東日本大震災3.11_10年ー福島に国際研究機関をつくるとしたら(2021/3/15)

原発事故から10年たって、福島の今後をどうする?そういうというテーマでNHKの日曜討論をみていたら、福島の浜通りに国際研究教育機関を創るんだそうです(ね)。

世界中の科学者が福島にきて、研究したいことって何かな?

復興庁に、福島浜通地域の国際研究拠点に関する有識者会議という組織が立ち上げられ、昨年の2月に作成された報告書が公表されています。

「国際教育研究拠点に関する最終とりまとめー福島浜通地域Jの復興・創生を目指してー」(以下「とりまとめ」といいます)読んでみました。

左の図が「とりまとめ」で研究テーマのまとめた図(16ページ)です。

森林に関係ありそうなのは、@新産業創出分野の「農林水産業」、A原発事故対応・環境回復分野の環境影響フォローですが・・・

(農林水産業分野)

農林水産業分野というセッションに記述してあるのは、農地の利用者が少なくなったんで、農地を集積して、無人ロボット、センシング技術を利用した「スマート農業」の可能性がひろがったと、いうことです。圃場の水管理とか、獣害対策などが森林分野がすこし、関係あるかもしれません。

同じロジックで、スマート林業の展開、是非研究テーマに入れて欲しいですね。

(環境回復分野)

環境回復研究として記載されているのは「汚染状況モニタリング、放射能環境動態、食物や農作物への影響、放射線生命影響調査、低線量放射線被ばく、内部被ばく、放射性微粒子による被ばくの長期影響・発がんリスク等です。、」

これらは、「地域のレジリエンス強化や住民生活基盤の回復の面からも、被災地のニーズが高く必須の分野であるとともに、原子力政策を推進してきた国の社会的責任として、国として長期間にわたり科学的知見をさらに集積することが必要である。そしてこの分野の研究は、この地域だからこそできる研究であるとともに、国際的にも貢献できるものである。」

その通りですね。

原発事故のあと、周囲の森林につもった廃棄物がどうなっていくのかな?

生活周りでは除染作業が行われて、放射線汚染物質が取り除かれていきますが、森林ではそれができないので、長期に汚染物質がのこり続けます。

(チェルノブイリの環境回復分野の研究)

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国際原子力機関IAEAが2006年に出版したチェルノブイリ事故をフォローした報告書を、日本学術会議が翻訳した「チェルノブイリ原発事故による 環境への影響とその修復: 20年の経験」がネット上に公開されています。

30年が半減期のセシウム137の動態は?森林生態系をめぐるカリウムの動態から推定できるんだそうです

260ページほどの報告書の16ページが森林に関するセッションにあてらています

 第1章要約
第2章序文
第3章 環境の放射能汚染
3.4. 森林環境 70
3.4.1. ヨーロッパの森林で放射性核種 70
3.4.2. 事故後初期の森林汚染動向 72
3.4.3. 森林における長期間の放射性セシウム挙動 ... 73
3.4.4. 林産食品への取り込み ... 76
3.4.5. 木材の汚染 ...... 79
3.4.6. 予想される将来の動向 .... 79
3.4.7. 森林と製品に関連する放射線被曝経路 .
第4章 環境への対策と修復 .
4.4. 森林での対策
4.4.1. 森林汚染への対策に関する研究 . 147
4.4.2. 放射性セシウムで汚染された森林への対策 147
4.4.2.1. 管理による対策 147
4.4.2.2. 技術による対策 . 149
4.4.3. 森林対策の例
第5章 人の被曝レベル .
第6章 動植物に及ぼす放射線影響
第7章 石棺シェルター【放射線防護壁】解体における環境と放射性廃棄物の管理

福島も関連データが積み重ねられているようです

森林総研の関連ページ森林と放射能
東京電力福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が各地に飛散し、森林も広く汚染されました。森林の樹木や生息する生物、木材、きのこ山菜等の特用林産物の汚染も心配されています。このサイトでは森林の汚染状況の研究結果を概説するとともに、森林への放射性セシウムの拡散や分布状況、森林内における放射性セシウムの動態、渓流水における動態、野生動植物、森林除染、木材、特用林産物に関する重要な情報源を収集しましたので、ご活用下さい。 

IAEAの報告書が2014年に出ているようです
The Fukushima Daiichi Accident(外部サイトへリンク)
東京電力福島第一発電所の事故に関する報告書が2015年に公表された(全5巻)。森林に関しては第4巻に記述があり、森林の汚染については4.1.2. Releases of radionuclides to the atmosphere and radioactivity in the terrestrial environment(大気中への放射性物質の放出と陸上における環境中の放射能)及びAnnex IIIに示されている。そのほか、動植物への影響については4.5. CONSEQUENCES FOR NON-HUMAN BIOTA(人以外の生物に及ぼす影響)に記述されている。

まだ、10年目ですから、先の長い取組になりそうですね。

国際拠点で、人類が20世紀に踏み出し(てしまっ)た原子力利用という巨大なプロジェクトの負の側面に真っ正面から向きあい、後世の人に対して責任を果たしていく仕事の大切な一部になるであろう、森林生態系と放射能について、の研究が、積み重ねられることを期待します。

また、【震災10年】汚した山を「元の姿にして返そう」 福島で「150年」先を見据えた新たな動きといった取組についての情報発信がされていくとよいですね。

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