森林認証制度のページ


目次

森林認証概論 グリーンピースの創設者の森林認証批判
森林認証関するwebsite集
木材認証・ラベリング調査分析事業報告書
世界中で元気な森林認証
日本国の持続可能な森林経営の認証基準作成についての作業小部屋 もう一つの森林認証-「緑の循環」認証制度(2002/9/15)new
日本における森林認証制度の展開方向についてのメモ

FSC認証国内基準作成検討会合(2002/1/11)
資料:FSC認証日本規準の作成作業
資料:FSC地域版の認証基準掲載ウェッブサイト集(1999/1124)
資料:我が国の認証森林の概要
地域認証制度の提案 森林施業計画認定基準とFSC認証基準の隙間
県産材認証とFSC認証の間ー県産材・地域材認証にグローバルスタンダードの視点を
穂の国からの地域認証提案
その他の関連資料 森林認証に関する意識・意向ー平成14年度農林水産情報交流ネットワーク事業全国アンケート結果(2002/9/15)new
WWF山笑会と「森林ビジネス革命
」(2002/4/11)
FSC認証虎の巻ーコンサルタントの認証マニュアル公開(2002/4/11)
資料:我が国の林業にとって森林認証の意味は何か
意見:その他の国の経営管理基準に国内林業サイドから発言を
中部森林管理局名古屋分局「21世紀の森林づくり検討会」の報告書
2000年の日本林学会大会の報告
 

森林認証概論(2000/6/26)


森林認証制度が日本に上陸し、行政機関、学会関係者など関心が広がりつつあります。欧米で生まれた制度ですが、林野庁の調査などにより森林認証についての報告書がいくつか作成され、日本語で森林認証についての情報が幅広く得られる環境が整ってきました。しかし、まだ発展途上の仕組みであり、半年前の情報が古い情報となってくるような面があります。そんなことから様々な制度が発信するインターネット上の情報をリンクしたデジタル版の森林認証概論を作成し掲載しました。
ISOなど認証制度の発祥の地であるヨーロッパでEUの財政的支援を受けて森林認証制度についての包括的な情報をフォローしているCISのウェブサイトをベースとして、第一部森林認証の歴史と形成、第二部森林認証の各種制度の国際的動向、第三部国別の動向の三部構成となっています。

世界中で元気な森林認証new(2002/11/17)

地球サミット以来10年、国際的な森林の管理について、森林条約、国際熱帯木材協定2000年目標などいろいろなスキームが提唱されてきましたが、あまり芳しい成果を上げることができなかった中で、森林認証だけが盛り上がりを見せています。森林認証の現状を話してほしいという依頼があり、認証された森林が世界中でどのくらいあるか、最新情報を整理してみました。(詳細

グリーンピース創設者の森林認証批判(2002/4/11)new
3月26日付のロスアンジェルスタイムズ紙に掲載された森林認証を批判する評論記事が波紋を呼んでいます。「木材は環境に優しい資材なのに、なぜ木材だけがグリーンのハードルを課せられなければならないのか。環境団体はグリーンなコンクリート・グリーンな鋼材を求めないのか」という厳しい指摘をしている筆者は、国際環境団体グリーンピース創設者の一人です。重要な論点を含んでいます。ご一読下さい(割と短い英文です)
環境に優しい木材と森林認証の関係については小論の「地域認証制度の提案」も併せてご覧いただければ幸いです。

森林認証制度に関するwebsite (1999/12/26)
森林認証について、FSCは本部のサイトに認証森林リスト、定款、認証基準、メンバー、承認した認証機関などの情報をwebsiteに掲載しています。各国の支部のサイトもあります。その他、認証に関する情報を丹念に拾っている独立系のウェブサイトもあります。これらの一覧を掲載します。森林認証制度に関するwebsite集はここ
木材認証・ラベリング調査分析事業報告書(2000/6/26)
財団法人日本木材情報センター(JAWIC)が最近上記表題の報告書を作成しました。林野庁の総合的な調査の一部で一年ほど前の情報ですが、現地調査と現地コンサルタントの一次情報も含めたなかなかのものです。
目次は
1 調査事業の目的と実施方法
2 木材流通・加工業に関わる認証制度と実施状況
3 日本における認証の実績と取り組みの状況
4 日本における認証システムの導入に関して
5 北米における森林の認証と木材流通
6 ヨーロッパにおける森林認証システムと認証木材の流通
元々、木材関係の海外情報は輸入元である環太平洋地域が中心でしたが、認証問題を通じてヨーロッパの情報がいろんなインパクトを我が国にも与えつつあるように思います。この報告書にもある「アフリカ材が環境シフトの欧州市場を回避して我が国を含むアジア地域にシフトしつつある」という指摘、「オーストリアやドイツなどの国産材マークの普及」など大変興味深い指摘が含まれています。
今回はデジタル配布はしないで、書籍として5000円で販売するそうです。担当佐々木さんとコンタクトをとってください。
今後、収集した一次資料リストなど、関連情報を掲載してゆきます。

