林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(昭和五十四年六月二十八日法律第五十一号)
 
最終改正:平成十三年七月十一日法律第百八号
 
 
 (目的)
第一条 この法律は、林業をめぐる諸情勢の著しい変化に対処して、当分の間、育成すべき林業経営の経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化を図るために必要な資金の融通等に関する措置を講ずることにより、林業並びに木材の製造業及び卸売業の健全な発展に資することを目的とする。
 
 (基本方針)
第二条 農林水産大臣は、林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針は、林業の発展と木材の製造業及び卸売業の発展が密接に関連していることにかんがみ、造林から木材の生産及び流通に至る各段階の合理化を一体的に推進することを旨として、定めるものとする。
3 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、木材の生産及び流通の合理化に関する事項(第四条第二項第三号に掲げる者に係る部分に限る。)について関係行政機関の長に協議し、かつ、林政審議会の意見を聴かなければならない。
4 農林水産大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 
 (基本構想)
第二条の二 都道府県知事は、基本方針に即し、林業経営基盤の強化並びに木材の生産及び流通の合理化に関する事項についての基本構想(以下「基本構想」という。)を定めることができる。
2 基本構想においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 林業経営基盤の強化に関する目標
二 林業経営の規模、生産方式等に関する林業経営の類型ごとの指標
三 木材の生産及び流通の合理化に関する目標
3 都道府県知事は、基本構想を定め、又はこれを変更しようとするときは、農林水産大臣に協議しなければならない。
4 都道府県知事は、基本構想を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 
 (林業経営改善計画)
第三条 前条第四項の規定による公表があつた基本構想に係る都道府県の区域内において林業を営む者は、林業経営改善計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、当該林業経営改善計画が適当である旨の認定を受けることができる。
2 前項の林業経営改善計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 林業経営の現状
二 林業経営の規模の拡大、生産方式の合理化等の林業経営の改善に関する目標
三 前号の目標を達成するためとるべき措置
四 前号の措置を実施するのに必要な資金の額及び調達方法
3 都道府県知事は、第一項の認定の申請があつたときは、その申請に係る事項が次の各号の要件を満たす場合に限り、同項の認定をするものとする。
一 林業経営改善計画が基本構想に照らし適切なものであること。
二 林業経営改善計画が適正に作成されており、かつ、申請者がこれを達成する見込みが確実であること。
三 申請者が林業経営改善計画を達成するためには、第五条第一項から第四項まで、第六条第一項第一号又は第九条第一項に規定する資金の貸付けを受けることが必要であること。
4 前三項に規定するもののほか、林業経営改善計画の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
 
 (合理化計画)
第四条 都道府県知事は、第二条の二第四項の規定により基本構想を公表した場合には、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する次に掲げる者の申請に基づき、その者の作成する木材の生産又は流通の合理化を図るための計画(以下「合理化計画」という。)であつて生産行程の改善、経営管理の合理化その他の事業の経営改善に関する措置を内容とするものが適当である旨の認定をすることができる。
一 森林組合、森林組合連合会又はその他の森林所有者(森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第二条第二項に規定する森林所有者をいう。以下同じ。)の組織する団体
二 森林所有者
三 素材生産業、木材製造業若しくは木材卸売業を営む者又は木材取引のために開設される市場(政令で定めるものに限る。)を開設する者(以下「市場開設者」という。)の組織する団体
四 素材生産業、木材製造業若しくは木材卸売業を営む者又は市場開設者
五 前各号に掲げる者のほか、これらの者に準ずる者として政令で定めるもの
2 都道府県知事は、第二条の二第四項の規定により基本構想を公表した場合には、その管轄する都道府県の区域内に住所を有する前項各号に掲げる者と次に掲げる者との共同の申請に基づき、これらの者の作成する合理化計画であつて事業の協業化、安定的な取引関係の確立による事業規模の拡大その他の木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置を内容とするものが適当である旨の認定をすることができる。
一 前項各号に掲げる者
二 地方公共団体の出資又は拠出に係る法人で地域の林業の振興を図ることを目的とするもの
三 関連業種(その業種に属する事業と木材製造業又は木材卸売業との関連性が高いことその他の政令で定める基準に該当するものとして農林水産省令で定める業種をいう。)に属する事業を行う者(以下「関連事業者」という。)又は関連事業者の組織する団体
3 合理化計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 事業の経営の現状
二 木材の生産又は流通の合理化を図るためにとるべき次に掲げる措置
イ 第一項の申請に係る合理化計画にあつては、事業の経営改善に関する措置
ロ 前項の申請に係る合理化計画にあつては、木材の生産部門又は流通部門の構造改善に関する措置
 三 前号の措置を実施するのに必要な資金の額及び調達方法
4 第一項又は第二項の認定は、第一項又は第二項の申請に係る事項が次の各号の要件を満たす場合に限り、するものとする。
一 合理化計画が基本構想に照らし適切なものであること。
二 合理化計画が適正に作成されており、かつ、申請者がこれを達成する見込みが確実であること。
5 前各項に規定するもののほか、合理化計画の認定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。
 
