第6次エネルギー基本計画案ーパブコメ提出しました(2021/10/3)

9月3日に公開されてた第6次エネルギー基本計画案(以下計画案)、森林やバイオマスについて結構重要な内容みたいなので、意見募集にむけて、9月15日に内容の整理をしご報告していましたが、10月3日付で、提出しました。

左の図が前回整理したパブコメのチェックポイント整理表に、後述する今回作成した提出意見をはめ込んだものです。

チェックポイントAカーボンオフセットと森林・木材の評価、 Bエネルギー需要の削減と建築材料としての木材利用、C地産地消と運輸部門のエネルギー、D1 木質バイオマスの多面的貢献度評価、D2 木質バイオマスの熱利用、D3 輸入木質バイオマスのリスク評価

提出意見をチェックポイント(CP)に沿って整理すると以下の通りです

章  節  CP 番号 原文   修正意見  理由
4.2050年カーボンニュートラル実現に向けた課題と対応    (1)2050年カーボンニュートラル時代のエネルギー需給構造   A  ①  638行から「各部門においては省エネルギーや脱炭素化が進展するものの、二酸化炭素の排出が避けられない分野も存在し、それらの分野からの排出に対しては、DACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage)、森林吸収源などにより二酸化炭素が除去され る。  638行から「各部門においては省エネルギーや脱炭素化が進展するものの、二酸化炭素の排出が避けられない分野も存在し、それらの分野からの排出に対しては、DACCS(Direct Air Carbon Capture and Storage)やBECCS(Bio-energy with Carbon Capture and Storage)、森林吸収源、持続可能な木材利用などにより二酸化炭素が除去され る。 カーボンオフセットの対象サンプルにDACCSやBECCSなど現在実用化されていない、皆がよく知らない例がならんでいます。DACCSやBECCS開発の重要性を示す意味は分かりますが、サンプルを示すならなるべくわかりやすい例も記載すべきです。木材利用については、この8月に国土交通省、経済産業省、環境省が「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」を公表し、その中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載してあり、重要なコンセンサスが進んでいます。
 (3)電力部門に求められる取組
①再生可能エネルギーにおける対応
 D1  ②  ・・・こうした課題にこたえるために、・・・立地制約の克服やコスト低減に不可欠な次世代型太陽電池、浮体式洋上風力発電といった革新技術の開発を進める。  ・・・こうした課題にこたえるために、・・・立地制約の克服やコスト低減に不可欠な次世代型太陽電池、浮体式洋上風力発電といった革新技術の開発を進める。またローカルな地域の循環資源や社会活性化などにつながる木質バイオマス発電の着実な発展につとめる。  木質バイオマスが電力供給の主流化する流れにないので、このセッションで木質バイオマス発電のことを記載していないのでしょうが、「電力部門に求められている取組」は大型化効率化という視点だけでなく、発電施設の設置運営過程で、地元の市民や地元のビジネス、資源とどのように連携していくかという視点が必要だと思います。そういう観点から木質バイオマス発電について、ぜひ触れて下さい
 (4)産業・業務・家庭・運輸部門に求められる取組
②業務家庭部門における対応
 AB  ③  これらの課題を踏まえつつ、建築物省エネ法や省エネ法 に基づく規制措置強化と支援措置の組み合わせを通じ、既築住宅・建築物について も、省エネルギー改修や省エネルギー機器導入等を進めることで、2050年に住 宅・建築物のストック平均でZEH2・ZEB3基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。  これらの課題を踏まえつつ、建築物省エネ法や省エネ法 に基づく規制措置強化と支援措置の組み合わせを通じ、また、省エネ資材である持続可能な木材利用などを通じて、既築住宅・建築物について も、省エネルギー改修や省エネルギー機器導入等を進めることで、2050年に住 宅・建築物のストック平均でZEH2・ZEB3基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指す。  木材利用の推進は、8月に国土交通省、経済産業省、環境省が公表した「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」に記載されている「吸収源対策(木材の利用拡大)」だけでなく、他の鉄骨などの資材に比較して、製造過程の化石資源利用が少ない、材料代替による排出削減効果がある。(注1
 (4)産業・業務・家庭・運輸部門に求められる取組
③運輸部門における対応
C  ④  運輸部門の脱炭素化に向けては、自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2排出削減、物流分野におけるエネルギー効率向上、燃料そのものの脱炭素化に向けた取組を通じて、カーボンニュートラルを目指す。  運輸部門の脱炭素化に向けては、自動車の生産、利用、廃棄を通じたCO2排出削減、物流分野におけるエネルギー効率向上、燃料そのものの脱炭素化に向けた取組を通じて、カーボンニュートラルを目指す。また、物流量を減少させるという視野に立って地産地消の大切さを再認識し、施策に生かしていく。  「運輸部門における対応」は、効率の向上燃料の脱炭素化という視点のみが記載されているが、その前に、物流量を減らすという視点各種の政策が必要なのでないか。
