以下の資料は、林野庁が作成し公開している「第31回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会の結果について」、関連資料をリンクさせて作成したものです。

平成13年11月6日
林    野   庁

第31回国際熱帯木材機関(ITTO)理事会の結果について

1.国際熱帯木材機関(ITTO)の第31回理事会は、平成13年10月29日(月)から11月3日(土)までの6日間、横浜において開催され、10件の決議を採択した。

2.理事会には、マレイシア、ブラジル、ガボン等の熱帯木材生産国及び日本、米国、EU等の消費国(計44カ国と1地域)の政府代表の他、オブザーバーとしてラオス等非加盟国3カ国、FAO等関係国際機関、木材業界団体、NGOが参加した。また、我が国からは、林野庁、外務省、環境省からなる政府代表団が出席した。

3.開会式では、ソブラルITTO事務局長、タカハシ理事会議長(ペルー)等がステートメントを行った。我が国からは北島外務省経済局長が、2002年〜2006年の新行動計画に関し、「目標2000」(注1)の達成に向けて着実にプロジェクト及び活動をしていくことが大切であるとともに違法伐採問題やマングローブ保全等の新しい取組を盛り込んでいく必要があること、並びに違法伐採問題に関しては先月のバリ島における「森林法の施行とガバナンスに関する東アジア閣僚会合」の宣言を歓迎し、この宣言に盛り込まれた行動の実施に向けてITTOも支援することが重要である旨発言した。

4.前2回の理事会で多く時間をかけ議論を行ってきた違法伐採対策に関する決議が行われた。
 決議「持続可能な木材生産・貿易と森林法施行について」では、@生産国・消費国の自主的な協力のもと熱帯木材製品の国際貿易に関する輸出入データについて調査・分析の実施、A森林法の施行・違法貿易等に対処していくための生産国の取組や人材育成等の支援、B違法な木材製品の貿易を阻止するため他の国際機関と協力し本問題の程度・性質等に関する地球規模での調査を将来検討等を行うこととした。

5.第29回理事会決議に基づき実施されたインドネシア技術調査団の報告ITTC(XXXXI)/10が行われ、@違法伐採、A林産業の再構築、B造林、C木材価値の再評価、D森林経営の地方分権化の5分野の現状・問題分析と問題解決のための方策について提言がなされた。 
 このうち違法伐採に関しては、森林法施行の弱体化、地方分権化過程の不適切な移行手続、持続的な資源量を超えた林産業の不規則な拡大、地域住民の権利と福祉への無関心等が背景にあると分析。解決方法としては伐採コンセッション・工業ライセンス等の現システムの改正、住民の権利と福祉の確保、木材需要の削減と適正化、木材認証の導入等の提言がなされた。
 これに対し、インドネシアより調査団への感謝を述べるとともに今後の取組への支援の要請があり、ITTOとしてミッションの報告を州・地方レベルでの各関係者へ広めるためワークショップの開催等を追加して支援することとした。

6.2002年〜2006年の新行動計画が「横浜行動計画」として決議された。ITTO加盟国の持続可能な森林経営の達成に向けた取組について森林政策面での進展が見られたものの現場レベルでの実践面に欠けるとの評価がなされたことを踏まえ、新行動計画では森林法施行の強化・人材育成・伐採負荷の削減等の施業面に重点を置いた行動が盛り込まれた。今後5年間この新行動計画に従って「目標2000」の達成に向けた取組が行われる。

7.持続可能な森林経営のためのITTO基準・指標を使用して各国の達成度合いを客観的に評価するための監査制度設立のガイドラインを生産加盟国が適切に使用することを推奨することが決議された。
 監査制度の適用について一部の国から必要性について疑問視された意見があったものの、我が国より、各国における持続可能な森林経営のための取組にはそれぞれの段階があり、@持続可能な森林経営の基準・指標の適用、A監査制度の適用、B森林認証の適用と段階に応じた取組が必要であり、既に基準・指標を適用した国においては内部又は外部監査の制度が必要であることを主張した。
 これに対し、生産国からは将来における基準・指標の改正の際にも監査制度が必要であるとの合意が得られ、ITTOとして各国の要請によりワークショップ等により加盟国を支援することとした。

8.マングローブの保全に関する行動計画が提案されたが、内容の改正要望があり、広く関係者より再度意見を聴取のうえ検討することが決議された。
 具体的には、マングローブの保全・復旧造林・持続的管理に関する情報の交換、及び、他の機関の取組とITTOの役割の明確化等の分析を行うためのワークショップを開催するとともに、今次理事会での意見を受けて「マングローブ行動計画」を改訂するための専門家委員会を開くこととした。

9.ITTOの「目標2000」の達成に向けた取組として、事務局長よりブラジル、カメルーン、コンゴー共和国、中央アフリカの要請に応じ診断ミッションを派遣し次期理事会で報告を行う予定であること、カメルーン、コンゴー共和国、ガボン、パプアニューギニアでは「目標2000委員会」(注2)の設置に対する支援を行うこと、更に国レベルでの基準・指標の訓練(注3)やITTOの基準・指標報告様式(注4)による各国からの報告のための支援を行っていくことが報告された。

10.合計39件のプロジェクト・事前プロジェクト、その他活動への承認・拠出が行われ、我が国は「インドネシアにおける持続的林産業のための戦略プロジェクト」、ITTOが実施する「監査制度設立のガイドライン」の普及事業等への拠出を表明した。

11. 次回以降の理事会の予定は以下の通り。
(1) 第32回 2002年 5月13日〜 5月18日 バリ、インドネシア
(2) 第33回 2002年11月 4日〜11月 9日 横浜