SCS(科学認証システム)森林保全プログラム
人工林管理に対する認証基準書
FSC(Forest
Stewardship Council:
森林管理協議会)の規程に準拠すると、人工林は、人為的に計画された諸管理活動の結果として、本来の日本の天然林にみられる幾つかの、あるいはほとんど全部の生態的・構造的特徴を失っているという点で、天然林と区別される。認証チームは、当該地域に見られる天然林の構造的諸特性との比較を念頭に対象林を評価しなければならない。今後、国際的イニシアティブであるFSCが日本国内で展開していくのに伴い、追加的な指導が行われるようになるであろうが、現時点では、実際に活動している日本のFSC作業部会はなく、従って日本の森林を対象とした地域ガイドラインも存在しない。作業部会が編成され、日本の地域ガイドラインが作成される時点で、以下の認証基準は改訂されることになる。
北米西部をはじめとする世界の他地域と比較すると、日本において人工林施業と天然林経営の違いは顕著である。日本の人工林は、そのほとんどが3種の主要造林樹種:スギ(Cryptomeria japonica)、ヒノキ(Chameacyparis obtusa)、およびマツ(Pinus類)のいずれかが優占した針葉樹林であり、その他にカラマツ(Larix leptolepis)、トドマツ(Abies
sachalinensis)、エゾマツ(Picea
jezoensis)等の針葉樹林も見られる。造林対象の針葉樹のすべてが日本の固有種である。針葉樹林は、現在、日本の国土面積の約30%を占め、全森林面積の41%に及んでいる。これらの針葉樹林の半分以上は、1945年以降に造林されたものであるが、日本における造林の歴史は400年以上前に遡る。人工造林の98%が針葉樹を対象としている。日本における典型的な人工林の施業は、地拵え、植栽、下刈り、除伐、数回の間伐、およびほぼ40年から50年の伐期を想定した主伐にいたる方式である。
人工林と天然林の施業方式の違いを顕著にしているもう一つの特徴は、木材製品の商業的用途である。すなわち、ほとんどの針葉樹林が製材、特に建築用構造材を供給するために施業されており、これに対し、天然性種の主たる広葉樹材はもっぱらパルプや紙として供されている。
もし認証チームが、評価対象となる森林施業を人工林経営として評価するのが最も適切であると判断した場合、管理法についての認証可能性の第一義的および優先的な審査は、そのような目標森林を造成するため、高保存価値(HCV)森林がかつて、あるいは今なお皆伐されたり根本的に転換されたりしていないかどうかである。もし、何らかの「林種転換」が行われるかあるいは、行われつつある場合、その施業法は、FSCのガイドラインに従って、認証されえない(FSC C&P,9)。そこで、以下の評価基準が、そのような林種転換をしていない人工林を対象とする管理法に適用される。
人工林を対象とした評価基準、指標、および採点ガイドラインは、天然林のそれと非常に類似したものとなっている。すなわち、持続可能な森林資源管理の概念、範囲、パラメータは適用される森林のタイプで大きく変わらないからである。主要な違いは2番目のプログラム要素Bと関わっている;すなわち、木材資源管理と生態系全体の接点である。明らかに、人工林の生態系の特性は、天然林のそれらよりも人為的影響を強く受け単純化されていることである。評価基準は改変された人工林の生態系の特質を反映したものでなければならない。
A.プログラム要素:木材資源の持続性
木材資源の長期的持続管理に関しては、天然林と人工林で根本的な違いはない。林分がいかに効果的に配置されそして効率的に管理されているかの程度が評価の中心となる。焦点は、林分配置が所有地全体に亘って十分に規整されているか、毎年一定量の木材を収穫し安定的に供給できるか、林地の生産力維持が管理計画とその実行によって長期的に十分に可能かである。
認証チームが日本で評価する場合、木材資源の持続性に関する以下のような基準を用いる:
A.1. 持続的な人工林収穫管理計画
この基準は、当該人工林の生物的・社会的状況に合わせて定期的に更新される管理計画が緻密に策定されかつ適切な施業を促しているかどうか、に係わっている。(FSC P&C
P7.1、7.2) 人工林管理計画に関する要領についてはSCS森林保全作業手引き付録5を参照。
現場及び管理上の注目すべき指標:
·
目的の明確性
·
資源需要の基本計画
·
蓄積調節と伐期計画(FSC P&C , 5.6)
·
植栽樹種と箇所の選定
·
人工林配置計画
·
森林構造の計画と設計(例えば、道路、橋梁など)
·
環境影響評価法(FSC P&C ,6.1)や、資源状態と計画達成度のモニタリング(FSC P&C, 8.1, 8.2,
8.4)
理想的な状態(100ポイント)
·
