国際セミナー「持続可能な森林経営の推進には何が必要か」(2016/4/27)

3月9日日本政府林野庁主催の 国際セミナー「持続可能な森林経営の推進には何が必要か」が都内で開催されました。

「地球から見た日本の森林の展望・日本から見える地球の森林の将来」を標榜するこのサイトにとっては重要なイベントなので、出席しました。

海外からのメンバーは、
Mr. Sven-Eric Bucht(スウェーデン農村開発大臣)、
Dr. Manoel Sobral Filho(国連森林フォーラム(UNFF)事務局長)、
Dr. Bin Che Yeom Freezailah(マレーシア木材認証協議会議長)、
Mr. Lambert Okrah(森林メジャーグループ(Major Groups)会長)と

豪華な顔ぶれです。

主として上記の林野庁のサイトに公開された情報国際セミナー「持続可能な森林経営の推進には何が必要か」をもとに、内容を紹介します。

プログラムと報告された内容のデータ(英文です)と概要は以下の通りです。

清水 邦夫 
(林野庁森林整備部計画課海外森林資源情報分析官)
 持続可能な森林経営の推進には何が必要か(PDF:1,173KB)
このセミナーの目的は、SDGs持続可能な森林開発の目標で、2020年までに、持続可能な森林経営を通じて森林減少を食い止め、森林造成と再生を増やすこととし、大規模な財源を確保する、とされたことを前提とし、どのような戦略・優先順位・財政・スケジュールでいくのか?を議論すること。
 Mr. Sven-Eric Bucht(スウェーデン農村開発大臣)
 「国際セミナー「持続可能な森林経営の推進には何が必要か」によせて」(PDF:175KB)
2015年は持続可能な開発と温暖化対策で国際合意ができた重要な年だった。UNFF11の森林宣言も重要な要素。
スウェーデンは化石資源のいらない福祉社会づくりのリーダーとなろうとしている。バイオエネルギー原発よりも石油うよりも大きなエネルギー源。UNFFによる2015年以降の森林に関する国際的な枠組み(International arrangement on forests beyond 2015原文、) 実現のためには、ボトムアップの手法・と関係者の参画の先例にを学ぶ必要。
 Dr. Manoel Sobral Filho(国連森林フォーラム(UNFF)事務局長)
  「森林の世界的動向と持続可能な開発のための2030アジェンダ」(PDF:1,213KB)
持続可能な開発目標SDGsをに貢献し、森林の管理を強化するため「2015年以降の森林に関する国際的な枠組み」IAFが合意された。
IAFの6つの分野@熱帯林を中心として森林減少の減少、A途上国の持続可能でない木材の燃料利用の削減、B森林産物とサービスの公正妥当な価格形成により土地利用の中での森林の競争力を引き上げる、C森林産物・サービスの不法な取引の取りやめ、D山林火災対策の強化、E植栽の拡大
今後の取組の中で重要なサクセスストーリーの提供者として日本は重要
 Dr. Bin Che Yeom Freezailah(マレーシア木材認証協議会議長)
 「持続可能な森林経営の実践にむけて-マレーシアの事例紹介-」(PDF:1,929KB)
ITTO国際熱帯木材機関は1990年に持続可能な森林のガイドラインを作成以来植林や保護林などのガイドラインを分野別に作成。これらの活動などにより、熱帯林の持続可能な経営の取組は前進。世界中の森林認証面積は全森林の10パーセントだが、熱帯林は8.3パーセント。
先進国市場の合法性・持続可能性の対応は重要な役割。特にEUのTLAS(木材合法性確認制度)は重要な役割。
現場レベルでの持続可能な森林基準は計画策定からモニタリングまでの11の内容が重要。
マレーシアでは1999年以来マレーシア木材認証制度を国と市場の両面から推進。4.66百万haをカバーし持続可能な森林管理に貢献。
先進国市場と途上国の森林認証・持続可能な経営の連携は重要な政策だが、性急な要求が悪影響を及ぼす可能性もある。時間を決めながらSDGsと連携した着実な前進が必要。
 Mr. Lambert Okrah(森林メジャーグループ(Major Groups)会長)
  「持続可能な森林経営の推進に向けた世界的責務の促進」(PDF:541KB)
国レベルと国際的なレベルの政策を円滑に進めていくために、国以外の関係者の参画は重要な要素。国連の経済社会理事会で、国以外の関係者、女性・若者・原住民・労働者・農民と小規模森林所有者・NGO・学会・自治体・業界をメジャーグループと規定して、政策過程に関与するシステムを作っている。
UNFFにも森林に関するメジャーグループMGPoFというのが関与して活動している。
五関 一博((JICA)地球環境部技術審議役)
  「JICAによる持続可能な森林経営への貢献」(1〜24頁(PDF:1,914KB))(25〜45頁(PDF:1,551KB)
JICAの自然環境分野の活動は、4つの戦略目的からなっている
1.持続可能な森林管理を通じた気候変動対策
2.生態系に依存した災害リスクの軽減(ECO-DRR)
3.住民主体の自然資源の持続的利用脆弱なコミュニティの生計向上のための持続的な自然資源利用
4.生物多様性の保全保護区及び周辺のバッファーゾーン(緩衝地帯)管理を通じた生物多様性保全

この後パネルでのディスカッションが行われました。

1992年に森林条約をつくろうとしてうまくいかなかった持続可能な森林の国際的枠組みをつくる運動の手掛かりはなにか、SDGs IAFなどで可能性が広がっている、という登壇者側のメッセージがうまく伝わったかどうかは別にして、勉強になりました。

一つのテーマは途上国の熱帯林問題。熱帯林の持続可能な開発が前進していることは様々な情報からわかりますが、現下の問題点を議論すると、開発にかかわる業界人とそれを批判するNGOの人たちの議論が提供されるだけで、若干わかりづらい点があります。

その点、初代国際熱帯木材機関事務局長でマレーシアの森林認証機関をリードするフリーザイラー議長の発言は重要なポイントを押さえています。

また、現在のグローバルな森林ガバナンス構築の最高責任者であるUNFFソブラル議長の話を直接聞けるもの大切な機会でした。(彼はフリーザイラーさんの後任のITTO事務局長で、10年以上前彼が横浜にいるときに森林総研におよびしたので再開を喜びました。閑話休題)

先進国の状況を踏まえたMr. Sven-Eric Bucht(スウェーデン農村開発大臣、幅広い森林の関係者の立場から Mr. Lambert Okrah(森林メジャーグループ(Major Groups)会長)、そして日本の熱帯林支援の立場から五関 一博((JICA)地球環境部技術審議)とよく考えられたセミナーでした。

SDGsは途上国問題だけでなく先進国も含めたフレームワークなので、日本の森林にとってどうなのか、という議論がもう少しほしかった、という不満が残りましたが、それは次の機会として、こんな議論が日本で聞ける機会はあるというのは、林野庁にいままでやってきた国際問題での取り組みの成果だと思います。。

chikyu1-34(ISfosttokyo2016)