(仮訳)
pdfファイル(外務省HP)
G8森林専門家違法伐採報告書
2008年5月
1.背景
1998年にG8外相が、違法伐採を特に重要な5つの課題の一つに位置付けた森林行動プログラムを立ち上げ、G8は違法伐採を国際的なアジェンダとして取り上げた。2002年、G8外相会合に最終報告書が提出されたことにより、G8森林行動プログラムは公式に終了を迎えた。最終報告書において、G8メンバーは、森林に関連する問題を、国内的にも国際的にもハイレベルの重要課題として維持すること、また、違法伐採や違法に伐採された木材及び関連製品の使用に対処することを約束した。
2005年、G8環境・開発大臣は、各国が最も効果的に貢献できるよう、以下の分野において幅のある様々な措置をとることを約束した(別添1参照)。:
− パートナー諸国との協力(森林法の執行及びガバナンスに対する支援、透明性の向上及び情報へのアクセスの改善、並びに、技術的知見及び手段の共有)
− 貿易関連措置(違法伐採木材の輸入及び市場取引の停止、貿易に関する二国間及び地域的な取決めを通じた措置、並びに、木材公共調達政策の促進)
− 公衆への働きかけ(民間部門との協力、及び、消費者への周知)
環境・開発大臣会合の結論は、グレンイーグルズ・サミットにおいてG8首脳により承認された。G8首脳は、大臣会合において支持された結論を推進することを約束した「グレンイーグルズ行動計画:気候変動、クリーン・エネルギー、持続可能な開発」を採択した(別添2参照)。
このような中、G8森林専門家は、違法伐採に関する報告書を2008年5月に日本で開催されるG8環境大臣会合に提出することに合意した。G8森林専門家は、本報告書において、過去10年間にわたってG8メンバーがとった幅のある様々な措置の実例を提示し、その成果を考察するとともに、G8メンバーが、公共部門及び民間部門の諸パートナーと連携しつつ、地方レベル、国家レベル及び国際的レベルにおいて今後取り組むべき課題を検討する。
2. これまでの取組とその成果
1998年以降、G8メンバーにより数多くの取組が行われてきており、網羅的なものではないが、以下にその実例を列挙する。これらの取組の多くが、木材生産国と消費国との共同の取組を含んでいることは特筆に値する。
過去10年間において、いくつかの分野で確かな進展が見られ、G8は、違法伐採及び関連取引への対処において重要なリーダーシップを発揮し得るということを示した。
(1)パートナー諸国との協力
G8メンバーは、二国間・多国間の枠組みを通じ、途上国における法執行の改善とガバナンスの向上、透明性の向上と森林及び森林セクターに関する情報へのアクセス改善、並びに木材・木材製品の合法性証明制度の発展を支援してきている。
G8によるこれらの取組により、明確かつ透明性のある土地保有権及び利用権の割当、持続可能な森林経営と土地利用、林業・林産業部門の企業による関連法の遵守、輸出の際の透明性のある税関手続、並びに木材輸出国における規律の強化において改善が見られてきている。
(a)森林法の執行及びガバナンスに対する支援/透明性の向上及び情報へのアクセスの改善
− G8メンバーは、世界銀行の協力により、2001年にインドネシア(東アジアFLEG)、2003年にカメルーン(アフリカFLEG)、そして、2005年にロシア(欧州・北アジアFLEG)で開催された森林法の執行とガバナンス(FLEG)に関する一連の閣僚会合に積極的に参加した。これらの会合は各々、各地域においてこの問題に対する政治的な関心を高めることに貢献した。
− 2002年、日本は、インドネシアとともに、民間部門及び市民社会を含む様々な利害関係者の間での積極的な検討と意見交換を通じて主にアジア・太平洋地域における持続可能な森林経営を促進することを目的としたアジア森林パートナーシップ(AFP)の立ち上げにイニシアティブを発揮した。2007年に開催されたAFP第7回会合においてパートナーは、AFPの第2フェーズ(2008年−2015年)において違法伐採及び関連取引の問題に引き続き焦点を当てること、特に森林に関連したガバナンスの向上につき検討を行っていくことを決定した。