文書化された管理計画が、現地の特質に合って適応性が高いこと、社会経済的要素が斟酌されていること、一貫性を有していること、人工林作業の管理指針として使用する上で無理のない道具となっていること。また、資源情報の取得・利用によって管理が実現可能なものとなっていること。(FSC P&C, 4.4,
10.1)
·
人工林が十分に法正化された規模の管理単位として長く計画維持されていること。
·
人工林管理の目的が、選ばれた場所の生産能力に適合していること。
·
環境影響評価が管理プログラムのベースとなっていること、すなわち負の環境影響の最小化が図られていること。
·
管理計画が、都道府県及び国の計画法規;森林法、林業基本法、森林組合法などに十分に適合していること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
育林の計画とその実行のいずれかないしは双方が、これと結びつく製材工場の原木需要を満たしていないこと。
·
収穫量が定期生長量を超過しているため長期的な資源枯渇を招いていること。(FSC P&C, 5.6)
·
立木の収穫が無作為・場当たり的のいずれかないしは双方であり、計画された伐採パタ−ンが放棄されていること。長期的な生産能力を獲得するには林分があまりにも早伐されていること。経済的要求が伐採の決定に過度に反映していること。
·
台風による倒木放置など災害後の資源安定化及び復旧計画が進展していないこと。その後の木材搬出処理が環境上悪影響をもたらしていること。
·
FMU(Forest
Management Unit:森林管理単位)に見合った効果的かつ実行的な監視プログラムを欠いていること。
·
管理計画が地域の特性ないしは社会経済的要素の考慮に欠けていること。
·
計画された諸活動に対する環境影響評価の努力がまったくなされていないか、あるいは根本的に不完全であること。絶滅またはその恐れのある種に対して十分な保護を与える作業が行われていないこと。(FSC P&C, 6.2)
·
管理計画が森林の生産力に対して非現実的な長期スパンを想定していること。
A.2. 人工林管理と育林
ここでは、林分造成(立木蓄積を含む)と伐採までの人工林育林計画と管理について焦点を当てる。
現場及び管理上の注目すべき指標:
·
地拵え作業
·
苗畑作業および苗木入手
·
植付け作業
·
育林作業
·
機械化作業及び化学物質使用の効果と効率性
·
風倒や火災、病虫害のような外的要因に対する森林保護と対応(FSC
P&C, 10.6)
·
土壌侵食防止、道路開設と維持に関するガイドライン、及び伐出作業での損傷を最小限とする指針.(FSC P&C,
10.6)
理想的な状態(100ポイント)
·
目標樹種ごとに行う施業により、単位面積(ヘクタ-ル)当たりの最大年平均生長量(MAI)の確保が長期的な育林を確実なものにしていること。
·
管理活動に伴う負の影響を最小にするために、指針が効果的かつ十分に機能していること。
·
火災や病虫害による林分損傷を最小限にする人工林計画と施業が実行されていること。
·
間伐など育林作業が伐期に至るまでの林分状態を最適なものに保っていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
以下のいずれかの要因のために植栽苗の生存率が85%以下となっていること:
·
過度の機械化地拵え作業による土壌への重大な負荷、また高い土壌侵食
·
野生動物による被害(食害など)
·
不十分な地拵えの作業
·
不良苗:不揃いで安価な苗、不十分な防疫処理
·
保育が不十分であるための苗木生長の著しい阻害、林分全体を通しての作業のバラツキ。
·
林分生長損失をもたらす植栽木の不適応
·
育林(除伐など)が体系的に行われておらず、林分の質的低下をもたらしていること。
A.3. 人工林収穫
人工林施業の長期的な持続性は、林分の育成サイクルの最終段階でその場に見合った生長量を十分に得られるように計画実行されているかどうかにかかる−目標の生産量を収穫しつつ更新を行うこと−。(FSC P&C, P5.1, 5.3)
現場及び管理上の注目すべき指標:
·
現地条件と収穫システムの適合性
·
計画システムと収穫システムの整合性
·
機械装備を含む道路網の開設および維持管理
·
収穫活動を通じての技術的・契約的・作業的調整
·
生物的、技術的、および費用的要素に適合した収穫システムの継続性
理想的な状態(100ポイント)
·
目標とする生産物の中間的(利用間伐)および最終的段階の収穫が、林地への損傷をもたらすことなく、また林分からの十分な収量を満たしながら計画的に行われていること。
·
道路は林地への障害のないアクセスを保証し、しかも密度や幅員が過度でないこと。
·
生産物が最大市場価で取引されていること。(FSC P&C, 5.2)
·
市場性の高い多様な製品作りに努めていること。
·
被害地における処理木搬出は文書化された資源安定及び復旧計画書に準拠していること。また、処理過程で環境に負の影響を及ぼしていないこと。