 (農林漁業金融公庫からの資金の貸付けの特例)
第五条 農林漁業金融公庫が第三条第一項の認定を受けた者に対し当該認定に係る同条第二項第三号の措置を実施するのに必要な資金で農林漁業金融公庫法(昭和二十七年法律第三百五十五号)第十八条第一項第二号又は第四号に掲げるものの貸付けを行う場合における貸付金の償還期限(据置期間を含む。)及び据置期間は、同条第二項の規定にかかわらず、同条第一項第二号に掲げる資金にあつてはそれぞれ五十五年以内及び三十五年以内において、同項第四号に掲げる資金にあつてはそれぞれ二十五年以内及び七年以内において農林漁業金融公庫が定めるものとする。
2 農林漁業金融公庫が第三条第一項の認定を受けた者(森林法第十八条の二第三項の認定を受けた者に限る。)に対し第三条第一項の認定に係る同条第二項第三号の措置を実施するのに必要な資金で農林漁業金融公庫法第十八条第一項第四号の二に掲げるもの(森林法第十八条の二第三項の認定に係る特定森林施業計画(政令で定めるものを除く。次条第一項第一号において同じ。)に従つて施業を行うのに必要なものに限る。)の貸付けを行う場合における貸付金の利率、償還期限(据置期間を含む。)及び据置期間は、農林漁業金融公庫法第十八条第二項の規定にかかわらず、それぞれ年七分以内、三十五年以内及び十五年以内において農林漁業金融公庫が定めるものとする。
3 農林漁業金融公庫が第三条第一項の認定を受けた者に対し当該認定に係る同条第二項第三号の措置(森林(森林とする土地を含む。)の取得についての措置であつて林地保有の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件に該当するものに限る。)を実施するのに必要な資金で農林漁業金融公庫法第十八条第一項第四号の三に掲げるものの貸付けを行う場合における貸付金の償還期限(据置期間を含む。)及び据置期間は、同条第三項の規定にかかわらず、それぞれ三十五年以内及び二十五年以内において農林漁業金融公庫が定めるものとする。
4 農林漁業金融公庫は、農林漁業金融公庫法第十八条第一項及び第四項、第十八条の二第一項並びに第十八条の三第一項に規定する業務のほか、第三条第一項の認定を受けた者に対し、当該認定に係る同条第二項第三号の措置(生産方式の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件に該当するものに限る。)を実施するのに必要な長期かつ低利の資金であつて他の金融機関が融通することを困難とするものの貸付けの業務を行うことができる。
5 前項に規定する資金の貸付けの利率、償還期限(据置期間を含む。)及び据置期間については、政令で定める範囲内で、農林漁業金融公庫が定めるものとする。
6 農林漁業金融公庫が行う第一項から第四項までに規定する資金の貸付けについての農林漁業金融公庫法第十二条の二第二項第一号、第二十九条、第三十条第一項及び第三十五条第三号の規定の適用については、同法第十二条の二第二項第一号中「又はこの法律」とあるのは「若しくは林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(以下「暫定措置法」という。)又はこれらの法律」と、同法第二十九条及び第三十条第一項中「この法律」とあるのは「この法律又は暫定措置法」と、同法第三十五条第三号中「第十八条の三まで」とあるのは「第十八条の三まで及び暫定措置法第五条第四項」とする。
 