日本国の持続可能な森林経営の認証基準作成についての作業小部屋 (1999/11/24開設)


もう一つの森林認証-「緑の循環」認証制度(2002/9/15)new
林業関係者の団体である日本林業協会が検討していた、日本版森林認証制度の概要が公表されました。来年度の運用に向けて検討を進めてゆくことのようです。

日本の森林林業関係者が消費者との直接対話につながる認証制度に取り組むということの意味は大きいものがあると思います。FSCの日本規準作成との関係がどうなっていくのか気になるところです。お互いの関係者が理解を求め合ってゆけば、接点が見いだせるのではないかと思います。

関係資料を掲載します。
資料全体 pdf
プレスリリース 我が国にふわしい森林認証制度(仮称「緑の循環」認証制度)の創設に向けて html
森林認証制度趣意書 html
森林認証制度検討委員会中間報告 html pdf
森林認証制度の検討フロー html
森林認証制度検討委員会メンバー html
森林認証制度検討経緯 html

日本における森林認証制度の展開方向についてのメモ(2002/1/11)
FSCの日本における認証基準の作成作業や、日本型の認証制度の検討など、認証制度を日本に合わせて定着させていこうというという取り組みがこのところ動き出しています。
小生も、1月11日に行われたFSC日本基準作成検討会、昨年の12月に開かれた林業団体の森林認証制度検討会に参加しました。

後者は、日本林業協会の主催するもので、小生は意見を求めれたので、、「我が国の森林林業と認証ー日本型森林認証制度の展望」と題する話をさせていただきました。その時の使用をもとにしたスライド資料を掲載します。
内容は
1 我が国にとって森林認証制度とは何か
2 FSC認証の背景と性格
3 日本型森林認証制度の展望
の三つに分かれています。
今まで、あちこちで発言してきたことをまとめたものですが、次の二つの点で若干のオリジナリティがあるものと自負しています。
第1に、FSC認証基準を、@経営の社会的責務、A森林の多面的機能、Bマネジメントシステムの三つの部分に分けて分析したこと、(スライド9、10,11)
第2に、森林施業計画認定実務の調査結果を踏まえ、それとリンクした森林認証計画を提案したこと(スライド14)
資料はこちら いろいろご批判下さい。

