森林社会の変貌から考えるこれからの森林管理ー日本に蓄積された森林に関する歴史や文化を、世界に発信ー勉強部屋Zoomセミナー第5回報告(2026/3/20)

3月7日に勉強部屋Zoomセミナー本年度第5回を、ゲストに、太田猛彦さん(FSCジャパン代表・東大名誉教授))を迎え、「森林社会の変貌から考えるこれからの森林管理ー日本に蓄積された森林に関する歴史や文化を、世界に発信」というタイトルで開催ました。

太田さんの登壇は、3年前(SDGs時代の林業の使命ー次世代の森林の在り方は?-勉強会第4回ZOOMセミナー報告(2023/2/1))に引き続き2回目、前回に引き続き、歴史的な視野から現時点の日本の森林ガバナンスの現状を加えて、それを海外に向けて情報発信をしていく意義について、熱く語っていただきました。

(レクチャーの構成)

いただいたたくさんの情報量のレクチャーを、参加者の皆さんとしっかり共有するために、「「よくわかる目次」を頂きたいです。」と御願いして送っていただいたのが、右の図です

4章構成

丁寧に、前回のセミナーで話されたことも記載されていますので、・・・

そこは簡略にして4章を中心に紹介してまいりますが・・・でも繰り返し紹介はご本人の思いが深い内容でなので、簡略に、でもしっかり紹介します。

((第一章)社会が変われば森も変わる。そのリアクションへの新たな対応<森林管理と社会の関係(まとめ)>・森林管理の基本をおさらい(森林の多面的機能の発揮)<1990年以降の森林を取り巻く状況を踏まえた森林管理の原則>))

「森林飽和」の主たる内容なので、太田さんの主張の重要な部分ですが・・・前回レクと重複している部分が多いので、前回の記録も是非見てくださいね

要約すると、左の図のように、日本の森林は荒れていた森林(明治時代がピーク)が戦後豊富な森林になってきた(森林飽和)

丁度そのタイミングで、地球環境問題(大気中の二酸化炭素濃度の変化の観測結果(ハワイのマウナロア観測所に太田さんも訪問した!!右の図)が公表されるなか、大田さんは森林原理を整理する作業をしました。

そして、太田さんは薄っぺらな地球の環境容量の壁など議論をリードしてきました。

また、太田さんは其々の機能が反発せずに支え合うのにはどうしたらよいか?ということで、木材利用の推進と他の機能の両立を図る具体的な手立てである、森林認証制度などの発展にも努力されました。

その結果が左の図

太田さんが関わった右半分の、森林・林業基本法のベースとなった森林の8つの多面的機能。

森林環境に関わる機能(環境原理)と生活の向上に関わる機能(文化原理と、物質利用原理)と整理されています。

総轄の図です(太田教授の指針にそって(とは書いてありませんが))

以上第一章まとめーおよそ、前回レクのフォローです

ただ、第一章にこれらの日本のまとめがどのように海外に発信できるのか、ということに関する重要な情報が、新たに加わりました(右の図)

日本は温帯林ですが、世界で唯一の温帯多雨林です。

日本の森林そして、森林ガバナンスの経験から、世界に重要な発信ができる、根拠です。

(2章)21世紀中葉の森林管理に向けてー知っておくべきことーネイチャーポジティブ、カーボンニュートラルと森林<現代社会における森林管理の位置づけ>・森から視た現代文明

(3章) ・生物多様性保全の推進 ・TNFDとTCFD・・・企業の協力が不可欠

以上の二つの章の要約は、以下の第4章にまとめてあります

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(4章) ・21世紀中葉の森林管理に向けて・・・日本林業の立ち位置・森林・林業に関する日本からの発信=まとめの章

まとめ1=森林管理は新たな時代にはいった

21世紀中葉(2015年以降)の森林ガバナンスを取り巻く状況を見ると・・・・

、地球温暖化防止の重要性を皆が共有し(2020年日本のカーボンニュートラル宣言など)、生物多様性保全など問題点への視野が地球的視野に広がり(左の図)

企業の取組を評価するツール(TCFD,]TNFD)などが普及した(右の図)(海外に比べて日本で一番普及)、

日本は新しい時代に入ったのではないでしょうか?

