持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 039
2002年11月17

630部発行

このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。  藤原

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目次

フロントページ:2002年、世界中で認証された森林
炭素の吸収源とアグロフォレストリー?ICRAF理事長の来訪
持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)の結果概要(森林関係)


フロントページ:世界中で元気な森林認証

地球サミット以来10年、国際的な森林の管理について、森林条約、国際熱帯木材協定2000年目標などいろいろなスキームが提唱されてきましたが、あまり芳しい成果を上げることができなかった中で、森林認証だけが盛り上がりを見せています。森林認証の現状を話してほしいという依頼があり、認証された森林が世界中でどのくらいあるか、最新情報を整理してみました。

欧州経済委員会の木材委員会(UNECE Timber committee)が北米、旧ソ連などを含む同機関の対象国について2002年の夏時点時点で調査したレポート(pdf fileダウンロード)、とFSCのホームページの数値(exle fileダウンロード)を集計したのが次の表です。

この時点で、第三者により認証を受けた森林面積は1億1千3百万ヘクタールとなっており、我が国のすべての森林面積の一倍半、世界中の森林面積の約3%が認証を受けたということです。
FAOが2000年の森林資源で発表した数値が81百万haですから、2年ほどで約4割の増加したことになります。

ただし、肝心の熱帯林は認証森林全体の3%をしめるだけで、ほとんどが先進国であることが問題です。また、地域別にみると我がアジア地域が極端に少ない認証面積となっていることがわかります。認証の進み方がが消費市場の環境マインドに影響されるとすると、アジア地域での少なさは、日本や中国市場の緑の消費者のパワー不足を示唆しているといえるのではないでしょうか。
単位 千ha
  地域 全森林                
  認証森林  
    ウチ熱帯林ネッタイリン FSC PEFC等
  面積メンセキ 面積メンセキ 面積メンセキ 面積メンセキ
アフリカ 679866 993 0.15 176 17.7 993 100.0 0.0
アジア 547793 257 0.05 250 97.2 257 100.0 0.0
欧州 1039251 62132 5.98 0 0 19045 30.7 43087 69.3
中北米 549304 46213 8.52 1019 2.2 5501 11.9 41300 89.4
南米 885618 2463 0.28 2463 100 2463 100.0 0.0
オセアニア 197623 567 0.29 39 7 567 100.0 0.0
合計 3869455 113214 2.93 3947 3.5 28827 25.5 84387 74.5
出典
全森林面積:FAO "the Global Forest Resources Assessment 2000"
認証森林面積
FSC FSC本部ホームページ
http://www.fscoax.org/com_center/FSCCerts30april2002correctedversion.xls
2002/4現在
I PEFC,SF UNECE, FAO, ”Forest Certification Update for the UNECE Region summer 2002”
,CAS http://www.unece.org/trade/timber/docs/dp/dp-25-cert.pdf
2002年夏現在

炭素の吸収源とアグロフォレストリー?
ICRAF理事長の来訪

世界を対象に森林について専門的に研究している国際機関は2つあります。一つがケニヤに本部を置く国際アグロフォレストリーセンター(ICRAF)と、もう一つがインドネシアに本部を置く国際林業研究センター(CIFOR)です。

その一つ全世界に380人のスタッフを抱えるCIFORの理事長Dennis Philip Garrityが森林総研を来訪しました。所員に対する概要説明のプレゼンテーションを聞きまいたが、びっくりしたのはプレゼンテーションの大きな部分が「京都議定書とアグロフォレストリー」というテーマだったことです。

小生の理解だと、CDMなど先進国の資金で炭素の吸収源の森林を造成するプロジェクトをするサイトは、なるべく単純な地形で、土地の所有権や競合する土地利用などの複雑な問題がない場所が最適なはず。そういう場所に農業と複合したアグロフォレストリーなどという手法を導入するのはあまり好ましい場面ではないのではないか、と思っていたのですが。

そんな疑問を直接本人にぶつけながら、このテーマにそんなに力を入れているのか聞いてみました。6つの重点分野の一つであることには違いないが、日本人の林業関係者はみんな京都議定書の話をするので、自分の組織のことを一番理解してもらえるのはこのテーマだと思ってそのようなプレゼンテーションにした(!)とのことでした。

理想的なCDMの対象地などそうあるはずはなく、具体的なプロジェクトを経験すると、プロジェクトを管理する中でアグロフォレストリーの役割がわかってくるはず、ということも付け加えることを忘れませんでしたが。

80年代に熱帯林問題が世の中に注目を浴び始めたとき、アグロフォレストリーは、途上国の貧困と食糧問題という重い課題を見据えて、熱帯林の保全に取り組むためのツールとして、大変新鮮で戦略的な位置づけを与えられました。現在、その説明を、炭素固定の話からしなければならないというのは、熱帯林についての関心が拡散している状況を示していており、日本の「関係者」の問題意識も少し寂しい気もします。

持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)の結果概要(森林関係)

8月26日(月)から9月4日(水)までの間、南アフリカ共和国のヨハネスブルグにおいて、「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」(公式サイト英文外務省サイト日本語)が開催されました。(地球環境戦略研究機関IGESの関連ページからEarth Negotiations Bulletin(ENB)" WSSD要約の和訳はこちら 日本語の情報としては一番密度が濃い。京都大学の松下教授のコメントも必読)

森林問題が重要な焦点になった地球サミットから10年、今回の会合で森林問題が後景に退いた感は否めませんが、森林問題について資料を整理をしておきます。
林野庁のプレスリリースを元にした、関連資料リンク集
森林とWSSDのウェブサイトから
国際林業研究センター(CIFOR)によるコメント
米国国務省の森林とWSSDに関するページー準備状況をフォロー
インドネシアにあるアジア太平洋社会林業研修センターが集めた(資料集コメント集
World Rainforest Movementの声明
WWFの会議に向けた森林に関するポジションペーパー
カナダの貢献

藤原敬 
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