FSC認証国内基準作成検討会合(2002/1/11)
11日東京でFSCの日本基準を作成すべく表記の会合が開催されました。日本基準の必要性については小サイトの中でも専用のサイトを設け、昨年3月に第一次草案が提案されてからそれを紹介したりこちらの意見を発表したりして関わってきて関心もあったし、事務局の森林認証制度研究会から案内があったので参加しました。日本林業技術協会の喜多理事の開会挨拶、wwfの前沢さんの司会、富村環境研究所富村さんの技術的解説、最後の締めは東大の白石先生(森林認証制度研究会)という配役で、全国から林業関係者、行政関係者、環境団体、労働組合など50人以上の方々が集まり4時間以上にわたって議論をしました。小生にとっては今までメールでしか知り合えなかった何人もの方々にお会いできたという余録の大きい会合でした。FSCの認証もまた新たなステップに踏み出すことになったようです。詳しくは議事録が「森林認証制度研究会」のウェブサイトに公開されています。全体概要についてはそちらを見て頂くとして、関係情報や意見など気のついた点を書いておきます。
(日本基準策定の意義)
FSCの認証を受けるにはFSCに認定された認証機関がFSCの原則と認証機関独自の原則に基づき認証を行っていくわけですが、FSCの原則も各認証機関の原則も日本の森林を対象としたものでないため、先住民の権利との調整、所有権の確保の状況など、日本の状況に当てはまらないものがたくさんあり、大変わかりづらくなっています。そのため日本の第一号の速水林業の場合は、認証の過程でわざわざ仮の日本に適用される基準を策定してから、認証作業にはいるという手間をかけています。また、本格的に作業に入る前に、認証をされそうなものか海外の認証機関の人にきてもらって予備的に見て貰うという回り道もしています。そのことが、認証コストをはじめさまざまな障害の原因になっています。日本の実情にあった基準ができれば文書を見ただけで誰でもどの程度のハードルをクリアすれば認証できるかの目途が立ち、少なくとも予備審査という過程は省略が可能になると思いますし、また、日本の認証機関も参画しやすくなるので、大幅なコスト削減ができると思います。またなによりも、日本の計画制度などとの関係も分かりやすくなるのではないかと思います。
(簡素化草案)
基準の策定作業に関わってきた富村さんが、FSC認証国内基準簡素化草案というのを説明されました。(配布されたテキストpdfファイル wordファイル) 第一次案に比べて大幅に分かりやすく改善されています。富村さんも言っていましたが「認証が4件積み重なってきた過程で日本の実情に照らして何がポイントかと言うことが見えてきた」と言うことだと思います。是非ご関心のある方はご一読のうえコメントを寄せられたらどうでしょう。(コメント先は富村環境事務所
(草案にひと言)
フロアでも発言させて貰いましたが、分かりやすくと言う点でまだまだ改良の余地があります。特にお願いしたいのは、森林施業計画制度(制度の解説は岩手県林政課のサイト分かりやすいです)との関係です。速水さんも言われていましたが、認証機関側から要求された文書による「基本計画の提出」は、基本的に現行で認定されている森林施業計画書そのもので対応されたそうです。基準の中には現在の施業計画認定基準で簡単にクリアできる部分も結構あるので、そう言う部分(例えば5.6の「林産物の収穫はそれが持続できなくなるレベルを超えてはならないこと」の三つの項目など)は「施業計画基準を満たしていること」とひと言ですませることができます。
(他の認証制度との関係)
京都大学の大田先生が話していましたが、世界中の認証制度の動きがFSC対欧州北米の地域認証基準連合と再編される方向になっているようで気になるところです。日本でも県毎の地域基準を策定する動きが進んでいますし、また日本基準を策定しようと言う動きも別にあります。事務局の方からは近々国際的な動きを分析した結果を紹介するという話がありました。FSCの基準と別の基準が勢力争いをして混乱が始まるのではないか・・・と心配もありますが、小生としても二つの系統の会合に出てみましたが、結論は「あまり心配することはない」と楽観的に考えています。欧州での二つの潮流の分かれ目は、FSCでは「ハードルが高すぎる」という中小所有者の声をうまくFSCがハンドリングできなかったということに起因していると思います(勿論いろんな反対勢力の策謀という見方もあるのでしょうが、あまりそれを行っても始まらない)。入り口のところで神学論争をせずに、いろんな人が基準を作りながら、その途中でなぜその指標が必要なのか、あるいは必要ないのかをひとつひとつ具体的に議論してゆけば、なにか新たな希望のもてる日本基準ができるのではないかと期待しています。前沢さんが「FSCはフレキシブルだしどんどん日本から提案してゆけばよいのだ」と発言されていましたが、大変心強く思いました。
FSC認証日本基準案への意見(2001/4/11)
FSC認証の日本基準草案について、職場の有志と一緒に検討た結果をとりまとめてみました。
ポイントは、草案はFSCが日本の林業関係者にアッピールする文書としては少しわかりづらいのではないかということです。日本の基準が、FSCの基準の構成にあまり忠実に作成されると、「先住民との利害関係の調整」などがクローズアップされたりして初めて読む日本の関係者が違和感があるのでないかと思います。具体的な対案にはなっていない問題提起といった形の意見になっていますが、日本の林業関係者が蓄積してきたものの上に立った、分かりやすい基準の作成に向けて一石を投じようと意見をまとめてみました。下記に本文を掲載します。検討に加わったメンバーは、名古屋分局の勝占、草深、竹中、石飛という若手メンバーです。
日本の規準作成の検討資料
カテゴリ 資料名 備考
日本基準草案 現在の草案本文(html版msword版 第一次案(2001年3月7日)
作成者からのコメント
藤原からコメント 3月11日
名古屋分局有志の意見 3月31日
FSCの基準 認証基準指標本体(英文 仮訳和文 英文は本部サイト、和訳はwwfjサイト
海外の基準 スウェーデンの基準 初めてできた国別計画
英国の基準
米国の地域基準 全国を10地域に分けて作成中、もちろん太平洋地域が一番重要
ロシアの基準作成作業の現状 これが一番問題、取りあえずロシア認証セミナーの情報
国内の認証関係資料 速見林業認証過程の基準案(英文 和文<html版 msword版 国内認証の暫定基準として使われたもの、最重要
速見林業の認証概要(英文
檮原森林組合認証概要(英文PDFファイルダウンロード スマートウッド社のサイト
日本の計画制度 工事中
FSC認証日本基準の作成作業(2001/3/11)
いよいよFSC認証の日本基準の作成作業が始まったようです。FSCのメンバーであるwwfジャパンの前沢さんと同じくメンバーである富村さんが作成した草案がネット上で配布されています。送っていただいたものをこちらに掲載します。どういう手順で作成してゆくのか、どういう内容としてゆくのか、いろいろ議論のあるところだと思います。

