紛争ダイヤモンドと違法伐採木材(2014/9/21)
 
 緑の中の
法政大学多摩キャンパス

9月13-14日環境経済・政策学会の大会(seeps2014)が、法政大学の多摩キャンパスであり、10年ぶりで学会での報告をしました。

題して「持続可能な森林経営にとっての合法性証明木材の可能性ーグローバル環境レジームの中での日本の林野庁ガイドライン意味」(発表資料はこちらに)

8年間全木連でやってきた、違法伐採問題の日本型アプローチについて、(その作者の意図とは別に)、どんな意味のある取り組みなのか、長いこと感じていたことを、少し皆さんとの間で議論をしてみよう。

学術団体の大会報告の趣旨とあっているのかどうか若干疑問もありましたが、あえて挑戦してみました。

結果はファールフライだったかもしれませんが、打たなければならない球筋も自分なりに明らかになり、次の打席の準備ができた、と思います。。

とりあえず、発表用のデータをこちらにおいておきます

趣旨は以下の通りです

「持続可能な森林経営にとっての合法性証明木材の可能性
ーグローバル環境レジームの中での日本の林野庁ガイドライン意味
藤原敬 全木連・ウッドマイルズフォーラム

国際森林条約など、各国が自国の森林を管理する場合、自国のためだけでなく地球的な視点を持って管理する責任がある、という視点を共有し、各国がその執行を確保する法的拘束力のある仕組み(「国際森林管理レジーム」という)は必要であるが、その具体的議論はほとんど進んでいない

他方、先進国主導で違法伐採問題への取り組みが進んでおり、日本、欧州、米国などでそれぞれ法令に基づく施策が施行、評価されており、今後の国際森林管理レジームのツールとして重要。日本の林野庁ガイドラインを、環境森林管理マネジメントのツールという視点で評価する 。

サプライチェーン全体をビジネス管理の対象とするサプライチェーンマネジメントSCMの手法を環境管理に応用する環境SCMの手法は、違法伐採問題にとって重要な視点。FSCや日、欧、米の違法伐採対策はこの手法の展開例。

紛争ダイヤモンド紛争鉱物など自然資源の採取地点の社会問題をその製品のサプライチェーン管理を通じて対応する成功事例はあるが、木材のサプライチェーンは、他の自然資源製品のサプライチェーンに比べて、ローカルで極めてきめ細かいネットワークという特徴。

このため木材のサプライチェーン管理の特質は、@企業の社会的責任CSRを基にマネジメントの主体として有力なグローバル企業の存在が薄く、ASCMで決定的な役割を持つ国境における貿易管理がカバーしきれない側面があり、また、B市場で代替資材との競争にさらされ管理費用の負担力が弱い、というという点に注意が必要。

これらの点は、違法伐採問題が、同じ原料採取地点の社会問題を解決するスキームでも、紛争ダイヤモンドと決定的な違いを生じる理由となっているところ。

上記を「踏まえると、企業の社会的責任CSRを中小企業の業界団体のCSRに置き換えることを提起した林野庁ガイドライン方式は、違法伐採問題のような森林の管理に関して普遍的な意義があり、課題も多いが、グローバルな展開の可能性。 

合法性証明された木材が全体の供給量の中での占める位置など、具体的なデータを持っての説明不足など、いろいろな指摘をうけました。また、林野庁ガイドラインの課題は山ほど指摘することができます。

が、場所を広げて、日本型アプローチの冷静な評価の作業をしていきたいと思います。

gakkai(seeps2014f)


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