 5.2050年を見据えた2030年に向けた政策対応  (1)現時点での技術を前提としたそれぞれのエネルギー源の位置づけ
①再生可能エネルギー(e)バイオマス
 D23
 ⑤  木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電は、災害時のレジリエンスの向上、地域産業の活性化を通じた経済・雇用への波及効果が大きいなど、地域分散型、地産地消型のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源である。一方、エ ネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が限定的であること、持続可 能性の確保、そして発電コストの高止まり等の課題を抱えることから、各種政策を 総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、 発電事業のコスト低減等を図っていくことが必要である。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、導入を継続することが必要である。
 木質バイオマスを始めとしたバイオマス発電・熱利用などのエネルギー利用は、災害時のレジリエンスの向上、地域産業の活性化を通じた経済・雇用への波及効果が大きいなど、地域分散型、地産地消型のエネルギー源として多様な価値を有するエネルギー源である。一方、エ ネルギー利用可能な木質や廃棄物などバイオマス資源が限定的であること、持続可 能性の確保、そして発電コストの高止まり等の課題を抱えることから、各種政策を 総動員して、持続可能性の確保を大前提に、バイオマス燃料の安定的な供給拡大、 発電事業のコスト低減等を図っていくことが必要である。
輸入が中心となっているバイオ燃料については、国際的な環境志向の動向や次世代バイオ燃料の技術開発の動向を踏まえつつ、持続可能な木質バイオマスの導入を継続することが必要である。
 木質バイオマスの重要性について指摘されているのは大切だが、木質バイオマスは発電についてのみ記載している。木質バイオマスについては熱利用が重要な要素であるので、そのことをかならず記載してほしい。また、輸入バイオマスの持続可能性のリスク、また、輸送製造過程の化石燃料使用などに対応する動きが海外で広まっているので、しっかりそれを踏まえた対応が必要です。
 (3)需要サイドの徹底した省エネルギーと供給サイドの脱炭素化を踏まえた電化・水素化等による非化石エネルギーの導入拡大 B  ⑥  これらの課題や、2050年カーボンニュートラル実現や2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けて、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」における検討結果も踏まえ…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指す などの省エネルギー対策を総合的に促進する。  これらの課題や、2050年カーボンニュートラル実現や2030年度の温室効果ガス排出削減目標の実現に向けて、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」における検討結果も踏まえ…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指す などの省エネルギー対策を総合的に促進する。また、木材利用の省エネ性能のに着目し、建材としての持続可能な木材の利用拡大をはかる。  「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対 策等のあり方検討会」の結果を踏まえた8月に公表された「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」の中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載がある。その中に木材利用の炭素削減効果についての記述もあるので、ぜひ、省エネの文脈の中で、記載していただきたい。
 (5)再生可能エネルギーの主力電源への取組
④電源別の特徴を踏まえた取組
(e)バイオマス
 D3  ⑦  また、バイオマス燃料の持続可能性を確保するため、FIT・FIP制度においては、環境、社会、労働、ガバナンスの観点に加え、食料との競合、ライフサイクル温室効果ガスの排出量等の観点について専門的・技術的な検討を踏まえ策定する持続可能性基準を満たした燃料を利用することを求めていく。加えて、…、適切に事業を行うことを求めていく。  また、バイオマス燃料の持続可能性を確保するため、FIT・FIP制度においては、環境、社会、労働、ガバナンスの観点に加え、食料との競合、ライフサイクル温室効果ガスの排出量等の観点について専門的・技術的な検討を踏まえ策定する持続可能性基準を満たした燃料を利用することを求めていく。加えて、…、適切に事業を行うことを求めていく。また、原料の輸送加工過程のエネルギ消費をしっかり管理するためのシステムの導入が必要である。  英国などでは、バイオマス発電に自補助金を与える条件として、当該バイオマス燃料を発電利用するまでに必要な加工、輸送過程のエネルギーをそのバイオマスを燃焼させたときに得られるエネルギーに対して、割合を定めているケースがあり、日本でもその考え方を念頭において、管理すべきだと思います
