FSC認証国内基準草案に対する意見
 
○ 全体
 全体の構成として、原案では全体に「FSC認証基準指標本体」に忠実に沿った形となっているために、少しわかりづらい面がある。基準が日本の林業関係者に対するFSCからのメッセージであるとすれば、日本の林業関係者にとって分りやすいように構成や表現を工夫すべき。
例えば、出だしの、1.1aの「森林計画は」という表現は我が国の林業者が、文書での森林管理計画を作成しているケースが少ないことから考えると、わかりづらい。そういう意味で#7の森林管理計画を冒頭に持ってくるのがよいのでないか。
また、「先住民の権利」につて冒頭に多く記述されているのも日本の林業関係者にとっては違和感がある。これは我が国の場合、#4の地域社会との関係の中で、記述するのが分かりやすい。
 なお、章立ての構成については、速水林業のSGSの章立てである@木材資源の持続性、A森林生態系の維持、B財政的安定性の区分や、モントリオールプロセスの区分、我が国の資源基本計画の区分などを参考にして議論すべき。
 
(以上の点については、現在の所、大半の森林所有者がFSCに無関心ないし、インセンティブを感じていない状況を踏まえると、重要な点と思量します。)
  
○個別事項に対する意見
@ 原則#3「先住民の権利」
 「先住民の権利」に対する記述は、多くの日本人にとって、違和感がある。先住民の権利については、原則#4.「地域社会との関係と労働者の権利」内の一項目として記述するのが適切。
 
A 原則#4.「地域社会との関係と労働者の権利」
 地元”の基準はどのような範囲を考えているかを明示すべき。我が国の場合森林計画区を流域を基本とした区域概念としたらどうか。
 
B 原則#5「森林のもたらす便益」
  5.2では地域での生産物の加工について記されているが、Aでも述べたように”地域”とはどのような範囲を意味するのかを明確にすべき。
 5.3において、伐採や現場での加工作業による森林資源へのダメージ回避について記載しているが、大規模森林所有者が少ない我が国においては、森林所有者と伐採搬出業者が一致することは少ないと言え、立木を販売し外部の業者が伐採搬出する場合の基準についても記述する必要がある。
 
C 原則#6「環境への影響」
  6.6において、我が国の状況から判断して、ご指摘のとおり除草剤の使用は不可欠な面がある。慎重な検討が必要。
 
D 原則#7「管理計画」
 7.1.f.2においては、森林被害に対する復旧方針、技術等も明記が必要。