勉強部屋ニュースレター100号に当たって(2007/12/16)

 

百にちなみ百日草
1999年10月に第1号を配信して以来、毎月一回発行してきた勉強部屋ニュースレターがこの号で100号を迎えることとなりました。読者の皆様方には長年にわたるご愛読をありがとうございます。

ニュースレターは小生が個人的に作成している「持続可能な森林経営の勉強部屋」の改訂にあわせて情報提供をしているので、100号はこの勉強部屋の歴史となります。
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個人的には1999年8月に名古屋に転勤になり、若干の時間的な余裕ができたため、今まで気にかけていたことをじっくり考えてみようという気持ちで「『持続可能な森林経営』実現のための政策手段に関する考察」と題した大風呂敷な「研究構想」なるものを作ったのが、初期のHPの出発点になっています。

気恥ずかしいですが、初心を確認する意味で、あえてそのころのHPに掲載されていたもの一部を再掲します。
((研究テーマ))
「『持続可能な森林経営』実現のための政策手段に関する考察」

((研究の趣旨))
持続可能な森林経営の達成のためには、技術的な指標を定めそれに向かって行政・経営が資源を集中するとともに、そのコストを林産物価格に全面的な転嫁するなどの問題を解決する必要がある。最近の、持続可能な森林経営に関する基準指標、森林認証制度など森林林業分野における新たな展開を踏まえ、さらに近年の環境政策の経済的な手法についての学術的政策的な成果を踏まえ、再生産コストが転嫁できる林産物価格の形成を視野に入れた、環境税、環境ダンピング規制などの政策手段について、その実効性と可能性いついて検討する。   

((計画の骨子))
課題1 持続可能な森林経営の展開と費用負担のあり方  
課題2 持続可能な森林経営の基準と認証制度
課題3 林産物貿易と林産物価格
課題4 環境税と林産物価格

全文はこちら

当時のHPのキャッチコピーは「このページは持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する様々な研究の学際的交流をするために開設します。持続可能な森林経営・森林認証・モニタリング・森林条約・貿易的手法・貿易と環境・WTO・環境ダンピング・化石資源・環境税などに少しでもご関心のある方は、お立ち寄りください。」となっていました。

8年の間に、個人的な事情も変わったなかでの「できる範囲」の見極めもあり、HPはアカデミックな生産という側面から情報の流通といった形に変わって来ましたが、「海外における持続可能な森林についての議論の進展と、国内の森林政策のギャップ、行政と市民・学術研究者との情報共有の少なさ」などの問題意識はいまでも勉強部屋のニュースレターを支えているものです。

一覧表からわかるように、この間、@グリーン購入などでの森林認証材の認識の広がり、A気候変動枠組み条約の中で温室効果ガスの吸収源としての森林の位置づけの重要性の認識の深まりと、いった背景をもとに、@環境にこだわりをみせる市民、A排出権取引や自社の温室効果ガス排出のオフセットに関心を示すエネルギー関連企業、B環境政治経済学分野の研究者など、森林の管理に関心を持つ人は、確実に広がりを見せています。

小HPがそのような方々と森林関係者との連携のためのささやかな一石となれば幸いです。
これからも、よろしくご支援下さい。


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