非認証事項(80ポイント未満)
·
収穫機械装備の更新があまりにも速く、林地損傷を最小にするというオペレ−タの知識や能力が追いついていないこと。
·
道路が計画通りに配置されてない、または維持管理がなされてないこと;道路網が人工林の効率的な管理の妨げとなっている。
·
収穫作業の不備から生じる更新阻害や、収穫機械による立木損傷あるいは土壌被害が生じていること。
·
請負業者の作業実行水準が低いこと。
·
収穫作業が後続林の生産性を著しく減少させていること(例えば、残存林分の損傷あるいは土壌の締め固め)。
·
生産物の市場価を十分に享受していないこと。(FSC P&C, 5.2)
·
災害後の被害木の搬出がさらにその状態を悪化させていること。
A.4. 森林管理サポート、研究および開発
人工林の効率的管理には、新たな技術に遅れをとらないような研究開発面での積極的なサポートが必要である。そのためには、対象となる資源についての正しい情報や各種の管理規程が不可欠である。研究や開発に対する努力量や水準といったものは経営単位面積(FMU)の大きさに依存する。民有林の平均所有面積が極めて小さい(3
ha以下)日本では、森林所有者自身によって行われる研究・開発のレベルは、土地所有の大きな他の地域ほど高いものではないと予想される。
現場及び管理上の注目すべき指標:
·
継続的な森林資源調査と収穫調節
·
費用分析と柔軟な管理
·
林地の維持管理及び監視体制(例えば、土地生産力、種の適応性)(FSC
P&C, 10.5)
·
育林作業及び植栽種の研究開発 (FSC P&C, 10.5)
·
化学物質の効果及び代替物質の研究開発 (FSC P&C,
10.6)
理想的な状態(100ポイント)
·
化学物質の使用が最小限に抑えられていること;使用に際しては、その効率性や効果を考慮する。
·
森林所有者が積極的な研究開発に努めていること;その努力の結果が人工林管理に効果的に反映されている。
·
資源量に応じた範囲内で最適純収益を得られるよう、管理費用が絶えず監視・分析されていること。
·
調査した森林情報が資源量を考慮した経営に生かされ、管理の柔軟性を導きだしていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
森林資源調査が不十分なため管理に必要な情報が得られていないこと。
·
適正な収穫調節を行う管理体制が整っていないこと。
·
費用分析が不十分で、経営効率が極めて悪いこと。
·
土壌侵食の調査・監視がなされていないこと。
·
第三者によって行われた研究開発の情報を役立てていないこと。
·
種の適応性をその広い利用範囲から事前選択する努力を怠っていること。
·
土地生産力の長期的維持に関する調査が行われておらず、森林管理者自身がその重要性を認識していないこと。
A.5.
森林の企業的管理
この基準は、人工林作業に係わる事業体の基盤整備並びに資源量に準拠した当該事業体の高度でかつ効率的な管理能力の水準に焦点を合わせたものである。
現場及び管理上の注目すべき指標:
·
事業体の組織及び管理構成の適合性
·
人工林管理活動のタイムスケジュール
·
従業員及び請負作業者のタイプ別(標準作業手順別)及びレベル別(管理部門および現業部門に分けた)教育・職業訓練
·
調査記録、デ−タ管理、費用調整等の業務管理機能
·
施設・機械・資材の管理適性
·
第三者及び請負作業者の活用と管理、さらに;
·
所有地以外の借地から生産された全ての原木も正確に把握できる原木烙印方式 (FSC P&C, 8.3)
理想的状態(100ポイント)
·
企業が資源量に準拠し、かつ効率的・効果的な作業を実行して、目標とする経営水準を維持していること。
·
経営活動は最大効果が得られるように、高度に計画され、しかも継続性が維持されたものとなっていること。
·
請負者に対し、効果や効率性において犠牲を強いていないこと。
·
従業員の教育及び職業訓練が人工林の管理技術に対して互いにしのぎを削ることに役立っていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
生産的な森林作業を立案・運営するために必要な森林配置や年次活動に対して、管理が行き届いていないこと。
·
請負作業者の管理が不十分で満足な結果が得られていないこと。
·
調達品の決定、納税、経費節減等に係わる正確な記録を残していないこと。
·
自家産原木と他出所の原木を正確に識別できる原木烙印体制を持っていないこと。SCSによって評価された地域から生産された原木だけが認証スタンプを得ることになるのであって、原木出所が不明な場合。
B.プログラム要素:森林生態系の維持
