森の未来会議 vol.27 王子グループが取り組む、次世代の森林経営 ?「保持林業」という選択肢ー生物多様性と木材生産の両立を目指して?(2026/5/25)

勉強部屋をサポートしている森未来が運営している木材情報プラットフォームeTREE

4月24日にeTREEが企画している、森の未来会議 vol.27 王子グループが取り組む、次世代の森林経営 ?「保持林業」という選択肢ー生物多様性と木材生産の両立を目指して?というイベントがあったので、オンラインで出席してみました。

キーワードは「保持林業」Retention Forestry(Sustainable Forstryではない)

((保持林業とは))

 北海道、北海道立総合研究機構林業試験場、北海道大学農学部森林科学科、森林総合研究所北海道支所が参加して実施している、保持林業の実証実験プロジェクトというサイトにわかり易い保持林業の説明があるので、それに沿って説明します

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「保持林業」は「森林の公益的機能と木材生産を両立させる森林管理」の両立」の要請に応える技術として、近年、世界的に注目されています(右の図)。

「保持林業」とは、主伐時に一部の樹木を残して複雑な森林構造を維持する伐採により、皆伐では失われてしまう老齢木、大径木等を確保し、多様な生物の生息地としての機能等を維持する森林管理をいいます。(左図道有林の事例)

従来の択伐や漸伐といった一部の木を残す伐採方法とは、伐る木よりも残す木を優先的に選ぶ点と、保持した木は永続的に残す点で異なっています。これまで、保持林業は北米や北欧の温帯林や北方林を中心に行われており、日本を含むアジア地域では、ほとんど行われていませんでした。

また、人工林への適用例もほとんどありません。そこで2013年度から、北海道、北海道立総合研究機構林業試験場、北海道大学農学部森林科学科、森林総合研究所北海道支所が共同で、北海道有林をフィールドとして「保持林業の実証実験(略称:REFRESH)」を開始しました。

(保持林業の期待される効果実証実験の目標)

保持林業では、伐採面積をある程度大きくすることによって低コスト化をはかりながら、一部の木を残すことで、伐採による公益的機能の低下が抑えられるとともに、 伐採後の公益的機能の回復も速くなると予想されます(右図左側)。

さらに、長期的には、残した木の大径化、老齢化、枯死により、公益的機能が伐採以前より増加することも期待できます(右図右側)。

右の図はプレゼンターだった河村和洋氏作

今回の実験の目標は、人工林での木材生産と公益的機能の両立をめざす技術をつくることです。伐採による悪影響をやわらげる効果や長期での公益的機能の増加が、木を残すことによる木材生産効率の低下に見合うものかどうかを、科学的なデータにもとづいて議論したいと考えています(図5)。

・・・以上保持林業実証実験プロジェクトの概要からつまみ食いました

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((王子グループの保持林業))

さて、イベントの主人公である王子グループの説明を、説明された知人の方から、プレゼン資料いいだいたので、それに沿って続けます

(王子製紙グループの歴史)

1873年(1万円札の)渋沢栄一が設立(何で東京の王子に製紙会社を?原料が古着だったからです(勉強部屋ページでも昔説明

木を使うものには、木を植える義務がある」(1930年代藤原社長・言)という考えのもと、森林資源に根付いたネイチャーポジティブ経営を継続てきました・・・のだそうです

(実証事業のはじまり)

1)保持林業の木材生産と生物多様性に与える影響の可視化し、2.)保持林業材の価値化(ストーリー性のある材としての認知・活用、プレミアム付加)に向けた検討、するため、以下のような実証事業を実施します

1.調査地:北海道小樽乙社有林内の55 年生トドマツ人工林( 3.68ha(左図)

2.取り組み内容

・伐採前調査 ((実施済 )):標準地調査、保持木の選木、鳥類の音声調査、ドローンでの林分情報取得(右の図)

・伐採後調査((今夏以降予定) 鳥類の音声調査、ドローンでの林分情報取得

・価値化への取り組み 実施中 )):保持林業材活用 ノベルティ制作、什器としての利用等 、 PR ムービー製作(←今回のイベントですね)

