木密地域とはー100年前の関東大震災の教訓(2023/9/10) |
今年の9月1日の100年前に関東大震災がおこりました。 過去の経験から何を学ぶか?という観点で、「木密」、原点は江戸城下町 震災や戦災復興後、延焼リスクは何度もという記事が配信されました。(朝日新聞8月30日1面トップ記事かな?) 「約3500ヘクタールの市街地が焼失し、死者・行方不明者約10万5千人のうち、約9万2千人が火災で命を落とした。延焼の要因となったのが密集した木造住宅地。今も首都・東京が抱える深刻な課題の歴史をたどる。」 (退治すべき「木密地域」とは) 記事のタイトルになっている「木密」の由来は「木密地域=木造住宅密集地域」 延焼の要因となった、退治すべきわるもの、「木密地域」。このなかに、「木造住宅」ということばが、入っていることが気になり、少し勉強してみました。木造住宅は悪者なのか? ネット上に、もくみつの くらしを みんなで つながってよくする「不燃化特区制度と特定整備路線の取組を応援・推進するためのコミュニティサイト」というすごいこったサイトがあったので、情報はしっかり収集ーーー (木密地域とは) そのサイトによると、木密地域とは「木造住宅密集地域のことで、山手線外周部を中心に広範に分布してい」るそうです。(左の図) (行政上の定義は) 東京都では、「木造住宅密集地域整備プログラム(平成9年)」で指定された木造住宅密集地域のうち、土地利用現況調査(平成18・19年)により算出した不燃領域率※ 60%未満の地域(約16,000ha)」なんだそうです。 当初?1997年に設定された木密地域の定義が変更されて、現在の定義では、「不燃領域率という指数が60%にならない地域」が木密地域のようですネ。 その面積が、都内では16,000ha(東京ドーム3,400個分かな)だそうで、上の図に示されたのは、その定義によるものでしょう。 (不燃領域率って?) さて、木密地域を定義する、指数不燃領域率。わかりやすいサイト)があったので、孫引きします そのサイトによると、不燃領域率とは「市街地の“燃えにくさ”を表す指標で、建築物の不燃化や道路、公園などの空地の状況から算出します。70%を超えると市街地の延焼による焼失率はほぼゼロとなる」そうです 不燃領域率は「空地率と、空地じゃないところで不燃化しているところの率を足し合わせたもの」 そして、空地率とは空地率*1 =空地面積/地区面積 そこで、空地面積とは@10m2以上の幅がある、面積が100u以上の水面、鉄道敷、公園、運動場、学校、一団の施設等の面積とA幅員6m以上の道路面積をたしたもの(以上東京都方式、) さて、空地でないところの不燃化率とは 不燃化率*2=耐火造等建物建築面積/全建築面積 以上です (木密地域の定義に、木造住宅の要素は?) 以上のとおり、木造住宅密集地域を定義する、不燃領域率という指数のなかに、住宅構造に関わる要素は、耐火建築か準耐火建築かどうか、ですが、 そして、木造でも耐火建築、準耐火建築を建てることができます(この辺は木造住宅産業協会のサイト参照ください) つまり木密地域を規定する定義の中に、木造住宅という要素は全くないんですね。 木造学校は燃えやすいからRCの学校に!といった時代の名残が、「木密地域」という言葉に残っているっていうことですね 来るべき大地震に対応する都市の延焼対策は大切な社会的課題であると思いますが、「木造住宅密集地域対策」でなく、「非不燃化建築密集地域対策」という名前にしたらよいんでないでしょうか。 国交省は密集市街地ということばを使っているようです。「地震時等に著しく危険な密集市街地」について 東京都都市整備局は東京都木造住宅密集地域整備事業というぺージを作っています。 同事業は「木造(→非不燃化)住宅が密集し特に老朽住宅の立地割合が高く、かつ道路・公園などの公共施設等の整備が遅れている地域において、老朽建築物等の建替を促進するとともに、道路・公園などの公共施設を整備し、防災性向上と居住環境の整備を総合的に行うことを目的とし、事業を行う区市町村に対して都が支援する制度です。」としています。 左の図東京の「木造住宅密集地域対策」、具体的な支援施策の例ですが、この中に、木造ということばはどこにもありせん。 事業名を変更したらどうでしょうか? junkan1-20<mokumitu> |
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