「持続可能な森林経営のための勉強部屋」ニュースレター300号25年の歴史から学ぶことー勉強部屋Zoomセミナー結果報告(2024/6/1)

6月8日に勉強部屋Zoomセミナー本年度第1回を開催しました。

ゲストを迎えてお話を聞いてディスカッションというスタイルがセミナーの基本ですが・・・今回はプレゼンテーションは主催者の藤原自身が、「『持続可能な森林経営のための勉強部屋』ニュースレター300号25年の歴史から学ぶこと」というタイトルで話をさせていただきました。

皆さんがご覧になっている「持続可能な森林経営のため勉強部屋」。全部で1100ページにわたる蓄積が7つのカテゴリーに分かれて記載しているんですが、どんな問題意識で書いてあるか?私自身もニュースレター300号という区切りが8月にくるので、少し内容をレビューしてみました。

(話の構成)

右がお話した項目ですが、①勉強部屋を作り始めたきっかけ、②勉強部屋の構成とヒストリー、➂この機会いやってみたいこと、の三つのお話です

((勉強部屋を作り始めたきっかけ))

その話の前段として、1999年に勉強部屋を作ろうと思ったとき、それまでいったい何をしていたのか、という自己紹介をしました。

1972年に林野庁に就職して、森林総研の理事をやめたのが2004年。1999年は国有林の名古屋分局にいました。霞が関を離れて少し時間ができたので・・・いろんなことを考えてみましたというのが作り始めた時期です。

(林野庁でやってきたこと)

左の表にあるように、国際協力の担当(77年からJICA出向、84年から海外林業協力班長)と木材貿易の担当(88年から貿易班長:WTOウルグアイラウンド<貿易と環境問題>など、日米貿易摩擦・貿易交渉テーマに日本の木材)

前者の国際協力ですが、日本が先進国になり、1974年に国際協力事業団(現国際協力機構JICA)が、青年海外協力隊の事務局や海外移住事業団などをベースのできたばかりのときに、2年ばかり出向してそれから少したって、林野庁のはじめて、海外協力のためのセクションができたときの担当班長をしたりました。

また、貿易については、第二次大戦後世界の貿易を拡大するために関税引き下げに色々なルールをつくってきた、GATTその後WTOという国際機関に対して、貿易自由化は環境問題解決の問題点だ!!メキシコのアメリカ向けの大量のマグと輸出をアメリカが漁獲過程で大量のイルカが死ぬか輸入禁止としたら、GATTはメキシコの提訴を受けて、貿易自由化の原則に反するから違法!という結論をだした「ツナドルフィンケース」これを切っ掛けにして環境問題がWTOの重要なテーマになってきたり・・・

少し長くなりましたが、「霞が関では、先進国になる日本にとってやっかいな海外の関係事案に関わる林野庁の事案を担当しました。が林野庁がかかえる、国内森林ガバナンスの重要な部分を経験するこはあまりなかったです」とまとめました。

そういう人が1999年、20世紀から21世紀のかわりめで、少し時間ができたので考えたのことは・・・

(きっかけ1 1999年新しい世紀とは?)

何十万年も安定していた、空気中の二酸化炭素の濃度が、20世紀になって初めて、急増しはじめた(左の図の上の左)。

「だれも、20世紀しか実体験していないので(いまは1999年)、これが普通と思っているけれど、実は20世紀の特に後半は異常な時間。」 我々の先祖も子孫もこんな時間を経験することはない。

下の図も20世紀だけ森林と市民の関係はおかしくなっていた。それを変えなければ。

循環社会に向かう人類にとって、木材や森林の果たすべき役割いは重要になるんでないかなーー

(きっかけ2:産官学民の情報共有の広場?そんなこと誰ができるの?中年の思い上がり)

そして、産学官民の情報共有の広場を目指す?勉強部屋の最初のとろこに書いてあるけどそんなことできるの?まあ中年の思い上がりなんですけど・・・・

産学官民の方々が、どんなことを考えているのかな?目先のことと、少し長い目でみた(夢の世界では?) そして、私は産学官民の方々とどんな繋がりがあるかな?と考えた(かんがえていたであろう)のが、右の図です

勉強部屋が始まった、1999年の世紀のかわりめで、皆が考え始めていたことでした。

皆さんが、こうしたら儲かりますよ、といった直ぐ得する情報はだめだけど(灰色の部分)、すこし長期的な夢のような話なら頑張れるかも(ピンク色の部分)

産学官民の情報交流の広場ができるかも

(勉強部屋を作りはじめたきっかけーまとめ)

ということで、20世紀の異常な時代でない21世紀の循環社会ってどんな時代なのか、少し考えてみたいな(A循環社会とは)

すこし海外事情もわかっているのでグローバルな視点が生かされるかもしれないな?(B)。

市民が森林に近づいている(C)

インターネット社会になってきた

グローバル(世界中)な情報がタダで入手できる!Øグローバル(世界中)に情報がタダで発信できる!!

