持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する勉強部屋
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ニュースレター 029
2002年1月11

このレターは、表記HPの改訂にそっておおむね月に一回作成しています。情報提供していただいた方、配信の希望を寄せられた方、読んでいただきたいとこちらで勝手に考えている方に配信しています。表記HPも併せてご覧下さい。御意見をいただければ幸いです。  藤原

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目次

フロントページ:初夢、世界をリードする日本発三つの森林情報
日本での森林認証の展開方向についてのメ

FSC国内基準作成検討会合


フロントページ:初夢、世界をリードする日本発三つの森林情報(2002/1/1)

皆様あけましておめでとうございます
本年もよろしくお願いします。

(海外発の情報に翻弄される日本)
昨年一年を振り返ってみると、何といっても9月の同時多発テロ事件がポイントですが、我が国の社会全体が海外発の情報に翻弄されていること様を如実に示しました。小ホームページの関心の対象である森林林業政策にとっても似たようなことがいえます。昨年暮れの二次補正予算の編成など、白紙で予算の配分を議論するときの森林サイドの一番の論点は、気候変動枠組条約の締約国会議の議論の動向でした。また、FSCの日本基準日本版の認証制度など来年に向けて話題を提供しそうな認証制度も海外発の議論の導入です。
(世界をリードする日本発の情報)
さて、今年は地球サミットから10年、リオ+10の国際会議がヨハネスブルグで8月に開催されます。このような場で、逆に、世界に発信する我が国の森林林業情報は何だろうかと考えてみました。
(森林林業基本法の改正)
昨年37年ぶりで我が国の林業基本法が改定され、「森林林業基本法」となりました。G8の一角の森林林業関係の基本法の改正は話題性十分です。特に「国際的な協調と貢献」を規定した第18条については、世界中の人に読んでほしい条文です。
(林産物貿易政策の主張)
WTOの新しいラウンドが始まることになりました。「環境と貿易」が議題になっていますが、どんな展開になっていくのかだれも分かりません。世界でもっとも大きな林産物輸入国の一つである我が国が、持続可能な森林経営の実現に向けてイニシアティブをとることができる分野です。
(理念をフィールドにつなぐ森林計画制度)
世界の森林政策の共通の悩みは、政策的枠組の改革は進んだが、それを森林経営の現場に具体化することができない所です。(国際熱帯木材機関、国連IFF報告などなど)。そこに焦点を当てているのが森林認証制度の売り物ですが、もう一つ日本が森林法の中で規定している「任意の森林施業計画制度」というのが、その問題に切り込んでいる有力な仕組みです。
(今年もよろしくお願いします)
これらの点について、積極的なアピールをしてゆくべきなのではないでしょうか。世界の森林政策の展開と我が国の政策のリンクを一つの問題意識とする小サイトではその辺の所をしっかり追いかけてゆこうと思います。今年もよろしくお願いします。

日本における森林認証制度の展開方向についてのメモnew(2002/1/11)

FSCの日本における認証基準の作成作業や、日本型の認証制度の検討など、認証制度を日本に合わせて定着させていこうというという取り組みがこのところ動き出しています。
小生も、1月11日に行われたFSC日本基準作成検討会、昨年の12月に開かれた林業団体の森林認証制度検討会に参加しました。

後者は、日本林業協会の主催するもので、小生は意見を求めれたので、、「我が国の森林林業と認証ー日本型森林認証制度の展望」と題する話をさせていただきました。その時の使用をもとにしたスライド資料を掲載します。
内容は
1 我が国にとって森林認証制度とは何か
2 FSC認証の背景と性格
3 日本型森林認証制度の展望
の三つに分かれています。
今まで、あちこちで発言してきたことをまとめたものですが、次の二つの点で若干のオリジナリティがあるものと自負しています。
第1に、FSC認証基準を、@経営の社会的責務、A森林の多面的機能、Bマネジメントシステムの三つの部分に分けて分析したこと、(スライド9,10,11)
第2に、森林施業計画認定実務の調査結果を踏まえ、それとリンクした森林認証計画を提案したこと(スライド14)
資料はこちら いろいろご批判下さい。

FSC認証国内基準作成検討会合new(2002/1/11)