 (5)再生可能エネルギーの主力電源への取組
④電源別の特徴を踏まえた取組
(f)再生可能エネルギー熱
 D2  ⑧  太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の需要家群で熱を面的に融通する取組への支援を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。  太陽熱、地中熱、雪氷熱、温泉熱、海水熱、河川熱、下水熱、木質バイオマスエネルギー熱等の再生可能エネルギー熱について、熱供給設備の導入支援を図るとともに、複数の需要家群で熱を面的に融通する取組への支援を行うことで、再生可能エネルギー熱の導入拡大を目指す。  特に、木質バイオマスについては発電だけでなく熱利用が大切です
 (11)エネルギーシステム改革の更なる推進
③効率的な熱供給の推進
D2 ⑨   …、引き続き省エネ法による規制を通じて熱の効率的な利用を促 進する。  …、引き続き省エネ法による規制を通じて熱の効率的な利用を促 進する。農山村地域の地元の森林資源を木質バイオマス燃料として利用していく場合、地域型熱供給システムが必要なので検討を進める  特に、木質バイオマスについては発電だけでなく熱利用が大切です
 6.2050年カーボンニュートラルの実現に向けた産業・競争・イノベーション政策と一体となった戦略的な技術開発・社会実装等の推進  ⑤住宅建築物産業・次世代電力マネジメント産業 B  ⑩  住宅・建築物分野は家庭・業務部門のカーボンニュートラルに向けて鍵となる分野であり、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野である。具体的には…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指すことなどにより、省エネルギー性能の向上を図っていく。  住宅・建築物分野は家庭・業務部門のカーボンニュートラルに向けて鍵となる分野であり、一度建築されると長期ストックとなる性質上、早急に取り組むべき分野である。具体的には…新築住宅の販売又は賃貸時における省エネルギー性能表示の義務化を目指すことなどにより、省エネルギー性能の向上を図っていく。また、木材の炭素固定、省エネ性能を念頭において、木質建材の利用拡大を図ることとし、中高層建築物の木造化、木質化に関する技術開発、支援システムの開発を図る。  木材利用の推進は、8月に国土交通省、経済産業省、環境省が公表した「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」に記載されている「吸収源対策(木材の利用拡大)」だけでなく、他の鉄骨などの資材に比較して、製造過程の化石資源利用が少ない、材料代替による排出削減効果がある。(注1
 ⑪食料・農林水産業  AB  ⑪  また、森林・木材については、人工林の適切な間伐、エリートツリー等を活用した再造林等の森林整備や高層建築物等の木造化に資する建築部材等の開発、利用拡大等に取り組み、森林吸収量の確保・強化を図る。  また、森林・木材については、人工林の適切な間伐、エリートツリー等を活用した再造林等の森林整備や高層建築物等の木造化に資する建築部材等の開発、持続可能な木材利用拡大等に取り組み、森林吸収量の確保・強化を図る。  木材利用は省エネ、炭素固定という観点で大切なことですが、世界中の森林減少が続き、国内の森林の再造林問題などが指摘されている中で、木材利用の際に、持続可能性の確認をすることが重要です。
 7.国民各階層とのコミュニケーションの充実  ⑭ライフスタイル関連産業
<カーボンプライシング>
   ⑫  また、脱炭素化が難しい領域については、森林吸収源対策や、大気中からCO2を固定化するDACCS・BECCSといったネガティブエミッション技術の活用が必要となる。こうしたネガティブエミッション技術について、2050年までの4189 実用化を目指し、技術開発・社会実装を進めていく。  また、脱炭素化が難しい領域については、森林の管理や持続可能な木材利用を含む森林吸収源対策や、大気中からCO2を固定化するDACCS・BECCSといったネガティブエミッション技術の活用が必要となる。こうしたネガティブエミッション技術について、2050年までの4189 実用化を目指し、技術開発・社会実装を進めていく。  カーボンオフセットの対象サンプルにDACCSやBECCSなど現在実用化されていない、皆がよく知らない例がならんでいます。DACCSやBECCS開発の重要性を示す意味は分かりますが、サンプルを示すならなるべくわかりやすい例も記載すべきです。木材利用については、この8月に国土交通省、経済産業省、環境省が「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた住宅・建築物の対策」を公表し、その中に、「吸収源対策(木材の利用拡大)」を記載してあり、重要なコンセンサスが進んでいます。

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