(左の図前段=・人々の考えが、「国内の森林・林業(あるいは森林の管理)を考える立場」から、「地球上の森林の管理(森林環境や林業)」を考える立場に替わったのではないか。)

そして後段:しかし、森林の要求する機能(多面的機能=森林の生態系サービス)の内容は変わらない。すでに森林・林業基本法には織り込み済み。

ということで次のまとめ

まとめ2=日本の経験を世界に

前述したように、日本の森林は温帯林では珍しい豊かな森林(温帯多雨林)

全人類がその経験を欲しがっています(右の図)

左図のように、・・・・

日本の林業が、・森林の多面的機能の発揮を持続可能にする森林管理の下での
・木材生産はその恩恵を人類全体のために役立てることができる、ということをしっかり取り組むことが前提ですが

右がまとめの図=世界に発信すべき森林・林業関連事項

美しい森林・森林文化の発信をしましょう!!そして

世界に冠たる1)治山・砂防技術 2)森林・林業基本法の理念 3)森林管理技術(森林計画制度)? 4)豊富な森林資源の存在、を発信して、輸出拡大をしましょう

1)と2)は太田先生が担当しますので、3)は皆さんが担当してくださいね(ということは言われませんでしたが、その思いがこもっていました)

以上が太田さんのレクチャーのまとめです。

(たくさんの内容なので、少しまとめきれていないので、ごめんなさい。

興味のあるかたは、170枚のプレゼン資料を、こちらに置いておきますのでご覧ください

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((トークセッション))

藤原から2つのコメントと質問をしました

C&Qfrom藤原1:森林認証制度と国の役割

新しい森林原理、環境原理と物質利用原理が支え合う重要な指摘ですが、それを支えているのが、民間レベルの取組のFSC(とPEFC)など太田さんが深くかかわってきた森林認証ですね。素晴らしい役割を果たしており、わたくしも応援しています。ただ、この重要なシステムが民間にささえられているのは問題ではないですか?もちろん民間の役割は重要ですが、国や国際機関でしっかりとしたシステムづくりをするのが重要だと思います。環境原理と物質利用原理を支え合う持続可能な森林管理を担保するためのシステムをさらに進める、公的なシステムに関するご意見はありますか?欧州などの先例(EUDR??)も含めて・・・

Afrom太田さん1 :官民連携の道を歩んで

政府が森林管理の実施面で多面的機能の重要性を進めていけば、民間団体はいらないかもしれませんね。林野庁は産業官庁的側面を持っていますので、これまでは生物多様性などが、抜けていたですね。ただこれからは、林野庁も頑張るということになっているので、これからはいいのでないかという考え方もあるかもしれません(。究極には)

ただ、現時点では世界中の人々を納得されるには、グローバルに保証するFSCとPEFCなどのシステムが必須です。多分今後とも民と官の連携が必要です。

その意味で、森林経営計画に「生物多様性の指標に基づく努力」を書き込む制度(森林ポジティブ計画?)といったものも出てきているので、これはしっかりやってほしいです。また、それと認証制度との連携など検討できるのでないでしょうか?

C&Qfrom藤原2 :どこかの大統領の言説は?

太田さんの農耕社会と現代社会を比較して、今の太陽エネルギーに依存する農耕社会と、古太陽エネルギー(化石資源)に依存している現代社会、そして地球の容量の壁にぶつかり転換が必要!!という重要なメッセージがあります。そんな時に、トランプ米国大統領などが、掘ってほっと掘りまくれーなどといっています(最近は別のことに関心が移り(本当に短期的なことだけに関心がありますね)、。日本が米国の化石資源利用施設に投資するなとの動きもあります・・・どう思いますか?