TNFD レポート掲載(4戦略4-3日本国内の森林についてp23保持林業への取組)、イベント開催

((保持林業の拡大の可能性))

北海道で始まった森林管理の新たな段階への挑戦保持林業

北海道以外にも広がっていく可能性あるかな?登壇者に伺ったら以下のような事例があるようです

(林業の全工程で「チョウ」を守り増やす森づくりを開始)

青葉組株式会社と卓球用品総合メーカーのバタフライは連携し、「自然資本共創プログラムaoba」の一環として、"チョウの森づくり"プロジェクト「バタフライフォレスト」を栃木県足利市で始動しました

林業の全工程にチョウの保全、生息環境の再生を組み込んだ日本初※の取り組みです。青葉組が設立・運営している一般社団法人とちぎ百年の森をつくる会(以下、とち森会)の会員である伐採事業者Forest One社と連携し、伐採前にチョウの通り道を配慮した作業道設計から、保残木の選定、草地エリアとチョウの食草に配慮した植栽樹種の設定など、一貫してチョウの保全を念頭に置いた森づくりを行います。

日本初※、林業の全工程で「チョウ」を守り増やす森づくりを開始というわかり易いページをご覧ください

(四国での保持林業の実践〜清流の源で生態系を保全した森づくり

森林整備センターが公開している、季刊水源林第18号(2025/9)に特集:森林整備技術普及等に向けた取組、保持林業の実践〜清流の源で生態系を保全した森づくりという記事があります

(中国四国整備局管内 高知水源林整備事務所/森林総合研究所 四国支所)が企画

立つのがやっとの急傾斜こんなところで保持林業を実施しています。右の図写真右

森林整備センター高知県四万十市西土佐の保持林業実施箇所
クリ等の広葉樹の周囲が、生き物たちの餌場となるだけでなく、人間にとっても作業の合間に安らげる木陰(オアシス)となる。右の図写真左

西土佐における保持林業の取組事例
現場は、日本有数の清流四万十川の清らかな流れを支える水源林造成事業地です。昭和43 年に契約した24ha のスギ・ヒノキ人工林において、令和5(2023)年に6ha の更新伐を実施しました。
この時、10 本/ha の広葉樹(シロダモやクリ等)をあえて残し、これら保持木が生態系に及ぼす影響、生物多様性への寄与などについて見守っています。
現在、伐採跡地には、令和6 年度に植栽されたスギ・ヒノキの苗とともに、オトコエシやオカトラノオ等の多様な植物が生育し、アゲハチョウなどが飛来しています。令和6(2024)年2月にマーキングした保持木を含め、多くの広葉樹が順調に生長しており、新たな生態系発達の様子が伺えます。
保持された広葉樹は、今後50 年以上にわたり、植え付けられた針葉樹が次の伐期を迎えるまで、様々な生き物が暮らす豊かな森林環境を形成していくと期待されます。・・・

(原稿募集:来年の2月号森林学会誌の特集Retention Forestry in Practic)

Call for submissions for the JFR Special Issue "Retention Forestry in Practice"
We are extending the submission deadline for the JFR special issue "Retention Forestry in Practice," for which we are currently accepting submissions, as follows.
Please see here for an overview .
?Scheduled publication: JFR Vol. 32, No. 1 (February 2027)
? Manuscript submission deadline: May 31, 2026

森林学会が英文氏を出版しているようですが、来年2月に出版予定のFR Vol. 32むけの保持林業Retention Forestry in Practice" の事例原稿依頼記事

5月31日登録〆切!!(残念)

以上の通り保持林業が少しづつ動きはじめています

(今後の日本の森林ガバナンスの中での「保持林業」)

現時点での日本の林業の課題は、伐採跡地の再造林(次世代への持続可能な林業基盤維持=リスク管理)の確保ですが、さらに進んで、伐採過程の保持林業(林業基盤の中でのネイチャーポジティブ=チャンス利用)という一歩進んだ目標の提示ですね

森林・林業基本計画、森林認証制度などとの関係をフォローして参ります

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jyunkan10-28<OJIHojirin>

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