シンポジウム「「都市の緑は誰のものか」 〜文理を越えた学問からの問い」ー市民による緑のガバナンスの可能性(2026/10/20)

9月23日、シンポジウム「都市の緑はだれのものか――文理を越えた学問からの問いかけ」というタイトルの、イベントがありました。

森林を含む緑の、環境的文化的側面から見た、ガバナンスに関する議論?都市住民の、緑への思い?

面白そうなので、明治大学駿河台キャンパスまで行ってきました。一部しか参加できませんでしたが。

ネット上に概要説明と、プレゼン資料が掲載された、報告ぺージがあったので(イベントレポート:シンポジウム「都市の緑はだれのものか――文理を越えた学問からの問いかけ」)これにそって概要紹介します

(開催趣旨とプログラム<左のチラシより>)

現在、再開発や道路建設に伴う都市の緑の伐採が、日本各地で問題となっています。都市の緑は、環境や生態系だけでなく、景観、都市計画、コモンズ、地方自治、環境権にも関わる公共的な問題です。

本シンポジウムでは、それぞれの現場に具体的にかかわってきた研究者が、社会的、環境倫理的、生態学、地方自治論の観点から、都市の緑をめぐる意思決定の在り方を問い直します。

第一報告鰺坂学(同志社大学社会学部名誉教授)(社会学)(プレゼン資料)

第2報告:太田和彦(南山大学総合政策学部准教授)(環境倫理学・食農倫理学)(プレゼン資料)

第3報告:高槻成紀(元麻布大学教授)(生態学・保全生態学)(概要説明資料1,2)

第4報告:吉永明弘(法政大学人間環境学部教授)(プレゼン資料)

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(第一報告鰺坂学(同志社大学社会学部名誉教授)ー現場(京都府立植物園))

京都府立植物園とその周辺の再整備計画をめぐる市民運動。

2020年に示された「北山エリア整備基本計画」には、京都府立大学への大規模アリーナの整備や、植物園周辺をイベントにも活用しやすい空間へ変えていく構想・・vs・・市民側が繰り返し掲げたのが、植物園は「生きた植物の博物館」であるという考え方

結果:大規模アリーナの整備地は、府立大学から向日市の向日町競輪場へと変更され、植物園についても当初計画から大きく見直される。
今回の市民運動の鍵について「学習・宣伝・署名」と表現。「最初から全員が同じ植物園像を共有していたわけではないことです。活動のなかで植物園について学び直すことを通じて、何を守ろうとしているのかは省みられ、具体化されていきました」

第2報告:太田和彦(南山大学総合政策学部准教授)(環境倫理学・食農倫理学)ー現場(名古屋市相生山)

名古屋市の相生山緑地を横切る都市計画道路・弥富相生山線を取り上げ、市民参加を政策過程全体から考え

2018年には「人と自然が共生する相生山の森」という基本計画素案も示しました。
 しかし2021年の学術検証懇談会を経て、市は道路整備と自然環境保全を両立させる”折衷案”の検討へ進みます。2023年の市民アンケートでは、未着手区間を「どうつなぐか」という3案について意見が求められ、「道路をつながず、必要な機能を別の方法で確保する」という以前の方向は比較対象に含まれていませんでした。

市民に意見を聞く場面だけでなく、その前に「行政が何を選択肢として示すのか」がすでに政策形成の重要な一部だという点です。過去の行政資料を時系列でたどれば、以前は存在したはずの選択肢が、後の検討の段階では姿を消していることがあります。市民参加においては、「どの案がよいか」だけでなく、「なぜ選択肢がこれらの案だけなのか」まで遡って検討する必要

第3報告:高槻成紀(元麻布大学教授)(生態学・保全生態学)ー現場(東京都玉川上水)玉川上水の緑とその保全 – 保全生態学からの視点

生態学の立場から東京都・玉川上水を取り上げました。印象的だったのは、野草に関心のある周辺の人々と一緒に実際に生き物を調べ、データとして明らかにしてきたこ

細長い玉川上水も、周辺の緑地と連続することで、生き物が移動し、休息するための「緑の回廊」として機能している

希少種だけを取り出して守ることの限界です。たとえばキンランなどの林床植物は、周囲にあるコナラやクヌギなどの一見ありふれた樹木が日陰をつくることで生育できます。希少な植物だけを移植しても、それを支えていた林全体の生態系まで移せるわけではない

第4報告:吉永明弘(法政大学人間環境学部教授)ー現場(流山市)

千葉県流山市・柏市で1970年代から80年代にかけて展開された、常磐自動車道をめぐる住民運動

住宅地のなかを高速道路が通る計画に対して、住民は14年間にわたって運動を続けました。その結果、道路そのものは建設されたものの、当初の計画から半地下構造やふたかけ構造などへ変更され、道路の上部には公園や緑地が整備されました。

市民参加には「すでに用意された選択肢から一つを選ぶ」以上の可能性があるということです。市民自身が学び、データを集め、議会を使い、専門知を持ち寄ることで、それまで存在しなかった選択肢を現実的な案としてつくり出すこと

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(主催者のまとめ)

生態学や社会学は、現場で様々なデータをとり、様々な人から聞き取りをすることで、いままで十分に注目されてこなかった事柄に目を向けることを促します

都市の緑には市民と研究者、行政職員、造園や生態系管理の専門家、コンサルタント、建設・不動産事業者など、多くの人が関わっています。それぞれがどのような制約のなかで判断し、どのような別の選択肢がつくることができるのかを議論できれば、また違った景色が見えてくるかもしれません。今回のシンポジウムは、そのための出発点として意義深いもの

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(勉強部屋のコメント)

森林(緑)の管理ガバナンスをどのように合理的に構築していくか?勿論行政が主導していやっていくことになるのでしょうが、その構築過程で、市民がどのようにかかわっていくのか、重要な課題ですね。その構築過程で、市民が勉強しながら新たな提案をして、それが実現した!!というすごい事例も紹介されました

都市にある緑と、都市から少しは離れたところにある森林とは、勿論市民の関心の高さも質も違うのでしょうが・・・・・・森林に関する市民の関心は、「森の街・木の街」づくり宣言や、ネット上の森が秘める多様なパワーなど、多様な媒体によってどんどん高まりつつあります

そのような中で、森林関係者にとっても今回のイベントは将来の森林ガバナンスの検討事項を盛り込んだ、大切なイベントだと思います。

関心の有る方はフルデータをこちらから→シンポジウム「都市の緑はだれのものか――文理を越えた学問からの問いかけ」

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