このプログラム要素の焦点は、森林施業計画時や実行段階で人工林が周辺の生態系と調和しているかどうかを判断するところにある。人工林は、必ずしも天然林と同等の生物多様性や自然生態的な動態を備えることはできないにしても、生態的に配慮された風景森林として計画・配置されれば、森林生態に対する負の影響を様々な段階で回避することができる。また、植林が行われている地域の土地利用や生態的な健全度を考慮することが重要である。人工林によって、高い保全機能をもつ森林(例えば、自然林や良く発達した二次林)に根本的な改変が加われば、人工林による生態的影響は大きいものと判断する(この場合、SCS森林保全プログラムでは基本的に認証されない)。反対に、荒廃や劣化の激しい地域(例えば、過放牧地や農業荒廃地)の人工林では、より良好な景観効果を引き起こすことも考えられる。
認証評価チームが森林生態系の維持について日本での評価を実施する場合、SCS森林保全プログラムの議定書に基づいた以下の基準またはそれらに準ずる基準を用いる。
B.1. 人工林配置や構造による地域生態への影響
この基準は、人工林が周辺地域の風景や生態的な特性と調和を保っているかについて判断するものである。
現場及び管理上の注目すべき指標:
· 森林配置の地域的風景との調和(FSC P&C, 10.2, 10.4)
· 人工林の効果と影響(FSC P&C, 10.2)
· 生物多様性と野生生物の保全のための環境保全方針とプログラム(FSC P&C, 5.5)
· 人工林のもつ炭素固定機能の発揮
· 外来種と遺伝子組み替え種の使用[1](FSC P&C, 6.8, 6.9, 10.3)
理想的な状態(100ポイント)
·
樹種選択や施業などの主要計画要素が、周辺地域の風景的不調和を回避し ていること。人工林が係わる風景の多様性が、地域全体の生態的な健全性に大きく寄与していること。
·
自然林にかかる影響の軽減を含んで、地域の生態的特徴が、人工林に起因するどのような負の影響より勝り、残されていること。
·
人工林を計画配置するに際して、生物の多様性を最大限に保っているかどうかを確認できる方針とプログラムの忠実な実行。野生生物生息地を確保した方針を有し、そのプログラムが実行されていること。
·
外来種の生産性が在来種と比べて大きく勝らない限り、その使用は避けられていること。もし外来種が使われるならば、その使用を慎重にコントロールし、また積極的に監視して、生態的な負の影響を避けていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
人工林が、地域の風景と生態的にみて不具合な場所に配置されていること。人工林の計画配置に際して風景的多様性に関する配慮が一切なされていないこと。
·
人工林の負の影響が、生態的容量を大きく上回っていること。
·
生物の多様性と野生生物に関する方針とプログラムが存在しないか、または現場での配慮がなされていないこと。
·
外来種の使用が周辺域の自然生態系の破壊をもたらせていること。
B.2. 人工林内の生態系保全性
この基準の焦点は、人工林の設置と管理がその場の生態的容量を維持しているかどうかを判断するものである(FSC P&C, 6.3) 。土地の持つ生産力(肥沃度)はこの基準の中で重要である(FSC P&C, 10.7)。
現場及び管理上の注目すべき指標:
· 人工林林分の生物多様性(FSC P&C, 10.4)
· 土壌の肥沃度と土壌構造の保持を考えた森林管理の実施
· 人工林林分への影響軽減を図った森林管理の実施(FSC P&C, 10.2, 10.3, 6.9)
· 森林のもつ環境および生態的な機能についての調査研究
· 人工林の地域生態的水準に対する負の影響の重要性
· 長期間の生態系保全のための監視と管理(FSC P&C, 10.5)
理想的な状態(100ポイント)
·
経営管理において土地生産力を維持または強めるため全ての手段を講じていること。土壌侵食は最も低いレベルにとどめてあること。
·
植栽樹種は林分状態や経営目標を最大限達成するものを選択すること。外来種の使用は自然生態系を破壊する恐れのないものを当てること。
·
経営管理プログラムが、総合調査や研究開発そして監視事項の全て満たしていること。また、森林生態に関する最新の知識や生態系に与える人工林の影響を鑑み作成されていること。
·
人工林内での作業はその地域の全ての人工林と比較して、林分に与える負の影響を鑑みて行っていること。
·
人工林配置計画は林分または経営単位の生物多様性を最大限引き出すように行っていること。
·
土壌侵食防止のための林床植物の育成が可能となる適正な密度管理がなされていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
人工林の間違った計画または不適切な管理によって、土地生産力の劣化を招いていること。
·
森林経営者に作業知識や林分の環境・生態的要素に関する見識が欠けていたり、また生態系への影響に関する情報を生かすシステムを持っていないこと。
·
人工林の直接的影響が地域の(木材)産業水準を押し下げていること。