Afrom太田さん2 戦争をしている暇はありません。

温暖化対策の緊急性を考えると「戦争なんかやっている暇はない」という意見もありますよね。私もその通りだと思います。・・・「トランプさんはどうしようもない!」などとと言っていいかどうかわかりませんが・・・、責任あるひとはしっかりしてもらわなければだめですね。

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トランプさん太田さんのいわれることを皆で勉強して下さいね

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皆さんからの質問

Q1 :木材はどんどん使っても全然問題ないですか?

Afrom大田さん:江戸時代に比べると、日本の森林も木材もありあまっています。勿論、持続可能な木材生産が前提ですが、国内でも海外でも、もっと日本材を使ってほしいし、検討中の新たな基本計画でも頑張ってほしいです。

Q2:生物多様性について関心が高まっているけれど、どうしたらいいかわからないのではないでしょうか?どうしたらよいのでしょう。

Afrom大田さん:是非FSCなど森林認証制度を利用していただきたいです。また、生物多様性保全を含む森林管理について森林環境税など税金を支払っているのだから、その面でも「しっかり使ってください」という主張を、是非してください。どんどん国民から注文を付けて下さい。

Q3:花粉症は、エリートツリーで解決しますか?

Afrom大田さん:エリートツリーを植えるには、木材を伐採しなければならないので、利用を拡大しなければなりません。エリートツリーもいいけど、その前提として木材を伐って使ってから、エリートツリーを植える必要がありますよ

Q4:人工林の再造林が4割ですがどう思いますか?

Afrom大田さん:欧州の人工林の施業は、伐採と後の手入れがセットになっていて、その後がないということは、欧州の人工林では考えられないですね。しっかり素材生産とその後の管理をセットでやってください。つまり再造林は必須とうことで。また、生物多様性などを考えると小面積皆伐が基本です。

その他に、森林とメタンガスの関係など、「太田さんなら普段から自分が疑問におもっていることを、聞いたら教えて下さるだろう」という方が、たくさんいましたが時間切れでもありました。

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最後に司会の浅野さんから、「締めの言葉として、若い人向けのメッセージを御願いします」

太田さん:若い人には、是非本日お話した、日本の森林の素晴らしさ、日本の木材利用の伝統や文化遺産などをしっかり学んで、世界の方々に広めていく仕事を是非お願いしたいです

藤原:次回のZOOMセミナーは検討中ですが、森林・林業基本計画の策定過程などを踏まえて、しっかりやってまいります。本日指摘も踏まえて、若者向けを視野に入れ、勉強部屋をさらに組み立てていきますので、若い方よろしく御願いします

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以上でした、太田さん、参加者の皆さんありがとうございました


((心に残ったlこと:トレーサビリティの官民連携))

太田さんがFSCジャパンの会長なので、あらためて、山の管理と消費者の関係性について、問題意識を再認識しました。

森林・林業基本計画の作成過程で、行政側としても、山づくりに関しては、勿論、再造林が遅れているとか、山づくりと生物多様性問題とか、当面の課題に挑んでいくのだと思いますが・・・その過程で、良い山から出てきた木材を消費者がしっかり解る制度を作ってほしいですね

クリーンウッド法など林野庁も消費者につなぐツールができつつあるので、しっかり課題を果たした森林からの木材が、クリーンウッドだったり、認証制度との連携だったりいろいろ知恵を絞ってほしいと思いました

地球環境の歴史の大きな視点から、今の森林の判断基準(原理)を考える、持続可能な森林経営のための勉強部屋というサイトの中心にすわる、素晴らしい時間でした。

太田さんのプレゼンファイルこちらに置いておきます

また、プロジェクト参加者でご希望の方や持続可能な森林フォーラムの個人会員、団体賛助会員にはアーカイブ動画が見られるようになっています。

フォーラムの個人会員や団体賛助会員の参加手続きはこちらからどうぞ

(森未来と連携)

前回から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。

zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。

持続可能な森林づくりをメインのコンセプトにした、ビジネルの可能性はどんな方向?興味深いですね。

今後ともよろしくお願いします

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