木材資源利用の現状と課題―発電用の急増動向を踏まえてー林業経済学会秋の大会から(2016/11/27)

11月11-14日島根大学で林業経済学会2016年秋季大会があり、ばたばたと一泊二日で出席してきました。

林業経済誌の読者を集う、ビジネスとしても重要なイベントですが、一番の目当ては二日目のテーマ別セッション「木材資源利用の現状と課題―発電用の急増動向を踏まえてー」でした。プログラムは以下のとおり。

久保山 裕史(森林総研)・他   木質バイオマス発電における熱電併給事業の経済性評価  要旨  熱電併給の木質バイオマス発電事業採算性評価ツールを開発
 古俣 寛隆(北林試研)・他  FIT導入21年目以降の木質バイオマス発電事業に関する一考察 -将来の調達価格などの変動が与える影響-  要旨  固定価格終了後のFITバイオマス発電事業のシミュレーション、大変厳しい結果
 風 聡一郎(金沢大学)・他  温浴施設における薪ボイラーの導入実態  要旨
+報告資料
全国3自治体の導入事例、
 根本 和宜(国環研)・他  家庭向け木質バイオマス燃料の流通構造と課題  要旨  インターネットモニターによる調査
 福田 淳(林野庁)  木質バイオマスのエネルギー利用に関する最新の動向について  要旨
+報告資料
 新たに始めた政府木質バイオマス発電所利用量年次調査第一報
 都築 伸行(森林総研)・他  北陸地方における県森連による広域集材の実態と木質バイオマス発電プラントの設立に伴う木材需給の変化  要旨  地域的に拡大する木材需給を県森連という主体が担えるか
 横田 康裕(森林総研)  木質バイオマス発電のための原燃料の安定供給体制の構築  要旨  川下が主導する供給ネットワークの管理、信頼性の拡大が課題
 吉田 美佳(筑波大)  燃料用木質チップのサプライチェーンマネジメント形態と利害関係者の役割  要旨  海外のサプライチェーンと国内の零細チェーンの比較が必要か
 相川 高信(自然エネ研)  木質バイオマス発電の需給調整を巡る政府間関係の整理と分析  要旨  自治体主導の縦割り解消ができるか

要旨全体の一括ダウンロードはこちらから→テーマ別セッション1>>PDF形式 1.2MB
林業経済学会ウェブサイト

現場の丹念な調査に基づく熱電併給、需給安定など重要な政策課題に関する情報、行政の連携性への問題提起など、重要な報告が並んでいます。

来年に論文がオープンになるので、それまで報告データの開示が難しい方が多いので、少しお待ちを。

環境特性に応じて買い取り価格を規定するFITで、決定的に重要なサプライチェーンの信頼性という課題に迫る論考がなかったのは少し残念です。

「発電用の急増動向を踏まえて」と需給問題に特化する課題設定だったからなのかもしれませんが、「木材資源利用の現状と課題」というテーマでは生産者と消費者をつなぐ意味で木質原料の環境性能は欠かせない視点です。

3月の森林学会で次があるようなので期待しましょう。

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