「持続可能な森林経営の勉強部屋」と題する小HPが1999年9月に開設してから10年たちました。
ニュースレター100号の時点で作成したニュースレターのフロントページのタイトルリストを120号まで拡張して作成し直しました(こちらからどうぞ)。
(「森林管理のグローバル化」がキーワード)
「地球環境の視点から、日本の森林と木材を考える」というのが小HPのキャッチコピーです。
「環境問題や林産物貿易がどんどんグローバル化する中で、森林政策のグローバル化が立ち後れていてそれがいろんな矛盾を生み出してきているのでないか。『森林管理のグローバル化(国際化)』が必要」というのがこの勉強部屋の一貫したテーマです。
世界中の森林の管理水準が日本の森林に影響があり(違法伐採問題)、日本の消費者の市場での行動が世界の森林管理水準に影響を及ぼすようになっている中で、森林管理に共通の枠組みが必要なのでないか。早くそうしないと、エコマテリアルである木材の本当のパワーが生かされないのでないか。といった問題意識です。
(森林条約はとは別に進行する「森林管理のグローバル化」)
森林管理の国際化のもっとも直截な手段が、92年の地球サミットでテーマとなって果たせなかった「森林条約」です。
勉強部屋トップ>国際協定>森林条約
現在のところ森林条約の課題は国連森林フォーラムで細々と議論されている状況で、影も形もありません。
勉強部屋トップ>地球の森林>「持続可能な森林経営」の国際的展開
しかし、「森林管理のグローバル化」という点で、国際政治、国内行政の両面ではこの10年間大変な進展がありました。
(地球規模の森林問題に対処する国際政治の取り組み)
なんといってもこの間の地球環境問題の新たな展開は、地球温暖化問題についての認識の高まりです(
環境問題・政策のグローバル化、このために作られた気候変動枠組み条約の中では、地球規模の森林の減少を食い止めるという課題に対しても森林吸収源の国際的管理というコンセプトで、法的な強制力のある枠組みが検討されつつあります。
勉強部屋トップ>国際協定>気候変動枠組み条約と森林管理
(地球規模の森林問題に対処する市場を通じた取り組み)
また、森林管理の質を消費者に伝え消費者の選択という力を森林管理の質の向上の動因とすべく開発された国際的な森林認証制度が、大きな発展をしてきました。
勉強部屋トップ>森林認証制度
同様に、違法伐採問題に対する取り組みも発展し、日本のグリーン購入法の取り組みがGoho-woodの取り組みとしてグローバルな関心を集めています。
勉強部屋トップ>環境と貿易>違法伐採問題と貿易
(国内の森林政策の進展の動因となる国際環境問題)
この数年我が国の林業政策の重要な柱の一つが京都議定書の目標達成を根拠にしたものになっています。また、カーボンオフセット排出源取引など地球規模の環境対策が木材業界も巻き込んだカーボンビジネスとして展開しつつあります。
勉強部屋トップ>国内政策>地球温暖化対策森林吸収源対策
小HPなどがウッドマイルズとして提唱してきた環境負荷についてのわかりやすい指標は、カーボンフットプリントなど「環境負荷の見える化」として国の政策に位置づけられてきました。
勉強部屋トップ>国内政策>緑の消費者のパワー
勉強部屋トップ>国内政策>地球温暖化対策森林吸収源対策
勉強部屋トップ>エネルギー>ウッドマイルズ
以上が、この10年間に発展してきた「森林管理の国際化」の進展状況です。
(思うように進展しなかった分野)
逆に思ったほど進展がなかった分野というのもあります。
(停滞する森林条約の議論)
その一つが先ほどふれた、森林条約についての議論です。
当事者で汗をかいている政策当事者にとっては不謹慎かもしませんが、UNFFの会合がどんな状況になっていくかは、80年代以降急に国際問題としてメジャーになった森林問題について、気候変動や、生物多様性といったサイドが仕掛けをしてきているのに対して国際的なフォレスターの主導権がどの程度の水準になっているかというメルクマールとしても興味深いです。
勉強部屋トップ>地球の森林>持続可能な森林経営の国際的展開<第7回国連森林フォーラム(UNFF7)の開催結果
NGOが森林条約反対のポジションになっていることも大きな要素です。
勉強部屋トップ>国際条約>森林条約>国際森林条約研究資料
(「次のラウンド」では進まない環境と貿易の議論)
95年に終結したGATTウルグアイラウンドが積み残しとして次のラウンドに先送りした、「環境問題の国際化に対応したあたらな貿易管理の仕組みづくり」は、ウルグアイラウンドに個人的に関与した小生としても、大変大きな関心事項で、勉強部屋の勉強要素の大きな事項でした。
勉強部屋トップ>環境と貿易>林産物貿易のページのはじめに
ただし、ドーハラウンドはほとんどこの問題での進展はありません。
勉強部屋トップ>環境と貿易>林産物貿易と新たなWTOラウンドを巡って
だだし、環境問題を解決するための貿易措置に必要なのは、WTOでの議論ではなしに別の場での議論だと思います。
例えば、違法伐採問題を防ぐための貿易措置は、この面での国際的な枠組みが不可欠です。やはりここでも森林条約の進展が関係あります。同じような課題である紛争地で生産したダイヤモンド原石の貿易を禁止する枠組みがキンバリー条約という形でこの問題に取り組んでいます。
勉強部屋トップ>環境と貿易>違法伐採問題>OECDの違法伐採対策円卓会議:違法伐採問題と紛争地ダイヤモンド
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