環境経済・政策学会2007年大会コレクション(2007/10/14)

10月7/8日彦根市の滋賀大学で表記大会が開催されました。今年の大会には残念ながら報告することができませんでしたが、このサイトの立ち上げの動機にかかる重要な学会であり、温暖化政策や、環境と貿易などでの最新の情報収集や、森林管理について森林学会関係者以外の研究動向など、興味があり、参加してきました。

プログラムとすべての報告要旨がこちらのサイトからダウンロードできます

この学会での報告の目玉は温暖化問題です。京都メカニズム、データ分析、排出権取引、ポスト2012、国内政策など、セッションが6つもあり、30以上の報告が並んでいます。国際的には森林問題がポスト2012の中で大きな議論になっていますが、森林を特別にターゲットにしたものをなし。排出量取引がホットな話題です。

環境経済政策分野の研究者が大勢森林を対象とした研究に取り組むことが行政と研究の発展にとっても重要だと思いますが、環境と貿易にセッションでおもしろい報告がありました


気のついた報告を一覧表にしてみました。
森林と森林政策の評価
持続可能な森林管理に必要な将来費用と、財源調達について 植村哲士 M11 水源基金から排出権取引までの多様な財源調達手段を検討
貿易と環境
欧米の経験からみるFTAの環境影響評価の役割と限界 林希一郎(名古屋大学) K21 米国カナダ、EUの対チリ協定のにおける環境アセスのできばえは
WTO貿易と環境に関する委員会の交渉 原嶋洋平(拓殖大学) K22 持続可能な森林から産出された木材の環境物品としての認定し、優先的に自由化措置などが議論
森林の持続可能性のための貿易政策 島本美保子(法政大学) K23 林産物貿易関税が持続可能な森林管理にとって、継続的に必要な政策手段であることを論証
森林保全インセンティヴを考慮した世界林産物貿易モデルの構築ー空間均衡モデルによる接近 持田亮(九州大学) K24 ある一定量の森林を各国で保全しなければならないときに必要は資金量を算出できるモデル
再生可能エネルギー
更新性資源ベースでの地域経済指標としてのエネルギー永続地帯 馬上丈司(千葉大学) H12 再生エネルギーで自給可能な地域を表示
バイオエタノール生産における環境負荷削減効果と地域経済効果の推計 林岳(農林水産政策研究所) H13 北海道十勝地域におけるプロジェクトの効果
バイオマスエネルギーを基軸とした地産地消のエネルギーーネットワーク構想に関する地域研究 横山孝雄(兵庫県立大学) H14 バイオマス変換のシステムの効率性比較
「グリーン熱証書」の木質バイオマスへの政策的な使用と評価 井筒耕平(環境エネルギー政策研究所) H23 再生可能エネルギー普及のツールとしての「グリーン熱証書」でのペレットストーブ普及事例
温暖化問題の基礎:排出権取引を中心として
日本政府によるカーボンクレジット活用策の評価:京都メカニズムクレジット取得事業と国内排出量取引制度を中心に 明日香壽川(東北大学) A12 現行の排出量取引制度の説明と比較
排出権CDM事業:供給独占への対応 為近英恵(大阪大学) A13 京都議定書の削減量の足りない分を旧ソ連から購入するというシナリオの問題点と回避策
なぜ日本で温暖化対策としてCap&Tradeが採用されないのか? 山口光恒(慶応大学) D11 EUや米国で導入されつつある、排出量の上限を決めた排出量取引が日本の風土に合わないといおう話
脱炭素社会に向けた国内排出量取引制度提案 諸富徹(一橋大学) D12 EUと米国の先例調査に基づく制度提案
自主参加型国内排出量取引制度の特徴、政策的意義とその評価 二宮康司 D13 環境省の補助金によるプロジェクトはミニでも貴重な経験
排出権取引は何をもたらすかーEUETSの本質 岡敏広(福井県立大学) D14 初期配分の難しさによって、制度の問題点が生まれている
東京都の温暖化対策施策の展開と国の施策への影響 山下紀明(環境エネルギー政策研究所) A34 各国で自治体の取組が、国の取組に影響を与える事例があるが、東京の場合は
炭素税による温暖化対策の不確実性に関する一考察 清水徹(麗澤大学) A35 炭素税によるCO2削減は可能であり、エネルギー価格の変動によって効果は変わる




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