− 米国は、持続可能な森林経営の実施と貧困の削減を目的とした中央アフリカ森林協議会(COMIFAC)の集中計画の実施を支援するため、南アフリカとともに、2002年のコンゴ川流域森林パートナーシップ(CBFP)の立ち上げにイニシアティブを発揮した。米国に続き、フランス及びドイツがCBFPのファシリテーターの役割を務めた。米国は、地域の森林利用者及び所有者に対する森林の監視・保全のための手段の提供、並びに、森林のガバナンスへのコミュニティの関与の向上により違法伐採に対処する取組を含め、この地域における持続可能な森林経営の促進に貢献した。2003年以降、フランスは、コンゴ川流域における持続可能な森林経営の促進に取り組んできている。この地域における森林のガバナンスの向上及び構造的状況の改善に貢献することは、ファシリテーターとしてのドイツの主要な課題の一つである。
− 2003年に採択された森林法の執行、ガバナンス及び貿易(FLEGT)に関するEU行動計画に基づき、欧州委員会は、フランス、ドイツ、オランダ及び英国の支持と支援を得つつ、木材生産国における様々な利害関係者の間での合法性の定義に関するコンセンサスの形成、証明制度の開発、森林セクターの透明性向上とガバナンスの強化、並びに、独立したモニタリングといった他の関連する活動を支援してきた。
− ドイツは、「森林と持続可能な開発」という総合的なコンセプトの下、明確なFLEGT戦略を策定した。この戦略の目的は、パートナー諸国が、合法性の実現及び持続可能な森林経営と開発の双方に効果的に資するFLEGTに関連した諸施策を策定するのを支援することである。ドイツ技術協力機構(GTZ)は、約20の国及び地域において、FLEGTに関連した諸施策を支援してきている。
− 米国は、違法伐採及び違法に伐採された木材・木材製品の輸出に対処する熱帯諸国を支援するために違法伐採対策大統領イニシアティブ(PIAIL)を2003年に立ち上げた。米国は、PIAILの枠組みの下、公共部門及び民間部門の諸パートナーと連携しつつ、幅広い活動を支援してきた。これには、リベリアの森林セクターに合法、透明かつ持続可能な基盤をもたらすことを支援するための2004年のリベリア森林イニシアティブ(LFI)の立ち上げが含まれる。LFIは、2006年のリベリア森林改革法の策定につながった。
− 英国は、2002年にインドネシアとの間で違法伐採に関する覚書(MoU)を締結した。
− 日本は、2003年にインドネシアとの間で違法伐採及び違法に伐採された木材・木材製品の貿易に対処するための協力に関する共同発表及び行動計画に署名した。
− 米国は、2006年にインドネシアとの間で違法伐採及び関連貿易への対処に関する覚書(MOU)を締結した。2007年、米国は、違法伐採及び関連貿易への対処、並びに透明性のある木材市場及び合法に調達された木材の利用促進に関する同様のMOUを中国との間で署名した。
− 違法伐採に関するカナダの取組の多くは、インフラストラクチャーの未整備、能力不足、ガバナンスにおける透明性の欠如といった違法伐採の根底に横たわる問題に対処することを目的としている。カナダは、政府開発援助を通じて多数の途上国における持続可能な森林経営を支援してきた。カナダは、専門的知見及びこれらのリソースにより、特に森林政策及び行政管理の分野における能力構築とガバナンスを支援している。森林経営の改善は、多くの場合に違法伐採及び関連取引の発生を抑止し、森林経営の透明性の確保に資するということが実証されている。
− G8諸国は、国際熱帯木材機関(ITTO)や世界銀行といった国際機関を通じて違法伐採問題に対処する多数のプロジェクト及び活動を実施することにより、木材生産国の取組を支援してきている。
(b)技術的知見及び手段の共有
− いくつかのG8メンバーは、木材・木材製品の合法性及び/又は持続可能性を証明する森林認証及び他のCoC認証制度(FSC、PEFC、PAFC、MTCC、LEI及びFLEGT証明制度等)を適用するための適切な条件の整備(法令の見直しと明確化、合法性の基準と指標、トレーサビリティ制度、統計の改善、独立した第三者による納税管理、地域社会との租税分与等)に向けた途上国の取組を支援してきた。