·
植栽種の選択が土地の条件や経営目標と合致していないこと。在来種が経営目的や環境保全に役立っているところで外来種が使われていること。
·
人工林の構造や配置に関して生物多様性を助長するための努力が払われていないこと。
B.3. 河川・渓流と侵食管理
河川・渓流沿いは一般に生態的にも環境的にも高い質と多様性を有しており、この評価基準に関しては自然林と変わらない状態を要求する。このためこれは、特に人工林施業の環境影響評価上重要な基準である。(FSC P&C, 5.5)
現場及び管理上の注目すべき指標:
· 河川・渓流沿いの保護と侵食管理のための法律要件
· 森林に介在する小川の付帯施設やその維持に関する計画の有効性。作業道計画や維持管理による土壌侵食の最小化
· 河川・渓流の緩衝帯の修復と維持管理に関する計画の有効性
· 人工林の土壌侵食の監視と維持管理(FSC P&C, 10.7)
理想的な状態(100ポイント)
·
人工林施業が河川・渓流の保護と土壌侵食の最小化を図った地域や国の政策と合致していること。
·
河川・渓流沿いの緩衝帯が種構成や空間構造など地域の生態的価値を有する自然林と同様のものであり、その中での全ての森林作業がこれらを保全する範囲内であること。
·
作業中における土壌侵食の情報が効果的に監視される状態となって人工林経営管理プログラムが出来上がっていること。林業経営者の行動がこのような情報に基づいて迅速であること。
·
林道や小川沿いの表面侵食を最小限化するための特別配慮が体系的になされていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
森林作業が水環境保全や土壌侵食に関する法的要求に答えていないこと。
·
侵食が土壌や有機物を川に流入させている。これにより、水質汚濁や水生生物の生息環境を劣化させていること。
·
土壌侵食を監視する効果的なプログラムが無く、また経営管理行為を修正する監視システムがないこと。
B.4. 化学物質の使用と管理
この基準の焦点は、化学物質が適正にまた効果的に使われているかどうかを判断し、環境へのリスクがない状態で人工林の生産性を向上させている点にある。
現場及び管理上の注目すべき指標:
· 関係法律の順守および化学物質使用の制限(FSC P&C, 6.6)
· 化学物質の使用スケジュール、および使用の妥当性
· 使用の有効性(例えば、地域的適応度、使用時期の適切性、求められる効力)
· 化学物質使用の必要性の最小化を図る森林作業や調査研究、毒性の低い化学物質の代用、代替生物の使用(FSC P&C,10.6)
理想的な状態(100ポイント)
·
目的とする最終成果を達成するための代替化学物質や非化学物質の比較分析を基にした化学物質の使用がなされていること。使用頻度と量を最小化した注意深い計画の立案がなされた化学物質使用スケジュールが立てられていること。
·
法律規制に違反する箇所がなく、化学物質の使用が地域林業の環境的なリーダーシップを発揮していること。
·
林業経営者は調査研究や実作業を通じて化学物質の使用を最小限化し、また化学物質依存を減じていること。例えば、現場での事前作業では播種のサポートとしての化学物質の使用が一回のみに制限されていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
化学物質が無差別で非効率的に使用されていること。
·
長期にわたる化学物質使用の減少努力が認められないこと。
·
法律規制との不適合が認められること。
B.5. 生態系保全地区に関するプログラムと方針
生態系保全地区に関するプログラムの有意義な開発と実行が、あらゆる合理的基準に基づいた信頼できる森林施業として評価される(FSC P&C, 6.4)。すなわち、人工林の性格からみて、森林施業が施業区の中に設定される生態系保全地区の特性を損なわない範囲内で行われていることが、環境保全責任を果たす要素である。この評価基準は、人工林施業上での生態系保全の重要な要素である。
現場及び管理上の注目すべき指標:
· 生物保存システムおよび保全地区に関する法的規制の順守
· 生態系保全地区の全面積での法的規制と施業内容との比較検討
· 風景との関係において生態系保全地区の規模と配置の考慮。野生生物生息域として保全地区が役立っているか。
· 生態系保全地区の維持や生物生息保全のための確固たる経営者の方針
· 生物多様性の拡大と自然な状態の維持を図る生態系保全地区内における森林管理の実施
理想的な状態(100ポイント)
·
森林施業全地域のうち10%以上の面積をもつ生態系保全地区をもうけていること。そして、それにかかる法的規制を順守していること。
·
生態系保全地区の設定が森林施業の全てにおいて野生生物生息の保全に最大限寄与していること。
·
林業経営者が生態系保全地域の設置と維持管理を効果的にする方針を確立していること。
