役割をもっています。が、カーボンストックより、沢山の未来へのドラマ詰まった・・・森林は、人新生にとって大切なモノですね。

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