− 日本は、2003年に署名された共同発表及び行動計画に基づき、インドネシア及びNGOと共同で衛星画像及び二次元バーコードを利用した木材トレーサビリティ・システムを活用した森林モニタリング技術の開発のための協力を実施してきている。
− 日本は、陸域観測技術衛星(ALOS)「だいち」によるアマゾン地域の観測データから統合された画像を2007年よりブラジル政府に提供し、違法伐採によるものを含む森林減少地域の特定を支援してきた。
− 米国は、インドネシアとの覚書に基づき、NGO及び民間部門との協力を通じて、インドネシア森林モニタリング・評価システム(FOMAS)の実現及びリモートセンシングに基づく保護地域のための警戒システムの開発を支援した。
− 米国地質調査所は、2009年2月までにランドサット・データの全アーカイブに対する公衆の自由なアクセスを可能とする積極的な取組を開始した。このアーカイブは、35年間にわたる他に類を見ない地表観測記録であり、世界規模での森林管理のための有効な手段である。
− 2007年、ドイツは、取引対象となっている木材の原産地を立証する化学的・遺伝的手法(「木材フィンガープリント法」)に関する国際科学専門家会議をWWFと共同で開催した。この会議において、取引対象となっている最も重要な樹種について、合理的な期間内に具体的な履歴追跡システムを開発することが実現可能かつ達成可能であるとの結論が下され、フォローアップ措置が開始されている。
(2)貿易関連措置
野生生物の不法取引を含む違法伐採及び関連取引を規制すべくG8メンバーがとった措置には、自発的な二国間の貿易措置、貿易に関する二国間及び地域的な取決め、及び、木材公共調達政策が含まれる。
(a)違法伐採木材の輸入及び市場取引の停止
− 欧州委員会は、EU−FLEGT行動計画に基づき、パートナー諸国からEUへの木材・木材製品の輸入を合法性が証明されたものに限定すべく、東南アジア及びアフリカのいくつかの生産国との間で自主的二国間協定(VPA)に関する交渉を開始した。
− EUは、二国間協定が迂回される潜在的な可能性を認識し、FLEGT行動計画を強化すべく、欧州市場から違法木材を排除するための追加的な法令の制定を検討している。
− カナダは、国際的な税関当局が、野生生物の取引に関するデータを標準化してとりまとめ、把握するための分類学的区分システムの採択を提案し、推進してきた。
− G8諸国は、絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の締約国として、同条約の規定に従い、附属書に掲載されたオオバマホガニー、ラミン等の絶滅危惧樹種に対する貿易管理を強化した。
(b)貿易に関する二国間及び地域的な取決めを通じた措置
− 日本は、最近開始された木材輸出国との交渉において、FTA/EPAに関連したフォーラム(例:日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定の下で設置された森林問題に関するフォーラム)の下で違法伐採問題を取り扱うことについてイニシアティブを発揮した。
− 米国は、環境関連法令の効率的な執行に関する中心的義務及び透明性・税関協力・原産地規則に関する規定を含めることにより、自由貿易協定(FTA)を通じて違法伐採対策の取組を支援してきた。FTAは、環境問題に関する協力の強化のためのメカニズムを含むパラレルな協定によって補完されている。
(c)木材公共調達政策の促進
− 2000年以降、いくつかのG8諸国及びEU加盟国(ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、日本、オランダ、イギリス他)は、合法性及び/又は持続可能性が証明された木材・木材製品を優先して使用する政府調達制度を導入した。これらの制度の導入は、合法かつ/又は持続可能な木材・木材製品に対する選好性を示すことにより、民間部門の慣行の改善に貢献した。公的部門の規模やシェアは国によって異なるが(例:英国では15〜20%、日本では2〜3%)、公共調達政策は、合法性及び/又は持続可能性が証明された木材・木材製品のための市場を創出し、それに影響を及ぼした。
(3)公衆への働きかけ(民間部門との協力、及び、消費者への周知)
G8メンバーは、ビジネス慣行を改善し、この問題に関する公衆の意識啓発を図るべく、民間部門及び市民社会と協力を行ってきた。