·
森林施業に際して、生態系保全地区内の生物多様性を保障する計画と実施がなされていること;一般に、生態系保全地区は自然の状態が保たれていること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
森林施業地域に生態系保全地区が存在しないこと。また、各種の法的要求を満たしていないこと。森林所有者が生態系保全地区の重要性に無関心であること。
·
生態系保全地区が全体的に小さく、散在していること。従って、生物生息地が少なく、生態的価値が低くなっていること。
·
生態系保全地区が、荒廃地化したり、森林生産に関する最も低いコストしかかけてない地域となっている傾向にあること。そして、全体的にそうした配慮が欠如していること。
C.プログラム要素:財政的・社会経済的観点
このプログラム要素の対象とする評価基準及び関連事項の大部分は、天然林・人工林のいずれの経営でも基本的に大差はない。その二つに共通する基本的事項を以下に示す:
1) 森林経営を遂行する財政的能力:対象とする森林施業が、天然林、人工林のいずれであっても、あるいは、双方の組み合わせによるハイブリッド型(混交型)森林であっても、施業の長期的持続性と継続性はその財政的能力に根本的に依存することになる。認証チームの任務は、提供される情報の範囲で、事業体の財政的安定性と財政的な窮乏が当該人工林の管理方針に及ぼすであろう影響を評価することである。持続可能であるためには人工林管理方針が財政的にも実行可能でなければならない。
2) 森林経営の社会経済的影響と便益的側面:天然林の施業管理の場合と同様に、人工林管理における評価のポイントは、その管理活動によって直接的あるいは間接的に何らかの便益を受ける地域社会に対して、どの程度”良き隣人”として役割を果たしているかである。その鍵となる判断部分は、社会的な便益と施業によって引き起こされる相対的影響をどのように調和し分配するかであり、それが将来に亘ってどの程度保持されるかである。開発途上国にある人工林の場合には、特に、社会経済的尺度として、周辺に居住する先住民の伝統的、法的権利が含まれる。
SCS森林保全プログラム議定書に準拠して、以下の財政的及び社会経済的基準が日本で実施される評価に用いられる。
C.1. 財政的安定性 (FSC P`&C, 2.1,
5.1)
事業体(あるいは、小規模な家族経営の場合は、その家族会計)内部の資金運用が問題視され、実収入取得が危機に瀕しているような人工林管理プログラムは、経費削減によって総収入が増加する他の経営方針に取って代えなくてはならない。換言すれば、経営プログラムの長期的安定性を損なうからである。このような状況は本質的に不安定で、森林管理認証基準に抵触するものである。
財政上及び組織上注目すべき指標:
·
パルプ・製紙工場など加工施設からの原材料に対する要求により、人工林の土地管理に対する意思決定や優先事項に圧力がかかっていないかなど、所有構造および縦系列組織の一体化
·
過去からの記録あるいは他の証拠によって明らかにされている管理上の優先事項や土地管理活動の決定に際しての財政的配慮をどう担うか、そしてこれらの問題に対する所有構造の安全性と安定性、所有者の哲学
·
所有者・株主の債務・資本要求に関連した事業体/家族経営の現金資金への要求
·
当該地域の他の土地利用に比べて経済面での林業の相対的優位さ
理想的な状態(100ポイント)
·
施業行為に関して、所有権ないしは使用権が自明かつ合法的であること。
·
土地の管理に課せられた経済的な要件は、生態的生産力の維持を前提として、市場価の高い生産物を獲得する人工林施業の短期的・長期的能力と調和すること。
·
人工林経営に関する諸決定は、究極的には、財政上の要求性でなく、資源の状態や必要性、環境的負荷に関する十分な認識に基づいてなされていること。事業体/家族経営は、資源管理が際限ない経済的見返りよりも優先することを認識した経営方針を立て、それを忠実に守っていること。
·
土地所有者の投資に対する見返りは、非持続的施業への転換あるいは他土地利用の転換よりも、人工林経営へ長期的に付託した方が有利であること。
非認証事項(80ポイント未満)
·
人工林の壊滅的損失を十分に保障する保険に入っていないこと。
·
土地使用に関する争議下にあり、合法的な施業権利を確保できないこと。
·
債務の返済、現金資金調達等の財政上の負担業務が、人工林経営管理の諸決定より優先していること。
·
短期的な財政面での逼迫の結果、人工林自体のまたはその周辺域の生態系の長期的健全性や生産性を犠牲にする土地管理上の決定がなされていること。
·
経営管理に関する諸決定が、短期所有的なパターンへ向かっているか、またはそれが明らかに現れている場合;所有権が積極的に売りに出されているか、売りに出されようとしている、または財政面の脆弱さのために売却せざるを得ない状況となっていること。
C.2.
