「次期生物多様性国家戦略」案の意見募集ー(続きー意見提出しました)(2023/3/15)

次期生物多様性国家戦略案の意見募集について持続可能な森林経営の観点から、検討していますーという報告をしていましたが、〆切最終日2月28日に、意見を提出しましたので、内容報告をします。

その前に、地域説明会が全国で開催されたので、2月14日さいたま会場で開催されたものにネット上から参加しました。丁寧な内容説明がありましたが、配布された資料がこちらに置いてあります

(提出意見の概要)

提出した意見は、下表に掲載していますが、概要は以下の3点です

(森林生態系の現状とリスクの認識を正確に)

森林生態系の質の現状認識に関して、「森林生態系では天然林から人工林への転換、二次林の放置による種構成・種多様性の変化など、生物の生息・生育環境としての質の変化が生じている。」(p71第2部30by30行動目標の背景)など、としていますが、「人工林の高齢化による生態系サービス木材の供給の可能性が増加」(ポジティブな面)していること「次世代森林づくりのリスク可能性」があることなどを、記述してください。特に伐採跡地の再造林問題は重要です。

(森林ガバナンスの蓄積がしっかり生かされるように)

生物多様性の国家戦略を推進するのに民間の関係者の積極的な連携が必要とされていますが、国土の何割という広範な(あまり人が居住していない)地域の管理をしていく場合、森林認証システムなど持続可能な森林分野の蓄積が貢献できると思います。一部に記述はありますが森林認証制度と30by30との関係など、積極的に記述した方がよいです。

同様な観点から、森林行政分野の森林計画制度や保安林制度の蓄積も大切だと思います。保安林制度の位置づけが重要だと思いますが、保安林に関する記述が少ないのが気になりました。加筆してください。

(「持続可能な」木材の利用拡大)

木材の利用拡大についての前向きな記述はありますが、伐採された跡地の適切な管理を念頭に、「持続可能な木材利用拡大」という記述にしした方がよいです。

以上です

以下が提出した意見

「次期生物多様性国家戦略」案の意見(持続可能な森林経営のための勉強部屋藤原敬)

