「グリーン経済」の理念、宣言に リオ+20が閉幕(解説記事朝日新聞デジタル2012年6月23日14時59分)

ブラジル・リオデジャネイロで開かれていた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)は22日夜(日本時間23日)、閉幕した。環境と成長の両立を目指す「グリーン経済」の理念などを盛り込んだ宣言「我々が望む未来」を採択したが、先進国と途上国の溝が埋まらず、具体的な目標や政策に乏しい中身にとどまった。

 国連によると、国連の会議としては過去最大級の約4万5千人が参加した。ただ金融危機に揺れる欧州からはメルケル独首相やキャメロン英首相らの欠席が相次ぎ、オバマ米大統領も出席を見送った。日本も野田佳彦首相に代わり玄葉光一郎外相が参加。主な先進国で首脳が参加したのはフランスのオランド大統領だけとなった。

 採択した宣言(成果文書)では、途上国と先進国が地球環境問題に取り組む際の原則「共通だが差異ある責任」を再確認。有限な化石燃料を使って先に発展した先進国が、より大きな責任を負うとする途上国の主張を改めて盛り込んだ。

 その上で、エネルギー消費を抑えて環境に配慮した成長を目指す「グリーン経済」を対策の重要な手段と位置づけた。だが具体的な取り組みについては先進国と途上国の対立が解消せず、各国の自主的な行動に任せる形となった。

 宣言の原案では、すべての国が2015年までに評価制度などをつくり、グリーン経済に移行する行程表作りが盛り込まれていた。だが、途上国は先進国主導で進む議論に警戒を強めた。先進国側に十分な資金援助などの用意がないこともわかり、歩み寄れなかった。

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「リオ+20(の成果)は、我々に新しい方向性を示すものだ」などと評価した。一方で「もっと意欲的な内容にしたかった」(欧州連合〈EU〉)など落胆の声も聞かれた。

 このほか、食糧や水、エネルギーなど特定の分野を定めて期限付きで達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」を15年までに策定することなどが盛り込まれた。(リオデジャネイロ=小林哲)