地域社会と公益
この基準の焦点は、評価対象の人工林経営が直接的に影響する地域社会及びその周辺域の経済的・社会的貢献度と係わっていることである(FSC P&C, 4.4)。 ここでは、経営管理とその利害を受ける者との相互関係として次のような事項があげられる:
·
人工林配置と居住域との相関影響
·
林産物の販売
·
地域社会の人びとの、経営森林の利用
·
納税
·
労働者の地元雇用
·
林産物の販売や資材の購入に関わる意思決定に際して、地元企業を支援しようとする努力(FSC P&C, 5.2)
·
地域社会貢献と住民活動支援など様々な形の協力
·
地域活動への従業員の参加
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人工林に係わる地域社会の尊重すべき権利と期待の認識
要するに、この基準の焦点は、主体事業体と従業員の行動が”良き隣人”、“地域社会の支持者”としてどの程度機能しているかに置かれている。先住民がいまだ残っている地域に人工林が位置する場合、”良き隣人”としての概念は、法的・伝統的土地使用を尊重することや、文化的価値や慣行を認識していることでさらに明らかに示される。
現場及び経営管理上の注目すべき指標:
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地元及び地域の労働力の雇用に関する方針と実績 (FSC P&C, 4.1)
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地域居住者、先住民(もし存在するならば)の伝統的権利や法的権利、経済的権利について支援し忠実に守っていく方針やその実績 (FSC P&C, 2.2, 3.1, 3.2, 3.3, 3.4)
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土地の所有権・使用権に関して争議を解決する機構(FSC P&C, 2.3, 4.5)
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他の土地と比較して、当該地域の森林施業の相対的な社会経済的優位性
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慈善活動、従業員の地域活動参加や奨励、物品購入等を通しての地域社会への企業的貢献
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地元及び地域住民の森林施業や従業員についての評判とイメ−ジ
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人工林施業における導入樹種や管理システムについて、先住民の伝統的な知識がどの程度供されているか(FSC P&C, 3.4)、そして;
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経営計画や森林の監視活動に関する公開資料の毎年の発表を通して、森林管理プログラムの現状と資源状態について利害関係者へ情報伝達する企業努力(FSC P&C 7.1, 7.4, 8.2, 8.5)
理想的な状態(100ポイント)
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人工林施業(生態系保全地区を含む)は、消費財や環境財として、また雇用機会を産み出す資源として、その影響下にある地域社会の生活の質を落とすことなしに長期的に寄与するものであること。
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先住民(もし存在するならば)の権利や価値を十分に認識し、かつ尊重していること。
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森林施業及び従業員が当該森林地域全体に十分にかつ積極的に貢献していること。
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事業体/家族経営の森林施業が社会的責任を担う林業の指導者的存在となっていること。
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事業体は先住民(もし存在するならば)の知識に学び応用した森林施業を積極的に見出すことに努め、当該団体に対してはそれに見合った対価を補っていること。
非認証事項(80ポイント未満)
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造林地の決定、土地管理方針、販売戦略、財の借入及び地域社会的プログラム(またはこれらの欠落)等を通して、その経営が、影響下にある地元や地域経済の長期的利益に対して基本的に無頓着であるか無関心であること。
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先住民や地域の人々の慣習的/法的権利の認識に欠けていること。
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その活動を通して、事業体/家族経営の森林施業が有害な社会的影響を及ぼし、そして”良き隣人”になり得ていないこと。
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事業体/家族経営の森林施業が、人工林施業に応用されている先住民の知識や技術に対して、彼らに何らかの対価を支払おうとする努力がなされていないこと。
C.3. 資本及び人的投資
長期的安定性と持続性を確保にするために、人工林経営はその管理プログラムにおいて継続的な投資を必要とする。環境的にも社会的にも責任を負う人工林経営の指導的役割を担うには、労働力を含めた新技術や経営基盤整備への継続的な投資が要求される。投資の二つの主要なベクトルとしては:1)
専門的・技術的能力、現場作業能力(有能な従業員を集めかつ留め、またその知識および基礎的な技能のレベルを維持することへの投資);2)資本投資の主要な対象は、研究開発、生態保護システム、道路、苗畑、機械装備、育林作業、資源保護プログラム等である。また持続的な人工林経営は、植栽地域に付随する生態系保全地区の健全性を維持するための投資、及び環境に対する影響を最小限に留めて市場価の高い製品を効率的に生産するメカニズムへの積極的投資も加味している。
現場及び経営管理上の注目すべき指標:
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組織における経営管理的・監督的機能強化のための専門的人材の確保・育成、経営者・監督者の教育的投資(例えば、林業経営、調査研究及び環境保全における投資のための方針と戦略)