内容の検討の視点は@FSCの基準との整合性、A他の国の国内基準とバランスがとれているか(特に輸出国の規準<これからできるものも含めて>)、B速見林業と檮原森林組合の認証過程とのバランス、C日本独自の森林施業計画制度など既存の制度の枠組みをどう生かすか、などがポイントとなると思います。
日本の基準作成の検討資料(上記)

我が国のFSC認証森林の概要(2002/1/11)現在


2002年1月現在我が国でFSC森林認証をうけた森林は4カ所7500ヘクタールとなっています。概要は以下の通り。山梨県の県有林、三重県で複数の森林が認証準備を進めています。
no 名称 場所 contact 面積 取得時期 認証機関 公開
概要
サイト内
関連情報
関係サイト
SACS-PM
-00006

速水林業

三重県海山町 速水亨 1070 2000年
1月
SCS 英文
和文
ここ
SW-FM
/COC-125
檮原森林組合 高知県檮原町 中越
利茂
3335 2000年
10月
Smart wood 英文
和文
ここ 檮原森林組合関連
SCS- FM
00037P
アサヒビール
庄原林業所
広島県庄原市 秋葉
さとし
2169 2001年
9月
SCS 英文
和文
ここ
アサヒビール認証
SGS-FM
/COC-0824
東京農工大学 栃木県・群馬県・埼玉県 岸洋一 904 2001年11月 SGS 準備中 ここ
また、FSCのレベルをはって認証された林産物を販売することができるCOC認定をうけた加工流通業者は22件になっています。詳しくはアミタ株式会社の関連サイトをどうぞ。

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地域材認証制度の提案


森林施業計画認定基準とFSC認証基準の隙間(2002/8/11)new
7月下旬、地域材認証の仕組みを検討している愛知県東三河材の関係者が、FSC森林認証の規準適用の模擬テストをする機会に立ち会いました。「地域材認証にグローバルスタンダードの視点を」と提唱している小生にとっては、大変興味のあるイベントでした。

FSC側からは日本基準のワーキンググループ座長の富村さん、木材流通認証(coc)の専門家である認証機関SGSの佐々木さんが参加し、地元の側からは、愛知県の県事務所、三河材流通加工センター・ホルツ三河NPO穂の国の森づくりの会、関係森林組合などの関係者が参加しました。FSCとしては日本基準の草案を現場でチェックしてみる機会であり、地元の側としては地域材認証基準にFSCのハードルを課すとどんな問題が起きるかということを実感する機会、と双方にとって大変有益な作業でした。

議論は、入り組んだ地権者の関係から伐採量の水準まで多岐にわたりましたが、ここでは森林施業計画認定とFSC認証の関係についての議論を紹介します。

森林施業計画とは、森林法に基づき全国森林計画を頂点として組み立てられている我が国の森林計画制度の一番現場よりの計画制度のことです。森林所有者が自発的に作成し市町村長の認定を受けることが出来ることとなっています。認定された施業計画に沿った事業についての助成制度があり、森林計画を現場段階で実行あるものにする大切な制度です。

