地球温暖化対策としての建築分野での木材利用 の促進-日本学術会議の提言(2021/2/15)

日本学術会議が昨年6月19日に「地球温暖化対策としての建築分野での建築木材利用の促進」という提言を公表しました。(紹介が遅くなってごめんなさい)

日本の科学者の代表機関である(学術会議法第2条)日本学術会議(以下「会議」といいます)の提言とは、会議法(第3条)で定める「職務」として「科学に関する重要事項を審議し、その実現を図る」ため、会議の部会など(今回の場合は農学委員会林学分科会(メンバー))が「実現を望む意見等を発表すること」(会議規則第2条)なのだそうです。

日本の科学者の代表機関が木材利用の促進を提案!

左が目次。まだお読みになっていない方は一読下さい。

私は、気になった2つの点に焦点をあてて、紹介します。

(経済林の適地分析と森林のゾーンニングなど)

この提言の「はじめに」に「建築分野での木材利用の促進を加速度的に進めるべく以下の提言を行った」とか書いてあり、目次の3と4が主題なのですが、その前に2 「持続的に利用可能な木材資源量の把握に関する研究の必要性と課題」という章があます。

単に、利用量が増えればいいのでなく、「川上の林業と川下の木材業との持続的な連携、景気の短期的な動向に左右されない環境保全型の持続的な経営が可能」を求める必要がある」(2(2)の最後。)ので、「森林のゾーンニングと、その優先度にしたがった、森林基盤データ整備技術」が必要、という6ページにわたる、力のこもった文章です。

さすがに、学術会議。

希少性から公共性の当たりは制度的iにある程度整って、関連研究が必要だ、という提言がのっています。最後の経済性。現在の人工林のどれを経済林として、していくのか?

「「経済林の適地分析は、一般に、次の4つの観点から判定される。@[地位]土地の肥沃度(土地生産性)、A[地利]地の利(主に伐採・搬出の利便性)、B[森林の集約度]林業適地に森林がまとまって存在していること、C[森林資源の成熟度]森林資源が成熟しており、持続可能な林業経営ができること、である。」

地利は改善できるし、後は確り評価して、将来に向けたビジョンをもって国家事業としていかなけれならない、としています。

次に

(利用促進に関わる環境負荷評価の必要性と現状)

木材利用を推進する場合、消費者との連携の課題が大切だと思っていますが、そのへんが、政府の成長戦略にかけているところだと思っていました(2050カーボンニュートラルにむけたグリーン成長戦略と森林・木材政策ー市民と共に木材利用の推進)。

そんなところに、今回の学術会議の提言で、「利用促進に関わる環境負荷評価の必要性と現状」は大変重要な提言だと思います。

「木材サプライチェーンを俯瞰的に捉え効率的な環境負荷削減策を検討すること、また、定量的な分析に基づいて削減策を検討することが必要不可欠と考える。そこで活用が期待される評価手法の一つに、Life Cycle Assessment (LCA)15)も挙げられる。LCA を活用すれば、育林・伐採・加工・利用・廃棄などのプロセスごとに、温室効果ガス排出量や大気・水質の汚染物質排出量などの環境負荷を定量的に明らかにすることができる。」としています。

数少ない関連研究として以下が紹介されています。小林謙介、若林國久、藤津浩輝、谷口沙也佳:森林資源の利活用に関わる建築分野での環境負荷削減策に関する研究、日本建築学会環境系論文集、第84 号、pp.1019-1027、2019.1

木材の由来とその場所の再造林されているかどうかが、その木材のLCA評価に反映するといった、ことが書かれていますが、どんな仕組みなんでしょうか?おもしろそう

いずれにしても、ウッドマイルズフォーラムのやってきた仕事も、結構重要な蓄積となりそうですね。

junkan3-20<SCJmokuzai>

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