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苗木生産や研究開発に関わる年平均歳出の確保、地域産業水準と比較しうる育林標準工程確保と投資
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環境面の対策・訓練のための投資方針と年平均歳出 (FSC P&C, 5.1)
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作業者の安全(FSC P&C,
6.6)及び管理計画実行に関する事項を含む従業員の現行訓練・教育への歳出と実施状況 (FSC P&C,
7.3)。
理想的な状態(100ポイント)
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人工林(造成)を支える諸活動(例えば、苗畑、育林、資源保護)への投資の時期と規模が、経営管理プログラムの実施及び最大の生産性を維持するのに最適であること。
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機械類(例えば、伐出装備)や道路のような資本整備への投資が、当該地域の林業の指導的役割を担えるような森林施業に十分に反映されていること。
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労働力、特に経営及び専門的なスタッフが、新しく開発された人工林経営管理業務及び林業技術の最新知識を維持し、また経営計画を十分に履行するために必要な行動をとっていること。
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事業体が、その経営管理を改善し活性化する土地資源情報システムの取得・維持のため十分な資金を投入していること。
非認証事項(80ポイント未満)
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人工林の生産性及び生態系保全区域の健全性が、非効果的な投資、すなわち;不適切な研究開発、不十分な苗畑設備、時代遅れの機械装備、訓練不足の作業者等々によって、望ましくない影響を被っていること。
C.4.
従業員・請負者の管理
人工林経営の成否によって最も影響を被るのは森林作業に雇用されている人たちか、請け負っている人たちである。もし、経営が持続可能でない場合、最も直接的な経済的危機に置かれるのは従業員と請負者たちとなる。それゆえ、従業員と請負者に係わる経営管理方針は、対象となる人工林施業の社会的・地域経済的状況を決定する最も直接的な要因となる。
現場及び経営管理上の注目すべき指標:
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地域産業水準及び労働法に照らし合わせた従業者の賃金と福利厚生
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従業員の作業態度、全般的士気、業界・地域ベ−スでの労働力保有
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経営上の意志決定および事業体の方針策定への従業員の参加機会
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第三者および請負者との関係、最低賃金、地域の生活水準に照らした請負者への補償率
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法的安全基準の順守、及び現場での安全管理に関する事業体の制度・方針
理想的な状態(100ポイント)
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森林施業に係わる被雇用者の補償制度水準が、地域産業間のリーダー的存在となっていること。
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事業体/家族経営の森林施業が、従業員と同様に請負者の福祉にも寄与していること。
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野外作業の請負決定が、経費削減の手段として利用されていないこと。すなわち、請負労働への移行が、影響を被る全被雇用者の経済的利益の低減をもたらしていないこと。
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従業員と請負者とは連帯して会社と交渉し、両者同程度の生活賃金を引き出すことができること。
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経営管理方針とその実行を通して、事業体は従業員と請負者に対する長期的雇用条件において地域産業のリーダー的存在であること。
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林業経営者たちが独善的ではないこと;むしろ、彼らは、新しい情報や技術に遅れをとらないように従業員や請負人からのフィードバックを受け入れる器量を有していること。
非認証事項(80ポイント未満)
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林業経営者が被雇用者に対して社会的な義務を果たしていないこと(例えば、労働災害補償や入院保険・援助などについて)。
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請負者または従業員の作業所(もし存在するならば)が、生活衛生面や待遇に関して、最低限必要なレベルに至っていないこと。
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請負者や従業員の労働が法律的要件を満たしていないこと。
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林業経営者が被雇用者の団結権や交渉権といった法律上の権利を侵害していること。(FSC P&C, 4.3)
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被雇用者が仕事の経験を広げ技能を高める機会を与えられていないこと。
[1]"Genetically modified organisms" does not apply to hybrid or "plus" three species/varieties resulting from breeding programs.