この認定基準は国が定めていますが、この基準と、FSCの認証基準とがどんな関係になっているかが、小生にとっては重要な関心事でした。丁度この4月から、昨年成立した森林林業基本法の理念に基づき森林施業計画の制度が、大幅な変更がなされたばかりでした。水土保全林、共生林、資源循環林と三つに区分された森林ごとに認定基準が新たに設定され、規準の考え方も大きく変わりました。県の担当者は「今回の基準の変更で、森林施業計画の認定基準が大幅にFSCの規準に近くなった」と話をされていたのが印象的でした。そして、県の研修会用に作成したばかりの資料を基に説明していただきました。(森林施業計画の認定基準関係資料)

今回の改正で重要なのは、第一に、今までの伐採規準は高齢林をどんどん伐採しなければならないという仕組みになっていたのが、基本的には平均成長量に基づくものになったったこと、第二に、森林所有者だけでなく委託を受けた場合森林組合も策定主体となれるようになったこと、です。

施業計画の認定規準をクリアすることで、FSCに認定基準のかなりの部分をカバーできるのではないか、というのが小生の考え方です。施業計画の認定基準がFSC認定基準のどれだけをカバーしているかは、FSC認証が日本の森林を対象に検査する場合FSC原則のどの部分にどの程度力を入れるか(a)、そしてそれぞれに森林施業計画がどの程度カバーしているか(b)、という二つのパラメーターから計算できるはずです。

過去の我が国のFSC認証実務に参加してきた冨村さんの模擬テストでの発言をもとに、それぞれのパラメーターを、小生が「おおよそこの位」と判断(独断)した結果を下表にまとめてみました。計算結果は55%という数字となりました。
FSCの認証基準規準 森林施業計画認定基準 axb 残り
ウエート(a) カバー率(b)
法律の順守 5 - 0 5
保有権、使用権及び責務 5 資源調査 100 5
先住民の権利 - - 0
地域社会との関係と労働者の権利 5 - 0 5
森林のもたらす便益 25 植栽、主伐の時期、伐採立木材積 80 20 5
環境への影響 25 間伐、森林の機能区分 50 13 12
管理計画 20 森林施業計画書 80 16 4
モニタリングと評価 10 - 0 10
保護価値の高い森林の保護 5 - 0 5
植林 - - 0
全体 100 55 45

これを多いと見るか少ないと見るかは判断が分かれるところです。重要なのは、残りの45%を埋めるのに必要なのは、大きな金銭の負担でななく、森林管理の責任者(資源管理者)の努力と工夫だということです。

次の三点についての検討が行われその結果が施業計画書かその付属文書にきっちり書き込まれているということで、半分がクリアされ、その内容が関係者全員に共有されているということで残りの半分がクリアされると思います。
第一に、地域社会や環境、長期的な林業の継続などに配慮した森林施業の理念、
第二に、財政的な面や環境を配慮した伐採量や伐採区域の考え方、
第三に、その他環境や地元社会に貢献するために配慮している事項。

もとより、FSCとしての正式のコメントではありませんが、当たらずといえども遠からず、今後の認証を考えている方々、様々な認証基準を開発中の方々に参考になれば幸いです。
県産材認証とFSC認証の間ー県産材・地域材認証にグローバルスタンダードの視点を(2002/6/21)
昨年、会員制寄稿誌「日本の林業を考える」第九号に「地域材認証ラベリング制度」を提案しました(本サイト内掲載pdfファイル)。その後反響があり愛知県東三河地域でこの提案に関して話をする機会がありました。その準備の過程での議論を踏まえ、また、最近の日本独自の森林認証制度の動きや県産材認証などの地方行政の動きを踏まえて、表記小論を同誌五月号(五月号目次)に寄稿しました。編集部の許しを得て、全文を掲載します(→こちらから)。
要旨は次の通りです。
@    我が国で認証制度を設計する場合、我が国の森林計画制度を基本にしながら少なくともFSCが課しているハードルは越えるというグローバルスタンダードの視点を持つべきであり、それは、十分可能である。
A    FSCは世界市場を念頭に置いて設計されているということに起因する制約があり、日本市場を念頭に置く独自の制度がFSCと共存する可能性がある。
B    最近数県で始まった県産材認証制度の動きは最終需要者に山側がアプローチする手法として積極的な面を持っているが、環境的側面を加えないと発展性を持った制度として成立するのは難しい。
C    これらの動きにグローバルスタンダードの視点を注入し、新たな制度を作ってゆくことができれば、FSCの動きとも連携した新たな展開が可能になる。
D    そうなったとき、世界中の木材を輸入している輸入大国日本から世界に対して、地球の温暖化対策の柱として、違法伐採された木材等を拒否し、持続可能な森林経営を呼びかける、強なメッセージが発信されることになるだろう。