− G8メンバーの支援により、多くの木材輸出国において、政府、民間部門、森林に依存する地域社会及びNGOを含む利害関係者の間での土地利用及び森林資源の利用に関連した国家法令に関する対話が開始され、活発化した。
− 日本は、政府調達制度の導入に際し、木材・木材製品の合法性及び持続可能性の証明方法を示したガイドラインを2006年に発行した。ガイドラインは、林産業部門の諸団体及び個別企業の自発的な取組を促進した。
− G8メンバーは、責任ある森林経営の促進、違法伐採の減少、及び、途上国における地域社会の福利向上のため、林産業部門の企業及びそのサプライヤーとの協力を世界規模で行ってきた。
− G8がとった措置は、この問題についての民間部門の慣行の改善、並びに、消費者及び地域住民の意識啓発に貢献した。これらの措置は、木材輸出国が、この問題に対処すべく自発的な取組を行うインセンティブとして作用した。このようにして、生産国・消費国双方において、自主的な行動規範及びトレーサビリティ・システムの採用と実施を含む、民間部門の様々な自主的取組が開始され、発展してきた。
(4)その他の取組
− G8メンバーは、国連森林フォーラム(UNFF)及び国連総会のメンバーとして、違法伐採及び木材の不法取引を含め、森林に関する国家レベルの措置及び国際協力のための2015年までの枠組を提供する「すべてのタイプの森林に関する法的拘束力を伴わない文書」の採択に参加した。
− カナダは、違法伐採問題への対処を含む「持続可能な森林経営に関する法的拘束力を伴う合意」の発展を模索するための一連の有志国会合を主催した。
− 2005年以降、カナダ及びロシア連邦は、技術協力に関する共同声明に基づき、ロシアにおける持続可能な森林経営の改善のために協力を行ってきた。この協力は、森林火災管理、森林炭素収支、認証、モデルフォレストに焦点を当てたものである。
− カナダは、自らが事務局をホストし、支援を行っている国際モデルフォレスト・ネットワークを通じ、環境に対する責務を果たしてきた。現在、このネットワークは、包括的なパートナーシップに基づき、持続可能な森林経営の革新的な慣行を発展させ、適用し、共有すべく、20を超える国々と世界の約50の景観サイトを結びつけている。
− 日本は、この課題に関する主要な木材生産国・消費国、国際機関、研究機関及び市民社会の間の対話を促進すべく、一連の違法伐採国際専門家会議を主催した。
− 米国は、豪州、インドネシア、フィリピン及びタイと共同で、国連犯罪防止刑事司法委員会により2007年に採択された「森林産品の違法国際取引防止・対策における国際協力」に関する決議を提案し、また、2008年に同委員会においてフォローアップ決議を支持した。これらの決議は、同委員会の優先事項の一つである環境保護における刑法の役割の増進と並んで、国際的に法執行コミュニティを森林・野生生物犯罪対策に従事させるための重要な手段である。
− 米国は、アフリカ、アジア及び南米のパートナー諸国との間で自然保護と債務の交換に関する13の革新的な協定を締結した。それは、法執行の改善を含む森林保全のための資金を10−25年間にわたって生み出すものとなる。
− 米国、カナダ及び英国は、豪州、チリ及びインドとともに、2007年に立ち上げられた野生生物不法取引対策連合を通じ、多くが違法伐採及び組織犯罪と関連を有している野生生物及びその部位の闇取引市場に対処するための活動を行ってきた。
3. 今後の課題と前進への途
G8諸国は、世界の森林の大部分を擁するとともに、木材・木材製品の国際取引及び二国間・多国間の森林に関連した支援において主要な割合を占めている。したがって、開発及び貿易のパートナーとして違法伐採に多大な影響を及ぼし得るG8諸国は、協調しつつ、あるいは、個別にこの問題に対処し続けなければならない。
G8森林専門家は、G8メンバーが、関心を有する国々、機関、公共部門及び民間部門の諸パートナーと密接に協力しつつ、各メンバーが最も効果的に貢献できるよう、引き続き幅のある様々な措置をとるべきであるとの見解で一致した。
G8森林専門家は、違法伐採及び関連取引への対処において前進を図るためのあり得べき方策を特定した。今日までに作成された予備的な選択肢のリストは以下のとおりである。:
− インセンティブの付与及び木材輸出国・輸入国間の連携を通じて、市場の透明性の向上、並びに、合法かつ持続可能な形で生産された木材・木材製品の取引を促進する。木材証明・ラベリング制度の適用を奨励する自発的な措置がこれに含まれ得る。
− 木材加工国を関与させつつ、木材輸出国・輸入国間の二国間・多国間の枠組み及び対話の拡大と発展を促進する。
− 民間部門に対し合法に伐採された木材を使用するよう影響を与えることができる場合には、合法木材を優先して使用する木材公共調達制度を奨励、採択、改善又は拡大し、その経験を他国と共有する。
− 自主的な行動規範の採択と実施、ビジネス慣行及び市場の透明性の改善といった取組を含め、木材輸出国・輸入国双方の民間部門による自主的なイニシアティブを奨励し、支援する。
− 全ての利害関係者の間での持続可能な森林経営に関する知識の向上及び普及を図るとともに、利害関係者との協議を通じて持続可能な森林経営計画の策定を奨励する。
− この問題に関する消費者及び地域住民の意識啓発を行うに際し、NGO及び消費者団体を含む市民社会との協力を促進する。
− アフリカ、欧州・北アジア及び東アジア地域における森林法の執行とガバナンス(FLEG)に関する閣僚プロセス通じて特定された活動を支持するとともに、違法伐採問題に対処するためのリソースを提供し得る国際熱帯木材機関(ITTO)及び他の関連する多国間フォーラムの関心を積極的に喚起する。
− G8メンバーが実施する木材生産国支援の取組の間の協調を促進する。− ワシントン条約上の義務を遵守するための取組を支援することを含め、違法伐採を停止するための木材生産国及び輸出国の能力構築を図るべく、林産業界、NGO、国際機関及びパートナー諸国との協力を継続する。
− 木材生産国による必要な方策の策定を支援することを通じて、森林に関連する情報への公衆のアクセスを改善し、森林セクターの透明性を向上する。違法伐採が環境、社会及び財政に与える影響について、木材生産国を含め公衆の意識の向上を図る。
− 木材の原産地及びその流通を追跡するためのシステムの開発及び利用をパートナー諸国とともに探求する。
− 森林における違法な活動を検知、報告、防止、又は訴追すべく、木材生産国との協力及びその能力構築を通じ、人工衛星から得られる情報の活用を図る。− 地球観測に関する現行の国家イニシアティブ及び国際的イニシアティブ、並びに森林モニタリング・評価プロセスを基礎として、森林、森林減少、森林劣化及び違法伐採を監視するためのグローバル・ネットワークの発展を探求する。
− 森林のガバナンスの大幅な改善が、森林減少及び森林の劣化に由来する排出の削減(REDD)を進める上で大きな貢献をなし得るとの認識の下、違法伐採対策に関する議論及びそこから得られた教訓をREDDに関する議論に適切に反映させる。関連する政策、特に農業政策及びバイオ燃料政策を含む土地利用政策との連携を強化する。
− 木材生産国及び消費国の税関・法執行当局の間の協力を強化するための方策を特定する。
− 違法伐採及び関連取引への対処、マネーロンダリング対策の推進、並びに林業・林産業部門の企業における会計の透明性向上といった取組に貢献する民間部門の投資に対し、適切なより良い配慮が払われるよう奨励するための可能な措置を検討する。
4. フォローアップ
G8森林専門家は、世界規模での森林減少及び森林の劣化が憂慮すべき速度で進行しており、違法伐採がその大きな要因であり続けていることを指摘した。しかしながら、少なからぬ前進もみられてきている。森林専門家は、違法伐採及び関連取引を食い止めるため、更なる課題に取り組み、前進のための途を追求することを約束する。さらに、森林専門家は、国際社会がこの問題に対処する上での政治的なモメンタムを引き続き必要としていると認識する。
G8森林専門家は、この問題の国家レベル、地域レベル、あるいは世界規模での解決策を見いだすべく努力を続ける中で、約束の達成状況のレビューを行うとともに、その教訓を共有し、他の関連する諸パートナーを関与させつつ、違法伐採及び関連取引に対処する協調的な措置の選択肢を引き続き探求するため、相互に緊密に連絡を取り合い、機会ある毎に、そして、2010年に会合を行う。