シンポジウム「固体バイオマスの持続可能性確保へ向けて〜英国の事例と日本の課題〜」 (2016/10/22)

9月12日NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)、一般財団法人地球・人間環境フォーラム、 国際環境NGO FoE Japan主催の標記シンポジウムが開催されました

英国のバイオマスエネルギー推進の担当者の報告を踏まえた、議論で、わたくしも「木質バイオマストレーサビリティと環境的基準−日本の運用と欧州−」と題する報告をさせてもらいましたが、英国の英国の専門家と直接意見交換をする大変貴重な機会でした。

 プログラム  
  「英国の固体バイオマス持続可能性基準とその運用状況について」
  Jasmine Killen氏(英国OFGEM 燃料と持続性環境シニアマネージャー) 
 英語 
 和訳 
    「日本のFIT制度の現状と課題」
  吉野欣臣氏(経済産業省新エネルギー課課長補佐
 資料
    「木質バイオマストレーサビリティと環境的基準−日本の運用と欧州−」
  藤原敬氏(林業経済研究所所長) 
 資料
    「日本の木材チップ輸入の現状」 
  上河潔氏(日本製紙連合会常務理事)
 資料(抜粋版
  (全文
   パネルディスカッション「固体バイオマスの持続可能性確保へ向けて」
  パネリスト Jasmine Killen氏、吉野欣臣氏、藤原敬氏、上河潔氏
  司会 泊みゆき(NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク理事長)
 資料
 資料のリンク先はNPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)です
写真は国際環境NGO FoE Japanからいただきました
 

(欧州の基準と日本の基準)

環境経済政策学会報告の準備過程で作成し、このサイトでの紹介した(固体木質バイオマスエネルギーの 需給動向と 環境基準の展開の可能性ー環境経済政策学会報告)上の図、気に入ってこのセミナーでも紹介し、英国lの担当者とも議論しました。

この図がわかりづらいという声が多いので、補足説明します。

欧州の中でも英国とオランダが固体バイオマスの普及システムとその環境基準導入に先進的な取り組みをしています。

 英国  Department of Energy & climate change,UK (2014), “Woodfuel Advice Note”(2014)   和訳
(落合麻里訳)
 オランダ  Netherlands Enterprise Agency
SDE+ sustainability requirements for co-firing and large scale heat production

英国は、差額調整契約(Contracts for Difference:CfD)の下で補助、再生可能エネルギー購入義務(Renewables Obligation:RO) 及び国内・国外の再生可能熱インセンティブ(Renewable Heat Incentive:RHI) の下でのインセンティブなどの政策的な木質バイオマス普及をしていますが、そのため対象となる木質バイオマスに環境基準が要求されます。(今回のゲストはそのうち、日本の再生可能エネルギーの固定価格買取制度(以下「FIT」)に対応するROを担当する方です。)

土地基準(由来森林の持続可能性とサプライチェーンの管理からなる)と燃料製造輸送過程の温室効果ガス基準からなっています。

(由来の基準)

日本のFITが要求している発電利用に供する木質バイオマスの証明のためのガイドラインは、環境基準とは銘打っていませんが(それ自体少し問題かもしれません)、英国の基準に当てはめれば、土地基準だということができます。

英国の土地基準の由来基準、最低7割が持続可能性あと3割は合法を要求しています。

日本のFIT制度が高い価格を保証している木質バイオマスは「間伐材等由来の木質バイオマス」と「一般木質バイオマス」の二つのカテゴリーですがで優遇措置要求される間伐材等は、ガイドラインによると、国有林、保安林、森林経営計画の対象森林は持続可能性を念頭において規定されているものしょう。森林経営計画の認定基準と英国が要求する持続可能性基準ととの間がどんな関係になっているかなど、今後議論が必要です。

(サプライチェーンの基準)

土地基準のうちのサプライチェーンの管理について、日本のガイドラインは業界団体に認定された事業者のサプライチェーン管理を要求しています。

業界団体認定事業者というツールのない、英国が、その代わりに使うのが、低リスク地域を規定して、その中でのサプライチェーン管理を手抜きすること、輸入業者に可能な限りのサプライチェーン管理を要求すること(デユーデレジェンスDDL)の二つです

他の原料製品とくらべても網の目の細かいサプライチェーン管理を、第三者がすべてチェックするのには限界があります。

低リスク地域の決定について、英国のガイドラインは事業者に証明を任せる、としています。同じ地域から調達する別の事業者は一から証明しなければならない。DDSの持つ矛盾です。「低リスク情報は共有することが重要なのではないか」、英国のJasmine Killenもこれには同意しました。

もう一つ、Jasmine Killenに話したのは、「低リスクであっても、最低限業界団体認定のようなサプライチェーン管理が必要なのでないか。」

これも、どれだけ通じたかどうかわかりませんが、わかったと言っていました。

(今後の課題)

日本のガイドラインで要求されていない製造輸送過程の温室効果ガスを一定以内に抑えるとするGHG基準(液体バイオマス燃料の基準には組み入れられている)は、今後日本でも真剣に検討が必要でしょう。

消費国の基準が共有されて、いいところ学びあうことが重要です。そういう意味でも、日本のガイドラインが英訳されて、ウェブ上に公開される必要がありますね。これは勉強部屋で準備しています。少々お待ちください

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