地域材認証制度の提案」・会員制寄稿誌「日本の森林を考える」第9号から
会員制寄稿誌「日本の森林を考える」第九号に掲載された、小論「地域材認証制度の提案」pdfファイルで提供します。世界で生まれた森林認証制度を日本の現実に合わせて育てる工夫・理由。ご笑覧ください
「日本の森林を考える」との出会い
会員制寄稿誌というちょっと変わってメディアがあります。会員は年会費1万5千円を払って「自分のいいたいことを書かせてもらう」というものです。そんな制度が成り立つのかどうか不思議だけれど、国産材時代ー林業の再生を求めてーという超真面目でオーソドックスなテーマを掲げて、2年間八号の号数を重ねてきています。
発行人である第一プランニングセンターの森田さんと代々木公園の「森林の市」(2001年5月)で話しているうちに小生も会費を払って執筆しないかと勧誘を受け、「地域材認証制度を提案する」という一文を寄稿しまた。また、こちらから小HPのニュースレターを送っているうちに、おもしろそうだから、その季刊誌にニュースレターのコーナーを作ろう、という願ってもない話が進むこととなりました。ということで今度発行される、「日本の森林を考える」第九号には、小生のニュースレターが転載されることになり、小生の情報発信もマルチメディア化の一歩を踏み出すことになりました。ご関心のある方は以下にご連絡してください。
バックナンバーの目次を掲載(pdfファイル)
107-0052
東京都港区赤坂7−6−52ハイツ赤坂103
第一プランニングセンター内
「日本の森林を考える」編集室
電話 03−3588−0998
FAX 03−3588−0973
メール mailto:LEP07652@nifty.ne.jp?Subject=会員制寄稿誌


穂の国からの地域認証提案new(2002/2/11)
愛知県東部の東三河地区は三河材産地として先進的な取り組みを進めていた地域ですが、新たな地域材認証の取り組みを進めています。地元のNPO団体である、「穂の国の森づくりの会」が作成した検討資料を、作者の了解を得て転載します。県産材認証という動きが各地で進んでいます(神奈川長野岐阜)が、行政とタイアップしてNPO団体がイニシアティブを持っていること、豊橋市など消費者との結びつきが視野に入っていること、特定の地域と言うだけでなく環境認証というコンセプトがはっきりしていること、の三つが大変重要な視点だと思います。

その他の関連資料

森林認証に関する意識・意向-平成14年度農林水産情報交流ネットワーク事業 全国アンケート結果(2002/9/15)new

農林水産省が6月に行った表記調査結果の詳しい内容が公表されています。
1 森林認証・ラベリングの認知状況
 − 認知度は、林業者、流通加工業者が5割、消費者が4割 −
2 森林認証・ラベリングへの参加意向
 − 「条件によっては」を加えると、参加意向は6割〜7割 −
3 森林認証によりラベリングされた
  製品の購入意向
 − 製品の種類や価格条件によっては購入が8割 −
興味深い内容です。 概要 こちら

詳細な結果と統計がダウンロードできます→こちらのサイト「森林認証に関する意識・意向平成14年度農林水産情報交流ネットワーク事業 全国アンケート」から

WWF山笑会と「森林ビジネス革命(2002/4/11)new

(待望の山笑会)
FSC認証森林をサポートする国内の企業グループ「山笑会」が3月中旬に発足しました。さっそくホームページでの情報発信がはじまっています。まだ工事中のところが多いページですが、しっかり検討された結果であることがわかる会の趣旨や規約などベースとなる情報が入手できます。認証が自社の環境への取り組みをアピールするメセナの水準から脱皮してゆくためには、認証木材の販売促進が自らの利益に直結する企業グループの力が大きな役割を果たしていることは、海外の取り組みが教えてくれているとおりです。これからの発展を祈ります。
(森林ビジネス革命)
最近「森林ビジネス革命」(築地書館)という本を読みました。森林認証制度など消費者の環境意識への高まりを自らのビジネスチャンスとしてとらえる、米国の木材関連業界のたくましい姿です。産業界が本気になると環境問題が動き出すというのは、エネルギーショックの時の省エネ、自動車排気ガス規制、最近の地球温暖化などで体験済みです。この本はその重要な点にスポットを当てた好著です。(四月号の「林業技術」誌の書評欄に小論が載っています) さて山笑会が我が国の森林ビジネス革命の旗手になれるか。道は厳しいけれど期待したいところです。
(対象とする認証制度)
冒頭に山笑会を「FSC認証森林森林をサポートする企業グループ」と紹介しましたが、正確に言うと「『信頼のおける森林認証制度』を推進する」(規約第一条)というのが正しい表現です。信頼のおける森林認証制度には4つの基準があり、その4つを現時点でクリアするのはFSCしかない、将来その基準を満たすものがあればオープンだ(山笑会趣旨)という主張です。苦心された表現だと思います。4つの基準については趣旨をご覧頂くとして、その中で「世界中の全ての森林を対象にした・・認証」という点がとてつもなく高い参入障壁となっています。輸出を念頭に入れたものでなく我が国の市場を相手にした戦略でしょうから、我が国の手の届くところで展開されるローカルな認証の動きなども視野に入れていただけると大変ありがたいと思います。

