「総有」の概念を用いた「入会林野」の現代的変容が促進する人工林整備要素の分析ー現代総有研究会報告(2023/7/15) |
前にもご案内しましたが、昨年入会した現代総有研究会。本年3月に開催された、研究会でコメンテータという仕事をしました。 この度、その結果が掲載されている、現代総有誌5号が発刊となり、内容が報告されたので、概要報告をいたします。 ーーーー 実施時期(方法):2023年3月11日17時00分から19時20分(オンライン) タイトル:「総有」の概念を用いた「入会林野」の現代的変容が促進する人工林整備要素の分析 プログラム: ーーーーー (小堂朋美さん報告) 二つのタイトルで、概要以下のような報告がありました。 第一報告:総有の概念を用いた入会林野の現代的変容が促進する人工林整備要素の分析 第2報告:「土地の所有と利用」の分離が促進する都市の里山整備状況ー市民ボランティアによる都市の里山整備に効果的な社会的条件の抽出を目的としてー (藤原のコメント) 現代の森林ガバナンスの課題と、小堂報告の位置づけ 地球環境問題を視野に入れたうえで、森林の管理(ガバナンス)がどんな課題をかかえているか、というのが、左の図の左側です。 A地球の森林が陸地の3割をしめているが、森林減少が続いている。→どのように反転させる? B化石資源依存社会から循環社会に移行過程で、木材の供給に環境的な意味合いが付加され木材利用が拡大兆し→循環資源しての木材の管理システムが構築されるか? C解決のために市民参加が不可欠 図の右側にあるように、小堂報告は重要な視点を提示しています。 三つ質問をしました。 Q1 調査結果の広がりの可能性 A1 1966年の例の近代化法の制定時点では入交林野は200万haはあったんですね。これが近代化法によってかなり変容して、いますが、現在残っているところが数多くあります。だからまさに兵庫県が代表例で、そのすべてがモデル化の要素を含んでいるとは思いませんが、それを一部でも含んでいる可能性が高い為にその部分をうまく抽出して行くことが林業再生に役立つのではないかと考えます Q2 森林政策との関係(森林経営管理法による森林経営管理制度) A2、経営管理制度をみると、一部の共有者不明の場合、わかっている全員が経営管理権集積計画の作成に同意を前提としています。これ私は先ほどの入会の現代的変容のモデルを見ると、その中の特に大事な合意形成の容易性、これから判断すると、こういう全員の同意っていうのはあまり適用するべきではないというか、必要ないと思います。そもそも入会林野の現代的変容を見ると、そこまでこだわらなくてもいいのではないかという気がしています。 Q3 森林環境譲与税 A3 その自治体ごとに市民が地域の里山をどうしたいのか、どのように使いたいのかということについて、やはりもっと徹底した議論が必要です。例えば私が今回の関西の状況で言いました大阪府の見直しでは、なぜあんなに環境保全するために補助金制度まで作っているかというのは、あの地域の森林をどうしたいかっていうアンケートをかなり大掛かりに取り、そしていろいろな議論を重ねた結果、あの政策を打ち出しているわけです。そういう意味でも、地域ごと自治体ごとの使い道というのをちゃんと議論して行くべきではないかと思っています。 (山下詩子さんのコメント) 研究の着眼点と、問題意識ー「どこの地域でも取り上げることができる、事例の研究が勇気をくれるような取組でした」 路網整備を森林整備の指標にされたのは大切ですが、入交林と路網整備を検討すると、入交林でもそこまで進んでいない地域がたくさんあるので、さらに検討が必要かと思います。 また、ビジネスの中心となるセンター機能を持ったモデルの分析をされていますが、行政補助金がネックとなってうまくいっていない事例が多いです。また、「入交林野の現代的な変容」というコンセプトを提示されているが、変容が良い方向に機能しているばかりでありません。 など、全国の入交林野を研究されてきた専門家として、さらに、丁寧な分析が必要、といった指摘がありました。 以上です (おわりに) 正直にいうと、「総有」というコンセプトが、森林のガバナンスにとって、どの程度重要なっものであるか?ということが、この研究会の趣旨であったのだと思いますが、ファーストコメンテータの藤原がそのことをしっかりとらえきれずに(というか、前向きにいうと、その議論をするために必要な前段の)話をしました(という面があります)。 これをきっかけに、是非深めてまいります。(少し反省) 私のコメント部分だけは7割ほど内容をカバーしまたが、小堂さんの報告・山下さんのコメントは1割ほどしかカバーしていません。(ごめんなさい) 全部で18ページに及ぶ説明の力作です。 ご関心のある方は現代総有誌5号購入してお読みください。 右が現代総有誌5号の目次です ■巻頭言 junkan1-32 <souyu-iriai> |
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