((勉強部屋の構成とヒストリー))

1100ページが7つのカテゴリーで整理されて(整理しようとされて)います。カテゴリーごとにみてきますね。


 
7つのカテゴリーの中で、最初の二つは前段のA)循環社会とな何か、少し考えるページです
最後の3つはBグローバルな視点が生かされるかも、ということで、海外の情報を集めてきて、こんなことが日本の森林の将来に関係がでてきそうですよ。
そして森林のトレーサビリティを市民が参加で解決できるかのC
以上が私が収集してきた情報です
そして森林の関係者がネット上でインパクトをうける、林野庁の政策情報などを海外の視点からコメント(こんなパブコメしました)解説?した青い部分 
   まず循環社会へ125ページ

循環社会のページのはじめに
以下のようなことが書いてあります
このセクションでは、このサイト全体のバックボーンとなる、循環社会の理念概念と、その達成手段についての理論的な部分をカバーしています。

「持続可能な森林経営の実現のための政策手段について」を主題とする、このサイトの一番最初のセクションで循環社会を位置づけるのは、木材がライフサイクル全体にわたって省エネ、化石燃料代替型のエコマテリアルという事実によります。

木材のライフサイクル分析など具体的な事項はセクション4の場で行いますが、循環社会の基本議論は本セクションでカバーしています。

循環社会への重要なプロセスも
それぞれのサプカテゴリーとの関係が矢印で

   

「地球の森林」105ページ
ココもバックグラウンドデータのつもりでしたが・・・

森林の地球的なガバナンス(例えば森林条約)ができるとしたら、どんなことを考えなければならないかな?

国連などでの議論(UNFFとか)

国際社会の経済社会のガバナンスがリードしているフレームワークの中での森林は?

「森林条約」の技術的な合意事項の議論は

森林のリスクがどこまで来ているー条約の必要性

   

「国内の森林政策」309ページ
具体的な国内政策手段

基本的な森林政策の骨子と作成過程(持続可能な視点からのパブコメなど)

循環社会への国の基本政策の中での森林政策の位置づけは?

持続可能な木材利用促進に関する施策の情報

地方行政などローカルな力の重要性

   

「トレーサビリティ」89ページ
持続可能な木材の利用は森林ガバナンスにとって重要なテーマ(国がだめならこれしかない?!):二つをつなぐツールは市民が主導したトレーサビリティを基本とする森林認証制度

開設以来ズーとお応援してきました。

行政主体の条約と、森林認証の関係は?

   

「国際条約」150ページ
政府による国際的な秩序作り(ガバナンス)=条約

リオ+20などにも出席してフォローしてきました

地球環境フォーラム1992では条約はできなかったけどできるまでのプロセスを追求

環境関係の条約二つのフォローアップ

持続可能な開発目標(SDGs)できるまで、森林に役立つ目標になるようにフォローしてきました

   

「環境と貿易」154ページ
D
論などのテーマとなった、貿易と環境の関係性ー地球環境を守るため貿易の手段が役に立つのかな?

林業関係者は農業者と同じでGATTWTOが嫌い(貿易自由化が嫌い)でもWTOができる機会に環境問題が大きな課題に是非積極的な提案ができないかなーー

丸太の輸出禁止をそのままにしていいのかなーー

日本に本部を置くITTO途上国森林ガバナンスに効力を発揮できるか?

日本と世界の違法伐採問題の取組

日本の森林政策に関す巨大輸出国の思い

   

「エネルギーと指標」139ページ

地球温暖化に対応する課題で、温室効果ガスの発生源のエネルギー供給供給過程

おじいさんは山に柴刈りに・・・といった化石資源時代前のバイオマスエネルギー

脱炭素時代の主役になれるか?カーボンニュートラルなのか?

バイオマス供給過程の排出量を見える化したウッドマイルズ運動

建築の環境基準の中の木材や地域材の動き

   

以上が25年間で作成した1100ページの概要です

((この機会いやってみたいこと))

(「持続可能な森林経営のための勉強部屋にこんなページ在りますか?」リスト作成プログラム)

勉強部屋窓口ページ「勉強部屋にこんなページ在りますか?」リスト作成プログラムというのを進めたいと思います。

左の図がご紹介したプロジェクトの内容です

プロジェクトの趣旨:「持続可能な森林経営のための勉強部屋開設25周年にあたって、勉強部屋に掲載されている1100ページの内容の中で、それぞれの関係者にとって参考になりそうなページを紹介する窓口ページを作成する!!」

勉強部屋にこんなページ在りますか?たとえば、

ビジネス関係者:◦QA_B森林・林業・木材産業への投資したいけれどどんなことに注意??
マスコミ関係者:◦QA_M山づくりの取組が主要マスコミに登場した事例ある?
行政関係者:◦QA_G自治体のCNへの取組の中の森林の事例は?
学術関係者:◦QA_A建築と森林の関係に関する議論どうなっている?
森林に関心ある市民:市民◦QA_C朝ドラに関する森林をめぐる話題ある?
環境NGO関係者:◦QA_E森林の環境的側面をコントロールする場合のツールは?