FSC認証虎の巻ーコンサルタントの認証マニュアル公開(2002/4/11)new

FSCの森林認証は本部が作成している「FSCの原則と規準」に基づいて行われますが、公開されているこの原則は基本的精神が書いてあるもので、それだけで自分の山が認証されそうか判断することは困難です。実際の認証作業はFSCに認定されている認証機関が自ら作成したマニュアルに基づいて行っています。英国に本部を置くFSC認証大手のソイルアソシエーション社が認証時に使用している社内基準が日本のパートナーであるアミタ株式会社によって和訳されています。FSCの10の原則と規準ごとにソイルアソシエーションが設定している内部規準、チェックリスト、それぞれの項目の配点、認定決定方法などが記載されています。これを見ると、認証を受ける側ではFSCの課しているハードルがどの程度のものかわかって大変好都合です。こういうものが公開されていることがFSC認証の強みなのかもしれません。認証を検討されている方は一読をお勧めします。
配布希望の方はご連絡下さい
(この件についてはは林野庁計画課平井さん、アミタ株式会社井ノ口さんにお世話になりました)

我が国の林業にとって森林認証の意味は何か(2000/3/6)
認証制度は、先進国の消費者運動に対応するための手段として、林産物の輸出国の林産業が受け入れるという形で導入されてきた経緯がある。木材の輸入国である我が国の林業経営にとって認証制度の意味kadai2.htm#kihonhousiryouは何か。以下のように二つの意味がある。
1 我が国国内の市場における国内林業の競争力を確保
近い将来あり得る海外からの認証木材の大量輸入の可能性に対し、我が国の林業の高い水準を日本の消費者に対して示し、競争力を確保する必要がある。この点について、認証木材の大量輸入の可能性、すなわち我が国の消費者の環境指向の程度の認識をどう見るか見方が分かれるところ。90年代のはじめに日本建設業協会が熱帯木材合板パネルの使用削減ガイドラインを発表したことがあったが、急に進展する可能性は十分に持っている。
2 海外に対する発言力の確保
我が国の林業の将来にとって、輸入される木材は持続可能な木材とするという秩序を作ってゆく必要がある。ITTOが条約の中で2000年目標としてこのことを規定したように、この主張は反対するのが困難な、説得力のある主張である。ただし、我が国の林業がしっかりした基準をクリアしているという状況になっていることが必要。

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その他の国の経営管理基準に国内林業サイドから発言を(1999/11/24)
また、日本の基準の作成は来年に予定されているようです。時間をかけて十分な議論を踏まえて作成されるように期待します。そこですでにすでに国別基準ができているものについて少し検討を進めていく必要があると思います。FSCの基準が世界基準になるかどうかはわかりませんが、いずれ将来森林条約ができる場合の技術基準の参考資料にはなるでしょう。
現在のFSCの基準作成のプロセスで問題なのは、環境問題がローカルな問題ととらえられてるところです。つまり、各国の基準は各国のコンセンサスでというのですが、貿易関係がある場合、輸出国の基準は輸入国の森林経営に影響がある(当然逆も言える)という観点が抜け落ちている。つまり、日本の林業者は、輸出地域の基準作りに積極的にものをいわなければならないし、そのようなプロセスになっていないことに異議申し立てをすべきだと思います。ちょっと話が横道にそれました。
現在のところ国ごとに本部でエンドースされた基準を持っているのは英国とスウェーデンの二カ国で、米国はいくつかの地域基準を持っています。我が国の場合、北海道とその他で二とおりの基準ができるのでしょうか。

