環境経済・政策学会2013年大会コレクション(2013/10/26)

9月21日22日に標記大会が神戸大学六甲台第一キャンパス他で開催されたので、久しぶりに出席してきました。

環境経済・政策学会はこのサイトの開設に関わる重要な学会で小生も会員でさん出席の有無にかかわらず、大会プログラムをもとにこのサイトの関係のありそうな報告を紹介してきました

本大会のプログラムとすべての報告要旨がこちらのサイトからダウンロードできます

今大会公開シンポジウムのテーマであったグリーンサプライチェーンGSCの管理については、温暖化ガス排出対策について実績を積み上げてきたCDP社が、新たに森林に由来した製品の取り扱いに関するフォレストフットプリントディスクロージャーというプルグラムを開始し、世界の750社(うち日本企業56社に質問書を送りその回答状況が初めて公開されようそしていることなど、大変興味深い話を聞くことができました。(CDPについては別ページで紹介します)

森林に関する報告は、私が討論者となった滋賀県立大学の高橋卓也さんの森林認証の普及過程かかる理論研究をはじめ、持続可能な森林管理と行政に関する理論研究や事例分析などが報告されその報告者と意見交換するのが本大会出席の目的の一つなのですが、森林分野の報告が少ないことが気になります。

ただし、持続可能な開発に関する目標や指標づくり、温暖化、生物多様性に関する管理手法に関する幅広い報告がされそれが将来の森林研究や行政、管理にどのような影響を与える可能性があるのか、興味深い大会です。

土曜日の朝から午前、日曜日の夕刻までの6つの時間帯に9の会場で並行して報告されれうので、すべてをカバーすることはできないのですが、プログラムは報告者とのメールに頼って関連報告内容を収集しました。

気になった報告を紹介します。

論題 発表者 要旨リンク 内容
森林マネジメント・ガバナンス
森林認証はどのように普及していくだろうか?ABM]によるシミュレーションの試み 高橋卓也(滋賀県立大学) 要旨
プレゼン資料
森林認証制度の普及の道筋を認証材価格、木材の生産量などの変数を介して分析
森林法制の「環境法化」に関する一考察 神山智美(九州国際大学) 要旨 産業政策の環境法化という、コンセプトで森林法の変化と、運用の実態を分析
温暖化対策としての森林保全制度 堀江哲也(長崎大学) 要旨 REDD+の事業コストを既存研究で推定。競争力はあるが、課題も大きい。
滋賀県における森林分断化とその決定要因 田中勝也(滋賀大学) 要旨
プレゼン資料
「森林の分断化状況」を定量分析する。
生物多様性の保全・評価
生物多様性条約愛知ターゲット3
生物多様性に影響を及ぼす補助金の考察、 漁業に関する補助金を例に
鈴木希理恵 要旨
プレゼン資料
負の奨励措置として 国際的に 長年 議論されている漁業補助金について、日本での現 状を考察
選択型実験による生物多様性の経済的価値評価:仙台市を事例として --- 阿部雅浩(東北大学) 要旨
プレゼン資料
仙台市の生物多様性に関するアンケート調査を仙台市民を対象に実施.仙台市の生物多様性の経済的価値を属性別に評価
持続可能な開発に関する指標の作成
   ポスト2015年開発アジェンダにおける持続可能な開発目標  蟹江 憲史(東京工業大学)  要旨  国際的な森林管理の将来像に影響を与える、SDGs が対象とすべき必須要素の検討
   持続可能性指標としての包括的資本データベース〜現状と拡張〜  佐藤真行(神戸大学)  要旨  持続可能性指標として、森林資源を含む包括的資本の変化を評価する手法についての、技術的提案
   資源利用の効率性・公平性〜プラネタリーバウンダリーの視点から〜  小嶋公史(地球環境戦略研究機関) 要旨  持続可能性指標提案の論点整理。途上国が発展しても環境負荷が許容内に収まるかを基準にした指標の提案
   資源生産性指標の国際比較:財・サービスの資源利用強度と需要構造の違いが各国の資源生産性指標に与える影響  橋本征二(立命館大学 要旨  資源生産性指標(GNP/天然資源消費量)の国別比較から、この指標の性格を分析
   国・国際機関等での持続的開発指標の構造分析  山下潤(九州大学)  要旨  過去に提案された23の指標を単語の頻度等で分析(text mining)。森林や生物多様性の位置づけがあきらかになる。
   地域指標の”Beyond GDP”−持続可能経済福祉指標(ISEW)による農村と都市の比較  林岳(農林水産政策研究所 要旨  都道府県単位時系列にGDPとISEWの対比、推移を分析。農村型県の幸福度の安定性を示唆
気候変動対策の枠組み
気候変動対策のためのいjき国際枠組みの骨子に関する調査研究ウェブアンケート調査の結果 亀山康子(国立環境研究組) 要旨
関連情報英文

新たな国際枠組みについて、世界各国の専門家を対象者として想定したウェブアンケート調査結果、REDD+への期待も

サプライチェーンマネジメント
サプライチェーンを通じた環境取り組みの連鎖SCOPE3排出量把握行動の決定要因の分析 井口衡(跡見学園女子大学 要旨 投資家からのGHG排出削減行動の要求が、サプライチェーンを通じた環境取り組みの連鎖を促進する可能性
         
貿易と環境
   環太平洋パートナーシップ(TPP)の経済交渉:現状と展望  原嶋洋平(拓殖大学)  要旨  立場を明確にしている、米国とNZの主張、APEC、WTOでの議論から協議の概要を整理。動植物の違法取引規制への合意は?
   貿易と環境分野の効果的なキャパシティ・ディベロップメントに向けて  小島道一(アジア経済研究所) 要旨
発表資料
 環境貿易措置執行の条件となる人材育成の現状。違法伐採問題への示唆
LCA 
  アジア地域を対象としたS-LCA用インベントリーデータベースの開発  松永典子(東京都市大学)  要旨  労働災害の発生率を商品ごとに分析する可能性

報告者にはいろいろご協力をいただきました。

今後とも追加情報を掲載します

gakkai<seeps2013>


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