 No  意見内容  理由  カテゴリ
 1 6-7 6ページから始まるA移行の前段は以下の構成になっているが1)気候変動、2)食料生産、3)新興感染症、4)海洋環境、森林と土地という項目を付加すべき 森林と土地については、1)気候変動の中に記述されているが、バランスが悪くわかりにくい 森林の位置づけ
2 14 20- 生態系サービスの中の供給サービスの課題の中で、木材に関する記述で課題は、供給後の次世代の森林づくりであることを記述すべき 全体的な生態系サービスの中の「食料や木材の供給サービスその多くが過去と比較して低下している(だだし、木材の自給率は回復している)」と、なにが本質的に問題なのかわかりづらい。木材の供給サービスに関しては伐採跡地が放置され、供給サービス上も問題が拡大する懸念があることを、課題として記述すべき 再造林
27 3 現在の切迫した地球環境の悪化傾向を 2030 年までに反転させるには、限られた資金や時間、人材(の次に以下を加筆する「、林業のような産業の資産を)といったリソースを最大限活用していく必要がある。 自然資本である森林に長年取り組み市場と対峙してきた持続可能な林業の蓄積を是非生かすべき 林業の蓄積
28 26-36 前段で国立・国定公園について記載し、そのあとに「上記以外の保護地区についても」と記載しているが、保護地区となにか(定義)、どんなシステムが念頭にあるのか(国有林の保護林、保安林の一部?など例示する)などが明確にわかるように、記述すべき 拡張を念頭においた記述になっているので、いったい何を念頭において、記述しているのかわかりづらい 保安林
国有林
 5 29 5 地域主体での取組を一層促進するために、個人・団体等が参加しやすい経済的措置も活用したインセンティブの創出について検討し、関連する施策を推進する。(の後に以下を挿入)森林認証制度のように、森林管理の分野で蓄積してきたツールを活用する 広範なガバナンスが必要な、生物多様性の管理には森林分野の持続可能性に関して、蓄積してきたガバナンスツールの蓄積を可能な限り生かすべき 森林認証
30 4 「そのため、森林の現況や自然条件等に応じ」の次に「供給サービスである木材供給機能に配慮しながら」を加筆する 負担軽減の取組を検討するときに、生態系サービスの提供について、念頭に置くべき 木材供給機能の位置づけ
39 10 (1) 事業者によるネイチャーポジティブ経営の取組の推進B 業界ごとの取組の促進について、冒頭の「国は、みどりの食料システム戦略を推進し、持続可能な食料システムの構築を通じて環境負荷の低減に取り組む。」の前に、「国はクリーンウッド法の施行、森林認証制度の普及などを通じて、持続可能な森林管理と、持続可能なあ木材の利用促進につとめる」を加筆する ネイチャービスネスと業界に関する記述のなかに、食品産業しか、個別産業についての記述がないのはおかしい 森林認証
クリーンウッド法
 8 42 6 基本戦略3ネイチャーポジティブ経済の実施の、行動目標に、「持続可能な森林管理のための森林認証制度の拡大をはかる」を加える 具体的な行動目標として、わかりやすい 森林認証
 9 44 14 「基本戦略4 生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動(一人一人の行動変容)」の(2) 消費活動等における行動の変容 @ 日常生活における生物多様性配慮物品やサービスの選択の、節の「、木材等の再生可能な資源を利用した製品や再生品の優先的な購入や」という記述の前に、「クリーンウッド法、森林認証制度を利用し」をいれる わかりやすいツールを明示するとわかりやすい 森林認証
クリーンウッド法
10  47 17 「基本戦略4 生活・消費活動における生物多様性の価値の認識と行動(一人一人の行動変容」)の行動目標に、持続可能な森林認証制度の拡大を入れる 森林分野が蓄積してきた「森林認証制度」をしっかり位置付けるべき 森林認証
11  49 1-2 基本戦略52 生物多様性に係る取組を支える基盤整備と国際連携の推進(2) 生物多様性保全のための法制上の措置等及び地域計画 @ 法制上、財政上又は税制上の措置について、「具体的には、本戦略に記載されている国主体の生物多様性保全の取組について、必要な法改正や予算確保等により実施していくとともに、民間資金の導入を促進する。」とあるが、保安林制度についても念頭においた記述がのぞましい 全体として森林法の保安林についての記述がないが、重要なシステムなので、本文書の中に位置づける必要がある 保安林
 
