シンポジウム「森林と健康の新時代」ー企業で働く若者の健康と森林の関係は?(2023/12/14)

9月30日久しぶりにリアルに開催された、林業経済研究所がかかわっている、シンポジウム「森林と健康の新時代ー脱コロナ禍の若者たちへー」に出席してみました。

このイベントの報告は、毎年林業経済研究所が発行している月刊誌林業経済3月号に詳しく報告されます。少したてばネット上にも掲載:過去のサンプル:プログラム(2020年国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド」助成シンポジウム:グローバル森林新時代─森林減少ゼロ・SDGs・循環型社会を目指して─

ということで、このタイミングでこのサイトでの報告はすこし慎重にしなければならないのですが、ほんの、さわりと、少し気になったことがあったので、その限りで報告しますね。

是非林業経済誌お待ちください。

ーーーーーフライ―に書いてあるイベントの趣旨

コロナ渦で苦しんだこの3年あまり、最も深刻な影響を受けたのは育ち盛りの世代です。
日常の関係を作り上げる大切な時期が、コロナ禍の中で過ぎてしまいました。
今注目を浴びている「森林サービス産業」の試みには、森林というメディアを通じて、若者たちの心や身体をいきききとよみがえらせるヒントが詰まっています。
本シンポジウムでは、森林サービス産業の第一線で実践的に活動する識者をお招きして、働く人特に若い世代の健康と森林との関係について議論し、森林と健康の新時代を切り開く方策を探ります。

ーーー報告者

第1報告木俣知大氏(きまたともひろ、株式会社さとゆめシニアコンサルタント)
「森林と健康をめぐる局面」
第2報告安藤伸樹氏(あんどうのぶき、全国健康保険協会理事長)
「働く若者の健康と森林の役割」
第3報告関本和彦氏(せきもとかずひこ、TDKラムダ株式会社取締役)
「新人育成と森林空間、地域社会の役割」
第4報告河西恒氏(かさいひさし、しなの町Woods-LifeCommunity事務局・信濃町森林メディカルトレーナー)
「地域戦略としての健康経営」

ーーーー

趣旨にあるように、森林サービス産業の第一線で実践的な活動をされているのは、1,3,4報告ですが、それでは第二報告は。

全体のバックグラウンドの説明で大切なのでイントロとしてご説明します。

(安藤報告の内容)

日本における社会保険制度ー将来のために知っておいてほしいこと
企業で働く従業員の健康問題
何故自然体験が必要なのか

(日本における社会保険制度ー将来のために知っておいてほしいこと)

左の2枚の図は、厚生労働省のサイトにも掲載されている、第152回社会保障審議会医療保険部会に提出された、医療費における保険給付率と患者負担率のバランス等の定期的な見える化について、に掲載されている2枚の図。

上の図は水平軸が、年齢階層で、縦軸上が、一人当たりの医療費、下が一人当たりの自己負担額+支払保険料

青い四角、20才から59才までが下が大きく(必要な医療費よりたくさん支払っている)。そして、赤い四角、60才を年を取ると、上が大きくなる。(当然)

それをどのように担保しているかというのが、下の図

4つの保険制度別財政概要。

左から協会けんぽ、組合健保、市町村健保、後期高齢者

医療保険制度間では、年齢構成による医療費の違いなどによる財政の負担を調整するために、負担を調整する仕組みとなっています(前期調整額紫色の調整)。また後期高齢者に係る給付費の一部は他の制度も支援金という形で負担しています。(後期支援金緑色の調整)

この二枚をみれば、高齢化社会になっていくと、この調整のシステムが機能しなくなる、その直前にわれわれがたっていることがよくわかります。

そして、「予防・健康づくりに要する費用にも着目すべきではないか」となっています。

そして、企業で働く従業員の健康課題、という節で、しめされたのが、右の図です。病気になって退職し、資格喪失したひとに保険が支払った支給額の原因別のようで、赤字にあるようにその、58%が精神行動障害なんだそうです。

医療保険の社会システムをまもるために、あるいは、企業の従業員の健康維持のシステムを守るために、森林浴が重要だ!!という重要なバックグランド情報です。

そして、最後の方にはエビデンス。

右の図にああるように、森林浴をする前紺色、森林浴の最中緑、5日後薄緑で、抑うつ感情や、怒りの感情などのネガティブ感情が低下する

ここまでが、安藤報告です。

最後のエビデンスは他の報告でたっぷり・・そのあとに、森林セラピーを機能というのが、どんな意味をもつのか、丁寧な説明が、3人のかたからありました。

その部分は追って報告します

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医療保険を巡る深刻な課題にどのように対応するのか?

関連して、若者向けの森林セラピーを巡る社会課題とその大切さ

これらを背景とした①森林セラピー機能を提供して、それにこたえる、新たなビジネス・森林サービス産業(森林セラピーの供給側)の可能性

さらに、 ②幅広いビジネス関係者が関心をもつ、自社内のビジネス研修・組織作り人づくりをステップアップさせる森林セラピーの可能性(森林セラピーの需要側)などなど

説得力のある、森林サービス産業、森林セラピーの重要性の関するシンポジウムでした。

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(少し気になったのは)

少し気になったのは、イベントのタイトルが、「森林の健康と新時代ー脱コロナ禍の若者たちへ」と若者たちに聞いてほしいというメッセージになっていることです。

もちろんエビデンスはそういうところに焦点を当てているんですが、是非、若者を雇用している、ビジネスのマネジメントの責任者に、聞いてほしい内容です。

今回のイベントの結果などが、広くビジネス関係者(需要側にも)に訴求されることを期待しますし、すこしお手伝いできればと思います

junkan1-35<CapAnthfore>


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