11日東京でFSCの日本基準を作成すべく表記の会合が開催されました。日本基準の必要性については小サイトの中でも専用のサイトを設け、昨年3月に第一次草案が提案されてからそれを紹介したりこちらの意見を発表したりして関わってきて関心もあったし、事務局の森林認証制度研究会から案内があったので参加しました。日本林業技術協会の喜多理事の開会挨拶、wwfの前沢さんの司会、富村環境研究所富村さんの技術的解説、最後の締めは東大の白石先生(森林認証制度研究会)という配役で、全国から林業関係者、行政関係者、環境団体、労働組合など50人以上の方々が集まり4時間以上にわたって議論をしました。小生にとっては今までメールでしか知り合えなかった何人もの方々にお会いできたという余録の大きい会合でした。FSCの認証もまた新たなステップに踏み出すことになったようです。いずれ議事録が公開されるようでので全体概要についてはそちらを見て頂くとして、関係情報や意見など気のついた点を書いておきます。
(日本基準策定の意義)
FSCの認証を受けるにはFSCに認定された認証機関がFSCの原則と認証機関独自の原則に基づき認証を行っていくわけですが、FSCの原則も各認証機関の原則も日本の森林を対象としたものでないため、先住民の権利との調整、所有権の確保の状況など、日本の状況に当てはまらないものがたくさんあり、大変わかりづらくなっています。そのため日本の第一号の速水林業の場合は、認証の過程でわざわざ仮の日本に適用される基準を策定してから、認証作業にはいるという手間をかけています。また、本格的に作業に入る前に、認証をされそうなものか海外の認証機関の人にきてもらって予備的に見て貰うという回り道もしています。そのことが、認証コストをはじめさまざまな障害の原因になっています。日本の実情にあった基準ができれば文書を見ただけで誰でもどの程度のハードルをクリアすれば認証できるかの目途が立ち、少なくとも予備審査という過程は省略が可能になると思いますし、また、日本の認証機関も参画しやすくなるので、大幅なコスト削減ができると思います。またなによりも、日本の計画制度などとの関係も分かりやすくなるのではないかと思います。
(簡素化草案)
基準の策定作業に関わってきた富村さんが、FSC認証国内基準簡素化草案というのを説明されました。pdfファイルを掲載します。第一次案に比べて大幅に分かりやすく改善されています。富村さんも行っていましたが「認証が4件積み重なってきた過程で日本の実情に照らして何がポイントかと言うことが見えてきた」と言うことだと思います。是非ご関心のある方は一読下さい。
(草案にひと言)
フロアでも発言させて貰いましたが、分かりやすくと言う点でまだまだ改良の余地があります。特にお願いしたいのは、森林施業計画制度(制度の解説は岩手県林政課のサイト分かりやすいです)との関係です。速水さんも言われていましたが、認証機関側から要求された文書による「基本計画の提出」は、基本的に現行で認定されている森林施業計画書そのもので対応されたそうです。基準の中には現在の施業計画認定基準で簡単にクリアできる部分も結構あるので、そう言う部分(例えば5.6の「林産物の収穫はそれが持続できなくなるレベルを超えてはならないこと」の三つの項目など)は「施業計画基準を満たしていること」とひと言ですませることができます。
(他の認証制度との関係)
京都大学の大田先生が話していましたが、世界中の認証制度の動きがFSC対欧州北米の地域認証基準連合と再編される方向になっているようで気になるところです。日本でも県毎の地域基準を策定する動きが進んでいますし、また日本基準を策定しようと言う動きも別にあります。事務局の方からは近々国際的な動きを分析した結果を紹介するという話がありました。FSCの基準と別の基準が勢力争いをして混乱が始まるのではないか・・・と心配もありますが、小生としても二つの系統の会合に出てみましたが、結論は「あまり心配することはない」と楽観的に考えています。欧州での二つの潮流の分かれ目は、FSCでは「ハードルが高すぎる」という中小所有者の声をうまくFSCがハンドリングできなかったということに起因していると思います(勿論いろんな反対勢力の策謀という見方もあるのでしょうが、あまりそれを行っても始まらない)。入り口のところで神学論争をせずに、いろんな人が基準を作りながら、その途中でなぜその指標が必要なのか、あるいは必要ないのかをひとつひとつ具体的に議論してゆけば、なにか新たな希望のもてる日本基準ができるのではないかと期待しています。前沢さんが「FSCはフレキシブルだしどんどん日本から提案してゆけばよいのだ」と発言されていましたが、大変心強く思いました。

藤原敬 
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