ーーー

右の図が、今後のスケジュールについて紹介した内容です

まず「サンプルを皆さんに直ぐお送りします」(と8日に紹介しました)。

本日13日お送りしますねー。「勉強部屋にこんなページ在りますか?」リスト作成プログラムについて(プログラム案内ページ)をご覧さい。

プログラム案内ページには提案窓口があります。こんなサンプルを見ていただいて、「ページありますかーという」という提案・質問をどんどんお寄せください。

できれば、6月中に(ですが、いつでもオープンです)

そして分野別のアドバイザーのご意見などを伺いながら、整理して「こんなページが勉強部屋にありますよ」「こんなページ勉強部屋にはないけれど・・・???」

とりあえず、ニュースレター300号の8月には「持続可能な森林経営の勉強部屋案内ページ」を一次公開(?)します。

皆さんよろしくお願いします。

(やってみたいことその他は)

上記のプログラムの成果を紹介するとともに、「勉強部屋25年の歩み」のような全体像を説明する機会などイベントを実施する予定です

8月の勉強部屋ニュース300号配布時期がメド

あらたな連携形態つくり・次のスタート?へ

よろしくおねがいします

というのがプレゼンテーションでした。プレゼン内容はこちらにおいておきます

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((ご質問いただきました))

 ご質問ご意見  回答
 開設当時現役の国家公務員ですよね?そんな人がネット上にページを開設したんですが。問題ないんですか?その辺も含めて開設の意図などをもう一度  ご説明したように、私の個人的な経歴から海外の情報環境問題に関連した森林政策にからむ情報を知る立場にありましたが今後の政策に少し反家されるべきという思い(思い上がり)があり、まだ国内政策を海外に発信することが大切という思いで、ページを立ち上げました。その頃はブログやSNSといった道具はなかったので個人がネット上で情報発信するのは大変だったですが、国家公務員が対外的に情報発信をしてはいけない(もちろん内容によりますが)という障害はないです。
 99年ごろの世論は今よりも環境意識が高かったように思いますが、いかがですか?。  ご説明したように森林が環境問題として浮上した1980年代から90年にかけて、地球サミットで森林条約(国家主導のガバナンス)ができなかったので、環境団体などが主体となってFSCなど消費者とビジネス関係者などを巻き込んだ運動が広がった経緯があり、そのころグローバルな環境団体の役割は大きなものだったと思います(市民も「環境団体はすごい人たちだ」)。「今の市民はすこしさめためでみている」というのが環境関係者の認識何ですかね。
 25年前と今を比較して、出来たことできなかったことなどを紹介して下さい 持続可能な森林経営という方向性は、ビジネス関係者・消費者もふくめて、木材や紙製品の環境的適応とか製品の持続可能、さらには食品が森林にく影響を与えていない(ゼロでフォレステーション)証明などを指向するようになってきた大きな変化があると思います。ただ、持続可能な森林の法的拘束力のある国同士の約束はできていません(できる気配もない)。
「 持続可能な森林経営のための勉強部屋」という名前をどうして付けたのですか? 当時、サステイナビリティ(持続可能性)という言葉は環境関係者を中心に定着していました。森林の多面的機能のうち木材を供給する時に、他の機能をしっかり供給しながらというコンセプト「持続可能な森林経営」で考えていました。(その後、森林の持続可能性は、先住民との調整ができているとか、労働者の安全性などを含めた概念が拡張して定着しています)。また、「研究室」という名前にしようかと考えましたが、私自身が研究者でもないので、勉強部屋という名前に
森林を外資系の資本が買い占めているとか、太陽光で森林が破壊されているとかありますが、体系的に掌握されていますか?  森林の開発や他用途に他用途への転換に関しては林地開発許可制度(1ha以上の開発は都道府県知事認可)などの体制がある。(必要に応じた体制ができているか問題はあるだろう)
ビジネスとしての林業の可能性は? 次世代の人工林がどの程度になるか、林野庁の基本計画などで2/3が次世代と人工林というデータがあるが、現時点でビジネス化する人工林はすくないでしょう。(コストの削減、木材以外の売り上げなどが大切ということがデータをもとに司会者から補足)
 ウッドマイルズ関係事業のいきさつや経緯は フードマイルズという英国発の情報をもとに木材の輸送過程の環境負荷を見える化するウッドマイルズというコンセプトを打ち出しました。名古屋にいるころだったので岐阜県に新しくできた森林文化アカデミーのスタッフと一緒に運動を始めました。
 今後の展望は 持続可能な森林に関してはビジネスを含めて関心が広がっていることは間違えありません。このサイトの ビジネスとの連携が一つの課題です。今まで連携してきた「森未来」との連携をどのように深めていくのかなどお含めて、ビジネスとの連携をはかっていくのか、今後検討しますー

・・・・ありがとうございました。

以上で報告終わりです。資料はこちらにおいておきます

(森未来と連携)

昨年から素晴らしい内容を多くの方の共有できるように、持続可能な森づくり向けたビジネスネットワーク構築を進めている株式会社森未来さんと、共催企画としました。

zoomの設定とか、皆さんへの案内、アンケートの回収など、大変お世話になりました。今後ともよろしくお願いします

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