動き出した日本の森林認証! その可能性と展望をSGEC/PEFCジャパンの責任者が語る?-勉強会第5回ZOOMセミナー報告Q&A(2022/3/15)

2月25日勉強部屋Zoomセミナー本年度第5回の参加者からいただいた、質問について、当日答えられなかったものも含めて回答を梶谷さんからいただきました。

質問意見  回答コメント
昨今大きな話題のカーボンクレジット、カーボンオフセットの関連等の知見、実例がありますか? 現段階では、FM認証取得者でJクレジットに取り組んでいる方はFM認証取得者全体の14%。
しかし、J-クレジットの設定にあったっては、クレジット期間全体に亘って対象となる森林の適切な管理と適切な材の供給が求められる点を考慮すると、その実践を担保するとともに第3者の証明となる森林認証は、Jクレジットの土台として活用可能。したがって、認証を取得している森林は、Jクレジットに登録するポテンシャルを持っているでしょう。
ヘクタール単位の認証コストなどの情報をお聞かせください 認証にかかる経費としては、認証のための審査を行う審査料とSGEC/PEFCジャパンに支払う公示料があります。審査料につきましては、審査員の人件費、旅費がその多くの部分となります。従って認証の対象の状況によりますので、一概にいくらとは言えませんが、大雑把に言えば1件当たり60~70万円というところかと思います。公示料につきましては、FMではha当たり10,000円、最高で6万円となっており、COC認証につきましては、木質関連の売上高によりかわりますが、最低15,000円、最高で45万円となっています。
補助金に興味がありますが、どこかにまとまったページなどはありますか? 認証原材料の使用に対する補助金の例としては、勉強会資料のスライド61~65に整理していますのでご参照ください。まだほかにもあると思いますが、今後情報収集に努めたいと思います。
補助金に興味がありますが、どこかにまとまったページなどはあるのでしょうか。 森林認証の対象は、人工林にかぎってはいません。里山や保全林が入っていても認証は可能です。なお、認証の対象は、民有林の場合、森林法第5条に規定する森林計画区にかかる民有林となっています。
なぜ北海道の認証が多いのですか。 行政としての意向が反映した結果だと思います。更に最初の段階で民間でも積極的に取り組もうとした方がいたのも大きいと思います。
東京五輪で認証制度が定着しなかったとのこと。大阪万博で認証制度が認識され、さらに定着、拡大するためには何が必要になるでしょうか。また、そのためにどんな働きかけをしていくのでしょうか。 確かに東京五輪後認証材の取引も伸びないことから、認証取得に対する意欲は低下しましたが、最近では、SDGsもあり意識の高まりがみられます。そういう中の万博は認証発展のチャンスになるのではと考え、調達コードの策定段階から、万博協会と議論するとともに、関係する企業、団体に認証材利用について働きかけを行ってきているところです。
SGECとFSCはライバルでしょうか、すみ分ける存在なのでしょうか。 日本においては、現在の状況は紙の分野では、SGECの認証紙がないこともありFSCが圧倒なシェアを占めていますが、木材の分野では、逆に認証林が多いこともあり、SGECが優先しています。現在では結果的に紙はFSC、木はSGECといった棲み分けとなっていると思います。将来的にはライバルではなく、お互いに協力して認証林、認証製品の拡大に向かっていくべきと考えます。
スターバックスの紙カップなど紙製品でFSC認証のマークが目立ちますが、SGECはどのように取り組んでいくのでしょうか。 残念ながら現段階でSGECの認証紙はできていません。今後も関係製紙会社とも連携し、引き続き可能性を追求して参りたいと考えています。PEFC認証としては、コピー用紙では大きなシェアを占めているほか、紙パック製品においてPEFCロゴマークのついた製品の種類が増えてきています。
北海道は野鼠被害が多く、野鼠防除対策としてリン化亜鉛S1を1ha当り800gを補助事業にてヘリコプター散布しておりますが、今後、殺鼠剤のリン化亜鉛S1を制限する考えはSGECジャパンとしてありますか?。 新たな野ねずみ被害防止手段が見つからない限りは、例外的措置を継続していくことが必要と考えています。
 森林認証とグリーンボンドとは何かしら関係してきますか?又、生物多様性、30by30との関係や影響等はありますか?  グリーンボンド対象の例の中に森林認証も入っています。したがって森林認証を取得することにより、その事業に対するグリーンボンドを発行できる可能性は広がるものと考えます。
また30by30は、昨年12月に開催された生物多様性条約COP15で、決められた「2030年までに 、 陸域、 陸水域 並びに 沿岸 域及び 海域の少なくとも 30 %の生物多様性にとって重要な地域を効果的に保全管理する」という目標です。その地域を特定する作業が始まっています(30by30ロードマップの策定と30by30アライアンスの発足)が、今後の作業過程で、森林認証のシステムが積み上げてきた蓄積が利用されることは間違えないと思います
 プロジェクト認証のページにあった、プロジェクトマネージャー(プロジェクトCOC)ですが、マネージャーなりCOCを取得するための勉強会や講習、資格等はありますか?  プロジェクトのためのCOCであっても通常のCOCとかわりません。したがってプロジェクトマネージャーの特別の資格はありません。入荷した原材料についておかしなものが無いかを確認する能力、体制が求められると思います。

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