ウェブセミナー「ポストコロナの社会と森林」(2021/2/15)

昨年の11月27日開催された標記イベントの情報が、森林総研のサイトに掲載されいます

少し時間がたってしまいましたが、「後日、森林総研チャンネルにて当日収録された動画を公開します」とされていたのが、ユーチューブ上に画像が公開されたようなので、ご紹介します。

@COVID-19など人獣共通感染症の伝播の速度と森林減少・陸域の生物多様性の減少の関係、Aポストコロナの安定的な生活基盤形成のための一極集中社会の対極にある社会の必要な市民生活と森林多様な機能との関係・・・

研究分野の細分化、縦割りで業績を競う、プロの研究者集団が、自分たちの仕事と市民生活とどのような関係にあるのか、認知する機会でもあったようです。

市民の前に突然現れた新型コロナ禍に立ち向かうために、分野をこえて連携が始まり、こちらの方にも新たな世界がはじまっていることが、よく分かります。

趣旨説明ポストコロナの社会と森林】13時00分
国立研究開発法人森林研究・整備機構 理事長 浅野(中静)透 
 200人が登録。
感染症の7割が人獣共通。その伝播の様式は森林の存在と関係性があり、ポストコロナ社会と森林は重要な課題。
森林の減少が発生に関わり、都市の集中化が感染を広げているので森林が安定社会を支える役割で大切
森林総研の長中期戦略検討中だが大切な課題
 
 【セッション1:ポストコロナにかかわる社会の変化】13時10分
1)「SDGsとポストコロナの社会」慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 蟹江憲史 教授
  SDGsの採択から5年が経過し、目標達成期限の2030年までの期間のうち3分の1が経過した。一方、今年は新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行により、想像を超える大きな変化に直面している。このような変化のモメンタムをサスティナブルな方向に導くことで、持続可能な社会の実現を加速することが期待できる。本講演ではSDGsの視点からポストコロナの社会における変化や課題を示し、必要なアクションを模索する。  後半に「木材建築とSDGs」などというトピックスあります
 【ミニ討論】13時25分 Q: SDGsに森林総研が取り組むとき、個別の目標だけでなく、総合的に取り組むことが大切というが、どんな点に注意したらよいか?
Q: 森林と人との共生。長期スパンで考えていかないとだめなのでは?
Q: 日本の取組地方の小さな自治体が成果をあげている。「つないでいくと」いうことがポイントだとすると、大きな都市や、国だとどうしていったらどうなのか?
 
 【セッション2:森林、林業にかかわる社会の変化】13時35分
2)「社会の変化と森林とのかかわり」京都大学こころの未来研究センター 広井良典 教授
 新型コロナのパンデミックが勃発した際、私自身が驚いたことがある。それは、そこで示された状況や課題が、私たちの研究グループが2017年に公表した、日本社会の未来に関するAIを活用したシミュレーションの内容と重なるものだったからである。その要点は、日本社会の持続可能性にとって「都市集中型」か「地方分散型」かという分岐がもっとも本質的であるという点であり、人口減少社会との関連や「ローカライゼーションと伝統文化(鎮守の森)」といった視点を含め、ポストコロナ社会のあり方と森林について考えてみたい。 あと10年ぐらいで一極集中に対比した新たな社会づくりが必要となる。地方分散型・多極集中
 3)「森林・林業への影響とこれからの課題」東京農工大学 土屋俊幸 名誉教授   林政審議会では、国の森林・林業基本計画の5年に一度の変更について、現在、鋭意検討中です。検討に当たっては、コロナ禍が森林の管理、林業生産、様々な森林の利用にどのような影響を与え、それらにどのように対応して行くかについての検討も課題の一つです。今回の報告では、審議会で示されたコロナ禍の森林・林業への影響について概略を説明し、また事前に公募及び依頼して提出いただいた国民および森林・林業関連団体・企業からのご意見を紹介すると共に、より広く、また将来に向けた森林・林業政策の課題について私見を述べたいと思います。  コロナ禍が森林政策にどう影響をあたえているか?林業経済研究所のシンポの話も話題に
 【セッション3:新興人獣共通感染症リスクを減らす】14時05分
4)「森林減少、劣化と新興人獣共通感染症」森林総合研究所生物多様性研究拠点長 岡部貴美子
コロナ禍によって、野生動物由来の人獣共通感染症のリスクが多くの人に認識されるようになった。人類と感染症の戦いには長い歴史があるが、その中でもHIV感染症、エボラ出血熱などに代表される新興人獣共通感染症は、生物多様性が豊かな森林の減少や分断化による森林劣化が主要因の一つと考えられている。本講演では関連する研究成果を紹介し、感染症リスクの低減のためにどのような森林研究へのアプローチが必要かを議論する。 熱帯雨林の減少と感染リスクが高まること関係あるが、結構難しい関係
 5)「新興・再興人獣共通感染症と関連する国際的なフレームワーク、森林とのかかわり」森林総合研究所国際連携・気候変動研究拠点主任研究員 森田香菜子 新興・再興人獣共通感染症の問題に対処する代表的なアプローチである「ワンヘルス・アプローチ(人間、動物、環境の衛生に関わる様々なステークホルダーが連携して取り組むアプローチ)」を中心とした既存の人獣共通感染症に関わる国際的なフレームワーク、そしてCOVID-19発生後の人獣共通感染症抑制に関わる議論について発表する。その中で、人獣共通感染症の発生原因として大きく影響している森林を含む生態系の管理の問題との関わりについても紹介する。  ノーマルからニューノーマルに国際的な3条約共同発表など
 【総合討論】14時35分 Q: SDGsの取組とワンヘルスに向けた取組。二つ連携ががうまくいっていない、という話があったがどうなのか?
Q: 生態学研究と医学研究のふたつの連携は?
Q: 研究の縦割りが問題を拡大している、それを何とかしないと対処できないのでないか?
Q: 分散と集中の関係はどうなのでしょう?
Q: 日本人は熱しやすく冷めやすい。コロナも確りやらないとだめなんでないでしょうか?
Q: 生物多様性問題を主流化するということはかだが、うまくいっているか?
 

2人の社会政策の専門家と、森林関係の専門家の対話。全部見ても2時間ほどですのでどうぞ。

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