持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/
ニュースレター 035
2002年7月21

590部発行

このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。  藤原

サイトマップへジャンプホームページへジャンプ
ニュースレターからのリンクの不具合がある場合は、直接ホームページへジャンプしてからご覧下さい。


目次

フロントページ:G8主要国サミットと森林問題
新しいWTOラウンドの林産物交渉意見募集


フロントページ:G8主要国サミットと森林ー森林行動プログラム「最終報告」

同時多発テロ以降初めて開催される今年の主要国サミットは、カナダの観光地ウィスラー(外相会議)とカナナスキス(首脳会議)で6月中旬に開かれましたが、これらの会議で森林問題が議論されましたことはあまり報道されませんでした。4年前のバーミンガムサミットで開始された森林行動プログラムの最終報告が外相会議の議題になりました。この計画は、国連での国際的な枠組みづくりが今ひとつ進展しない中で違法伐採問題など5つの課題を取り上げて国際共同活動の弾みを維持しようと始められました(というのは小生の理解です)ものですが、このプロジェクトが公式の活動の幕を閉じました。外相会議における「最終報告」と詳しい「背景説明文書」が日英二カ国語で公開されています。我が国の森林林業基本法の国際的な位置づけや、日本の援助プロジェクトが各国のプロジェクトとともに8Gという枠組みで評価されているのは興味のあるところです。
この計画が違法伐採問題や認証問題などの議論を進展させた役割は大きかったといえます。ただし、国際政治の中では最も強力なフレームワークである主要国サミットの場でも国際的な森林条約などといった枠組みに具体的な展望をつけることができなかったともいえます。具体的なターゲットを明確にしない行動プログラムが目に見える成果を生み出さない、というのは10年前の熱帯林行動計画と似ているところです。
とはいえ、以下に引用する、最終報告の結論の部分は、世界の主要国の森林問題に対する今後のコミットを表明しているもので、森林関係者としてはいろいろ使い道のあるフレーズだと思います。

G8各国は以下の事項について約束する。

  • 森林関連問題を、国内的にも国際的にもハイレベルの重要課題として維持する。
  • 森林に関する政府間パネル及びフォーラム(IPF/IFF)行動提案を実施させるための国連森林フォーラム(UNFF)行動計画や、生物多様性条約における森林の生物多様性に関する拡大作業計画などの、国際的なコミットメントを果たす。
  • あらゆる資金源を活用し、持続可能な森林経営に向けられる資金レベルを高める。
  • 違法伐採や、違法に伐採された木材及び関連製品の使用に対処する。その観点から、
    (イ) 違法伐採の排除に取り組むための人材育成及び技術移転を増大させる。
    (ロ) 違法に伐採された木材及び関連製品の輸出入を排除するために様々な行動をとる。
    (ハ) 森林法規の実行及び行政に関し、現在行われている取組を支援する。
  • 持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)において森林の重要性を強調する。依然として森林経営に深刻な課題を抱える世界の各地域での取組みのために、新規で革新的なパートナーシップが必要であることを示す

G8森林行動プログラム関係資料

2002年(ウィスラー・カナナスキス会合関係)
  • G8森林行動プログラム−最終報告書 
    (英文)(和文仮訳) (以上外務省ホームページより)
  • G8森林行動プログラム−背景文書
    (英文)(外務省ホームページより)
    (和文仮訳)[HTML] [PDF] 表紙[PDF](以上林野庁ホームページより)
2000年(九州沖縄会合関係)
森林行動プログラム実施状況報告書 英文和文pdf
1998年(バーミンガム会合関係)
森林行動プログラム 英文(ウェブ版PDF版) 和訳

新しいWTOラウンドの林産物交渉意見募集

昨年11月のWTO閣僚会議で新たなラウンドが始まることとなり、林野庁では11月の交渉提案に向けて8月上旬を締め切りに意見募集をしています
小生は前回のウルグアイラウンド、その前の東京ラウンドと二回にわたってガットの交渉にたまたま携わりましたが、二回とも「林産物は農産物交渉の中で交渉するのだ」と主張し、農産物の強固な貿易障壁の後ろにそっと付いて回るという「戦略(?)」をとってきました。日本の林産物貿易問題はガットや米国から色々言われそれに受け身に対応するばかり、一度ぐらい積極的に打って出たらどんなに楽しいだろうと夢にまでみたものです。今後の林野庁の果敢な対応に期待します。
以下のように林野庁は論点に関するメモを公表し、以下の5点の論点を提示していますがこれにかかわらず意見を求めています。
1 林産物交渉において、地球規模の環境問題や有限天然資源の持続的利用の観点に配慮することの是非について
2 林業・木材産業に対する支援の是非や措置のあり方
3 自然環境や有限天然資源の保全を目的として採られる非関税措置の是非やあり方など
4 輸出国と輸入国の権利義務のバランスを回復させるための方法
5 違法伐採問題について、WTOにおいて貿易面からの議論を行うことの是非
WTOが一見強固なバックグラウンドにたっているように見えながら、実は、地球環境問題など新たな事態に一向に対処できない発展途上のシステムだと思います。関係者がどんどん意見を寄せられるように関係資料を整理してみました。
関連資料
林産物貿易交渉についての意見関係 林野庁 林産物交渉に関する論点
NGO JATANの意見書
木材貿易と森林:日米のNGOが共同で作成
森林と農林産物自由化INDEX:AEPCモニターNGOネットワーク作成
ストップ林産物自由化資料リンク
業界 日本の杉桧を守る会意見書
小サイト 林産物貿易のページ
新ラウンド関係 WTO事務局 WTOドーハラウンドのページ(英文)
閣僚宣言テキスト(英文)
外務省 新ラウンド関連情報
ドーハ閣僚宣言骨子
経済産業省 新ラウンドのページ
農林水産省 閣僚宣言要旨(農林水産物関係)
マスコミ報道 yahooニュース lycosjapan

藤原敬 
〒356-8687 独立行政法人 森林総合研究所
電話 0298-73-4751 FAX 0298-73-3795
email mailto:takashi.fujiwara@nifty.com
HP http://homepage2.nifty.com/fujiwara_studyroom/