 (農林漁業信用基金の業務の特例等)
第六条 農林漁業信用基金(以下「信用基金」という。)は、農林漁業信用基金法(昭和六十二年法律第七十九号)第二十七条に規定する業務のほか、この法律の目的を達成するため、次の業務を行う。
一 第三条第一項の認定を受けた者に対し、当該認定に係る同条第二項第三号の措置(造林についての措置であつて森林施業の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件に該当するもの又は林業経営の維持についての措置であつて森林法第十八条の二第三項の認定に係る特定森林施業計画に従つて施業を行うのに必要なものとして農林水産省令で定める要件に該当するものに限る。)を実施するのに必要な長期かつ無利子の資金の融通を行うこと。
二 第四条第一項又は第二項の認定を受けた者(関連事業者又は関連事業者の組織する団体を除く。)が当該認定に係る同条第三項第二号の措置を実施するのに必要な資金を調達する場合にこれを円滑にするために必要な資金の供給の事業を政令で定めるところにより行う都道府県に対し、政令で定めるところにより、当該事業に必要な資金を貸し付けること。
三 信用基金に出資している次に掲げる者(その者がロに掲げる者である場合には、その直接の構成員となつているハに掲げる者を含む。)で第四条第一項又は第二項の認定を受けたものが、当該認定に係る同条第三項第二号の措置を実施するのに必要な資金を農林漁業信用基金法第二十八条第一項の融資機関から借り入れること(当該資金に充てるため手形の割引を受けることを含む。)により当該融資機関に対して負担する債務を保証すること。
イ 森林組合又は森林組合連合会で木材卸売業を営む者又は市場開設者(以下「木材卸売業者等」という。)であるもの
ロ 木材卸売業者等(資本の額又は出資の総額が千万円以下の会社並びに常時使用する従業者の数が百人以下の会社及び個人に限る。ハにおいて同じ。)が直接又は間接の構成員となつている中小企業等協同組合
ハ 木材卸売業者等
四 前三号の業務に附帯する業務
2 信用基金は、前項第一号の業務については、農林漁業金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」と総称する。)とそれぞれ次に掲げる事項をその内容に含む協定を締結し、これに従いその業務を行うものとする。
一 信用基金は、公庫に対し、前項第一号の融通に必要な資金を無利子で寄託すること。
二 公庫は、信用基金が推薦した第三条第一項の認定を受けた者に対し、前項第一号に規定する長期かつ無利子の資金の貸付けを行うこと。
三 第一号の寄託の条件に関する事項及び前号の貸付けの条件の基準に関する事項
四 その他農林水産省令で定める事項
3 信用基金は、前項の協定を締結しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
 
第七条 信用基金は、前条第一項第一号の業務(これに附帯する業務を含む。第五項において同じ。)に係る経理及び同条第一項第二号の業務(これに附帯する業務を含む。第五項において同じ。)に係る経理については、その他の業務に係る経理と区分し、それぞれ特別の勘定を設けて整理しなければならない。
2 信用基金は、前条第一項第二号の規定による資金の貸付けに必要な資金の一部に充てるため、農林水産大臣の認可を受けて、長期借入金をすることができる。
3 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内において、前項の規定による信用基金の長期借入金に係る債務について保証することができる。
4 政府は、予算の範囲内において、信用基金に対し、前条第一項第二号の業務に要する経費の一部を補助することができる。
5 農林水産大臣は、次に掲げる場合には、財務大臣に協議しなければならない。
一 第二項の認可をしようとするとき、又は前条第一項第一号の業務若しくは同項第二号の業務に関して農林漁業信用基金法第四条第二項、第三十条第一項、第三十三条若しくは第四十条第一項若しくは第二項ただし書の認可をしようとするとき。
二 前条第一項第一号の業務又は同項第二号の業務に関して農林漁業信用基金法第三十条第二項、第四十一条第三号又は第四十三条の農林水産省令を定めようとするとき。
三 前条第一項第一号の業務又は同項第二号の業務に関して農林漁業信用基金法第四十一条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。
四 前条第一項第一号の業務又は同項第二号の業務に関して農林漁業信用基金法第三十四条第一項の承認をしようとするとき。
6 農林水産大臣は、前条第三項の認可をしようとするときは、信用基金と農林漁業金融公庫との協定に係るものにあつては財務大臣に、信用基金と沖縄振興開発金融公庫との協定に係るものにあつては内閣総理大臣及び財務大臣に協議しなければならない。
7 この法律の規定により信用基金の業務が行われる場合には、次の表の上欄に掲げる農林漁業信用基金法の規定中の字句で同表の中欄に掲げるものは、それぞれ同表の下欄に掲げる字句と読み替えるものとする。
 