FSC地域版の認証基準掲載ウェッブサイト集(1999/1124)
参考のため英国の基準をここに掲載します。輸入国の先進国という限りで似ているので参考になると思います。
具体的には、人工林の皆伐伐区の上限20ha 天然林は2ha、などの数値指標が示されています。
また、生物多様性の項目では、野生生物の生息環境を維持するため、平均ヘクタール当たり3本の枯損木及び倒木を保全
というのもあります。ちょっと驚きですね。
英国の基準を仮訳を試みています。ご希望の方はメールでご連絡下さい

の他、
スウェーデンの認証基準はここ、http://www.fsc-sweden.org/gron/stand.htm
米国の地域的な基準はここにhttp://www.fscus.org/define_responsible/regional_standard/us_standards.html
Mississippi Alluvial Valley Draft Standards 、Southeastern Draft Standards、Southwestern U.S. Standards の三つが本部によりエンドースされた基準として掲載されています。
小生は今のところ、ちょっと手が回らないのですが、我が国に対する輸出国の基準を我が国の林業との関係という観点から研究してゆく必要があると思います。
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2000年の日本林学会大会の森林認証についての報告
第111回日本林学会総会が3月30日(木)から4月2日(日)にかけて神奈川県藤沢市日本大学生物資源学部湘南キャンパスで開催されました。森林認証についても話題の一つであり、31日にはテーマ別セッションの一つとして「日本における林業国際環境認証をめぐる動向」開催されました。また、2日には森林計画学会が主催して「森林認証と持続可能な森林経営」というシンポジウムが開催された。小生も、テーマ別セッションで「国際林業認証の動向と我が国の森林林業政策」と題した報告をしました。概要を報告します。
テーマ別セッション
森林計画研究会シンポジウム
テーマ別セッション 日本における林業国際認証をめぐる動向報告
小生が報告をすることになっている表記のテーマ別セッションは、9人の発表者の報告を中心に信州大学魚住先生をコーティネーターにひらかれました。国際動向ではFSCと他のスキームの関係、我が国の関係では普及の展望、行政の関与の仕方、天然林の評価に関する技術的側面、経済的なフィージビリティの評価などが共通の関心となっていたと思います。このHPについて、最後の魚住先生のまとめの発言を含めて数人の方から言及いただきました。ありがとうございました。今後ともご協力をお願いいたします。
「日本における林業国際環境認証をめぐる動向」当日プログラム
「国際林業認証の動向と我が国の森林林業政策」 
このセッションで小生は「国際林業環境認証と森林林業政策」というテーマで発表しました。
環境問題について政府の役割というのは、環境経済学分野などの研究によって極めて明快に規定されています。認証についてはボランタリーベースというのが本流で、FSCなどは認証過程の政府の役割を明示的に拒否しています。政策の中での認証制度の特殊性を明確にしながら、政府と認証制度の関係を検討して行きます。ボランタリーベースの認証基準は、政策として固まることが時期尚早な環境基準などをを打ち出して行く手段として位置づけられるし、それが政策として位置づけられる中で安定した環境が達成する、という図式でしょうか。
レジメはここ報告用OHPはここ

森林計画学会シンポジウム
4月2日森林計画学会主催のシンポジウム「森林認証と持続可能な森林経営」が開催されました。テーマ別セッションに比べて比較的時間があり、認証の実務的な問題や、行政と認証との関係などについて深まった議論ができたと思います。実務的な内容については別途掘り下げることし、概要を掲載します。

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中部森林管理局名古屋分局「21世紀の森林づくり検討会」の報告書 new
「21世紀の国有林の森林づくりへ向けて」と題するする報告書が6月の下旬に中部森林管理局名古屋分局により発表されました。小生が名古屋にいるとき始まった研究会ですが、百年間かかって造成された愛知県東三河地域の段戸国有林の造林地の今後の百年間の取り扱い例にとって検討した結果です。検討委員の内速水・山本ご両人は国の森林総研の評価委員という豪華メンバーによる、ボランティア団体との新しい関係の関係、FSCなどを念頭に置いた生態系の保全のための取り扱い、消費者のわかりやすい三河材認証マークなどなど、ユニークな提案となっています。名古屋分局のホームページで概要、本文のダウンロードができます。是非ごらんになってコメントをお寄せ下さい。
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