(解説) 「違法伐採」
日本は世界1の木材輸入国、先進国のNGOなどから、日本の木材・紙の大量消費が、世界の森林資源を減少させていると、よく非難される。日本は紙のリサイクルも進んでおり、1人当たりの木材消費量で言うと、米・加・豪にくらべて30%も少なく、ドイツ・フランスに比べ20%程度多いだけ。要は木造住宅のの寿命を延ばす必要があると言う事。
日本に輸入される木材について、「持続可能森林」からの木材であれば、木材は再生可能資源なので、日本が非難される筋合いはない。ところが輸入される木材の大半は「持続可能森林」からのものではない。先進国の米国・カナダからの木材も、合法的な伐採はされていても「持続可能森林」の定義・解釈が、業者とNGOとでは大きな違いがあり、カナダでは依然として自然林破壊が大問題となっている。法規制の内容についての問題もある。
さて、発展途上国とロシアでは法規制はあっても、木材の伐採・搬出につき誰も「法」を遵守せず、世界銀行と言う公の機関すら違法伐採は50%以上と公言し、インドネシア政府もこれを認める発言をしている。ロシアでは経済混乱の中、森林監督署自身が自分の給与を稼ぐため、伐採業者に変身していると言う。日本はこれらの「違法伐採横行国」から、木材総輸入量の30%程度(2500万m3)を丸太・製材品・合板として輸入している。
地球の友ジャパンは過去10年近く極東ロシアの森林保護に関する調査・研究を行ってきた。その間も森林破壊は進む一方、何か抑止活動をと考えてきた。一方JATANなど熱帯林保護活動を行ってきたNGOも違法伐採に対策をとITTOや政府に言いつづけてきた。
「違法伐採」問題は非常に複雑で、政府すら打つ手に窮している。関連するNGOを結集して、「何かやらねば」と言う思いで、「違法伐採」抑制キャンペーンを推進する次第です。
違法伐採問題は、昨夏のG8九州・沖縄サミットで取り上げられ、先進国間で非公式の協議を始めているが、生産国側との連携が進まず、具体案はまとまっていない。
◇違法伐採木材の輸入規制を検討
松岡農水副大臣が表明◇
松岡利勝農水副大臣は1月13日、東南アジア地域などで違法に伐採されている木材の輸入規制を設ける考えを明らかにした。消費国側が実質的な「壁」を設けることで、生産国での違法伐採を減らし、国際的な環境保全を進めていく。不振の国内林業を保護するねらいもあるとのこと
。
「林業部門における違法行為と非倫理的行為」
次のように分類される。
1 違法な伐採搬出
ー 国内法あるいは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES,ワシントン条約)などの国際法で保護されている樹種の木材の伐採搬出
ー 地元業者と契約し、伐採権の及ぶ区域以外の保護地域から切り出した丸太を購入すること
ー 伐採権の及ぶ境界外からの伐採搬出。
ー 地域の山林所有者とその土地から収穫を行う契約を結びながら、隣接する公有地から樹木を切り出す事
ー 保安林など保護地域での伐採搬出
ー 急斜面、河川の岸、貯水地域などの禁止区域での伐採搬出
ー (基準を)下回る/上回るサイズの木を伐採すること。
ー 許可を上回る量の木材を抜き切ること
ー 無許可の伐採搬出
ー 契約義務に違反する伐採搬出
ー 木材の伐採権の違法取得
2 木材の密輸
ー 国内法または国際法で禁止されている樹種の輸出入
ー 国内での禁止措置に違反した、違法な丸太の輸出入
ー 実際を下回る量の輸出申告の取得
3 価格移転およびその他の不正な会計実務
ー 申告利益を減らし、法人税および所得税を減らすために、一般的な市場価格以下で林産物を販売したと申告すること
ー 申告利益と課税額を引き下げるために、一般的な市場価格を上回る、生産資源の購入価格 を申告する事
ー 価格の低い樹種の輸出を申告すること(以下、略)
(WCFSD資料から引用)
(文責;地球の友ジャパン・岡崎時春)