 
12  61 32 「農林水産業においては、生物多様性に配慮した持続的な生産活動を行っていくこと が求められる」以下のように加筆
「農林水産業においては、生物多様性に配慮し、生態系サービスの持続可能な提供の積極的拡大のために持続的な生産活動を行っていくこと が求められる」
積極的姿勢を示すべき 供給機能の位置づけ
13  67 17 「第1章 生態系の健全性の回復 行動目標1-1 陸域及び海域の 30%を保護地域及び OECM により保全するとともに、それら地域の管理の有効性を強化する」
「具体的施策1-1-4 既存保護地域の法令に基づく規制・管理等」の陸に関する保護区域の表のなかに、保安林を位置づけるべき
森林分野が蓄積してきた保安林のシステムはできる限り貢献すべき 保安林
14  70 12- 同上、具体的施策1-1-13 自然共生サイト認定の推進[重点]のなかに、森林認証制度について記載すべき。【環境省 農林水産省】とする 森林分野が構築してきた森林認証制度については、可能な限りしっかり位置付けるべき 森林認証
15  70 21- 同上、具体的施策1-1-14国の制度等に基づき管理されている地域のうち OECM 該当地域の整理[重点]の中に、国有林について記載すべき【環境省 農林水産省】とする 全体に保護林以外に国有林の貢献がわかりずらい 国有林
16  71 19- 「行動目標1-2 土地利用及び海域利用による生物多様性への負荷を軽減することで生態系の劣化を防ぐとともに、既に劣化した生態系の 30%の再生を進め、生態系 ネットワーク形成に資する施策を実施する」の現状認識に関して「生態系の質に関しては、森林生態系では天然林から人工林への転換、二次林の放置による種構成・種多様性の変化など、生物の生息・生育環境としての質の変化が生じている。」としているが、この記述の中に、人工林の高齢化による生態系サービス木材の供給の可能性が増加、次世代森林づくりのリスク可能性などについて記載すべき 森林生態系に関するリスクや可能性についての記述が十分でない 再造林
17  73 20 行動目標1-2-6 多様な森林づくりの推進」で「 森林資源の利用や自然撹乱の頻度に応じた間伐、広葉樹林化、長伐期化、針広混交林化、伐採後の確実な再造林を実施する。」とあるが、「 森林資源の利用や自然撹乱の頻度に応じた間伐、広葉樹林化、長伐期化、針広混交林化、伐採後の(以下加筆すべき)「森林の適切な線引きと」(以上)森林の確実な再造林を実施する。」 再造林問題をしっかり記述 再造林
18  98 「2-1-7 保安林の指定の計画的な推進」の記述の中に以下を加筆する。「魚つき保安林など、公益的機能の発揮が要請される森林については、保安林としての指 定を計画的に推進する」「保健保安林」「風致保安林」を加えるべき 保安林種類の一部が記載されているが、生物多様性の関連する種類はみな記載すべき 保安林
19  109 7- 「2-3-2 森林吸収源対策」で「人工林に おいて「伐って、使って、植える」循環利用の確立を図り、木材利用を拡大しつつ、」とあるが、「持続可能な木材利用を拡大しつつ」とすべき 「木材利用の拡大」では再造林問題などのリスクがある 持続可能な木材
 20 126 6- 3-4-11「 適切な生産活動を通じた木材の需要拡大への取組」は「 適切な生産活動を通じた持続可能な木材の需要拡大への取組」とすべき ネイチャーポジティブの中での木材利用拡大は持続可能性の追求が不可欠 持続可能な木材
21  139 10- 「4-3-5 森林・林業が果たす役割等の普及啓発の促進」における「企業・NPO等のネットワーク化、緑化行事の開催を通じた普及啓発活動の促進、森林環境教育や木育の推進、林業体験学習等の促進等を推進する。」という記述は冒頭に「森林認証システムなどによる」を加筆する 持続可能な森林や林業と消費者をつなぐツールとして森林認証制度が積み上げてきた蓄積は大切なもの 森林認証
 22 143 1- 「4-4-7 生物多様性の保全に取り組む生産者からの優先調達を支援する認証制度の活用」の「 森林認証材取得に向けた合意形成及び森林認証材の普及を図る。」に応じた目標を明示すべき 本文に水産物と林産物についての記述があるのに、目標には「国内における国際的に通用する水産エコラベルの生産段階認証の認証数」という水産物の目標しか記載されていないのはおかしい 森林認証
23  147 7-10 「5-1-5 森林資源のモニタリングの推進」における「木材生産のみならず、生物の多様性、地球温暖化防止、流域の水資源の保全等、国際的に合意された「基準・指標」に係るデータを統一した手法により収集・分析する森林資源のモニタリングを推進する。」という記述の冒頭は「木材生産のみならず」は「木材生産及び」とすべき 全体の文脈から「木材生産のみならず」と記載する趣旨が不明 形式
24  163 20- 「5-5-8 国際熱帯木材機関(ITTO)プロジェクト支援」では「国際熱帯木材機関(ITTO)加盟国における、合法で持続可能な熱帯木材の貿易及び熱帯林の持続可能な経営を促進するための、違法伐採対策や森林経営能力開発プロジェクト等の実施を支援し、熱帯林をはじめとする森林の保全に貢献する。」としているが、目標には森林認証された森林面積が計上されている。本文のなかに、「森林認証制度を利用して」などの記述があるとおい 森林認証制度という重要なツールは、しっかり記述するとよい 森林認証

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