地域のために豊かなエネルギ−資源の積極的な活用を
〜 国有林野のエネルギ−資源利用検討会報告書(要旨) 〜
 
 
  活用が期待される国有林野の再生可能なエネルギ−資源
 
  温暖化等地球規模の環境問題が深刻化し、風力や水力、森林バイオマスなどの地
 球に優しい、再生可能なエネルギ−資源の利用に対する期待が高まっています。わが
 国の森林の3割を占める国有林野に賦存する、豊かな資源の活用が期待されます。
 
 
  海岸部や半島部等で活用が期待される風力エネルギ−資源
 
  海岸部や半島部の国有林野のうち、適地については、自然環境に配慮した上で、
 風車を集中的に立地させ、事業的に風力エネルギ−資源を活用していくことが期待さ
 れます。また、国有林野に所在する森林レクや森林環境学習の関連施設においても、
 環境学習に活用しながら、資源を活用していくことが期待されます。
 
 
  農山村地域のきめ細かな需要に応え得る小水力エネルギ−資源
 
  発電事業の規制緩和や発電装置の改良によって、既設の堰堤や小渓流を利用した
 小規模な水力発電を容易に行うことができるようになっています。このため、既存の権利
 関係と調整を図りながら、農業用途や民生用途、公共用途等農山村地域の需要にきめ
 細かく対応して、資源を活用していくことが期待されます。
 
 
  出番を待つ、豊かな森林バイオマス・エネルギ−資源
 
  森林内に発生する端材や太枝、間伐材はもとより、工事に伴う支障木など再生可能
 でクリ−ンなエネルギ−資源である森林バイオマスの活用が期待されます。そのために
 は、地域のクリーンな資源を余すところなく活用していく観点で、それぞれの地域の条
 件に応じて、ペレットによる熱供給や熱と電気の併給(コジェネレ−ション)、炭等のもの
 づくりも含めた新たな資源活用システムを整備することが期待されます。
 
 
  期待される国有林野の市町村と連携した取組み
 
  公共施設などの地域の安定したエネルギ−需要と供給を結びつけ、地域の資源を
 有効に活用しながら、地域の活性化を進めていく上で、市町村のコーディネート機能の
 発揮が重要です。そうした市町村の取組に積極的に連携を図りながら、国有林野から
 用地や資源を提供することにより、「魅力ある農山村づくり」に貢献していくことが期待さ
 れます。
 
 
  (資料1)「国有林野のエネルギー資源利用検討会」実施要領
  (資料2)検討会委員名簿
  (資料3)検討会の経過
  (資料4)資源活用社会のイメ−ジ
 
 
 
資料1
「国有林野のエネルギ−資源利用検討会」実施要領
 
 
1 目的
わが国の脊梁山地に広がり,国土の約2割を占める国有林野には,風力はもとより,小水力や森林バイオマス等のエネルギ−資源が豊富に賦存している。
一方,近年,再生可能でクリ−ンなエネルギ−に対する期待が高まっているほか,各地で風力等を利用した発電に対する取り組みが進められており,今後,地球温暖化の防止のみならず,地域振興等の観点で,これらのエネルギ−資源の活用が期待されている。
このため,国有林野部において,学識経験者等の協力を得て,国有林野に賦存するエネルギ−資源について,地域で具体的にどのように利用していくのか,そのためにどのような工夫やシステム整備をしなくてはならないか,について検討する「国有林野のエネルギ−資源利用検討会」(以下「検討会」という。)を開催する。
 
 
2 検討事項
(1) 国有林野のエネルギ−資源の賦存状況について
(2) 国有林野のエネルギ−資源の利用手法について
(3) 国有林野のエネルギ−資源の利用のあり方について
 
 
3 検討会の運営
(1) 構成
 ア 検討会は,学識経験者,国有林野に賦存するエネルギーの利用に関心の  ある地方自治体,エネルギー利用に関する事業者等のうちから,林野庁長  官が依頼する者により構成する。
 イ 検討会には,委員のほか,委員に依頼された地方自治体に係る地元の森  林管理局の担当官を出席させる。
 ウ 委員の代理出席は,原則として認めない。ただし,林野庁長官の了解を  得た場合はこの限りでない。
(2) 座長
 ア 検討会に座長を置き,互選によりこれを定める。
 イ 座長は会議を整理する。
 ウ 座長は,必要に応じ座長代理を指名することができる。
(3) 庶務
   検討会の庶務は,林野庁国有林野部経営企画課において処理する。
(4) その他
   この要領に定めるもののほか,検討会の運営に関し必要な事項は,座長  が検討会に諮って別に定める。
 
資料2
「国有林野のエネルギー資源利用検討会」委員名簿
                       (五十音順・敬称略)
 
安齋 保(あんざい たもつ)    北海道上川郡下川町長
牛山 泉(うしやま いずみ)    足利工業大学工学部機械工学科教授
遠藤 保仁(えんどう やすひと)   葛巻林業椛纒\取締役社長
大谷 繁(おおたに しげる)    荏原製作所感ンジニアリング事業本部企画調査室副部長
片山 秀策(かたやま しゅうさく)   農林水産技術会議筑波事務所交流研究管理官
沓澤 敏(くつざわ さとし)    北海道水産林務部木材振興課課長補佐
熊崎 實(くまざき みのる)    筑波大学農林学系名誉教授(森林資源)
         (木質バイオマス利用研究会代表)
小池 浩一郎(こいけ こういちろう)  島根大学生物資源科学部助教授(森林経営)
城子 克夫(しろこ かつお)   千代田化工建設肝ァイン医薬品プロジェクト部テクニカルアドバイザー
          (東京都立科学技術大学大学院非常勤講師)
武内 一(たけうち はじめ)    高知県幡多郡大正町長
堤 敦司(つつみ あつし)    東京大学大学院工学系研究科助教授(化学システム工学)
堤 香津雄(つつみ かづお)   川崎重工竃セ石技術研究所粉体技術研究部参事
中島 浩一郎(なかじま こういちろう)  銘建工業椛纒\取締役専務
原田 寿郎(はらだ としろう)   森林総合研究所木材化工部主任研究官
肥後 賢輔(ひご けんすけ)   高知県森林局次長
久田 卓興(ひさだ たくおき)   森林総合研究所木材利用部加工技術科長
真下 正樹(ました まさき)   住友林業鰹務取締役
松井 忠博(まつい ただひろ)   居シ井工業代表取締役
光田 進(みつだ すすむ)    大阪ガス滑J発研究部技術推進室コーディネーター
 
*座長:熊崎 實 委員