第四条第六項









 
第三十一条各号に掲げる業務








 
第三十一条各号に掲げる業務並びに林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法(以下「暫定措置法」という。)第六条第一項第一号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。以下同じ。)及び同項第二号に掲げる業務(これに附帯する業務を含む。以下同じ。)
第十条第三項、第四十七条第二項及び第四十八条第一項

 
第三十一条各号に掲げる業務


 
第三十一条各号に掲げる業務並びに暫定措置法第六条第一項第一号に掲げる業務及び同項第二号に掲げる業務
第二十九条第二項



 
第二十七条第一項第四号に掲げる業務(債務の保証の決定を除く。)及びこれに

 
第二十七条第一項第四号及び暫定措置法第六条第一項第三号に掲げる業務(債務の保証の決定を除く。)並びにこれらに
第三十一条第二号


 
第二十七条第一項第四号に掲げる業務及びこれに

 
第二十七条第一項第四号に掲げる業務及び暫定措置法第六条第一項第三号に掲げる業務並びにこれらに
第四十四条第二項及び第四十五条第一項 又は漁業災害補償法
 
、漁業災害補償法又は暫定措置法
第四十五条第二項
 
又は中小漁業融資保証法
 
、中小漁業融資保証法又は暫定措置法
第五十一条第一号 この法律 この法律又は暫定措置法
第五十一条第三号
 
第二十七条
 
第二十七条及び暫定措置法第六条
第五十一条第四号
 
又は第三十九条
 
若しくは第三十九条又は暫定措置法第七条第一項

 (都道府県の特別会計)
第八条 第六条第一項第二号の規定により信用基金から資金の貸付けを受けて同号に規定する事業を行う都道府県は、その経理を林業改善資金助成法(昭和五十一年法律第四十二号)第十二条第一項の規定により設置する特別会計において併せて行うことができる。この場合においては、当該都道府県は、当該経理を他の経理と区分して行うものとする。
 
 (林業改善資金助成法の特例)
第九条 林業改善資金助成法第二条第二項の新林業部門導入資金のうち政令で定める種類の資金であつて、第三条第一項の認定を受けた者が当該認定に係る同条第二項第三号の措置を実施するのに必要なものの償還期間(据置期間を含む。)は、同法第五条第一項の規定にかかわらず、十二年を超えない範囲内で、その種類ごとに、政令で定める期間とする。
2 前項の資金の一借主ごとの限度額は、林業改善資金助成法第四条の規定にかかわらず、その種類ごとに、農林水産省令で定める。
 
 (森林所有権の移転等のあつせん)
第十条 都道府県知事は、第三条第一項の認定を受けた者から森林所有権の移転等(森林(森林とする土地を含む。)についての所有権の移転、使用及び収益を目的とする権利の設定若しくは移転又は森林施業の委託をいう。以下この条において同じ。)のあつせんを受けたい旨の申出又は森林所有者から当該認定を受けた者に対する森林所有権の移転等のあつせんを受けたい旨の申出があつた場合において、当該認定を受けた者に対して森林所有権の移転等が行われることが、当該認定に係る林業経営改善計画の達成に資するものであり、かつ、林地保有又は森林施業の合理化に寄与するものとして農林水産省令で定める要件に該当するものであると認めるときは、当該認定を受けた者及び森林所有者に対し、森林所有権の移転等のあつせんを行うことができる。
 
 (森林組合の事業の利用の特例)
第十一条 前条のあつせんに係る第三条第一項の認定を受けた者が森林組合である場合には、当該森林組合は、森林組合法(昭和五十三年法律第三十六号)第九条第八項ただし書及び第九項の規定にかかわらず、組合員のためにする事業の遂行を妨げない限度において、定款で定めるところにより、前条のあつせんを受けた森林所有者に、同法第九条第一項第二号に掲げる事業を利用させることができる。
 
 (課税の特例)
第十二条 第三条第一項の認定を受けた者であつて当該認定に係る林業経営改善計画に従つて林業経営の規模を拡大したものは、租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)で定めるところにより、その有する固定資産について特別償却をすることができる。 

附則
 この法律は、公布の日から施行する。